その15 策士、策に・・・
04:45 ロクのジャガーは既に、浜田基地と松島基地の中間部分にいた。道路が狭いのと若干悪路のせいか、浜田からの追手もロクの車には容易に追い付けなかった。ロクは追ってくる車両のライトをバックミラーで覗いては、一人呟いていた。
「まずいな・・・松島に着く・・・このままでは・・・戻るなら今しかない・・・しかし予想以上の崖だな?エアーブースターで登ると言ったが・・・こりゃあ本当にジャガーを捨てて泳いで帰るかな?」
ロクは急にハンドルを切ると、車をスピンさせ浜田方面に方向を変えた。今まで走っていた道よりはやや広く、戦闘をするには適度と感じたのだ。
「ここなら・・・」
ロクは近寄ってくる敵SCのライト数を数えていた。
「22、23、24、25ってとこか・・・ここでやるしかない!」
ロクは再びライトを消すと、屋根のバルカンを迫り出した。ロクはバックミラーを確認する。遠くに松島基地の明かりが見え、その遠くの湾岸線を移動する数十台のSCのライトを確認する。ロクは振り返ってもう一度、自分の目で確認する。
「あらら、やっと基地内から出て来たか・・・?しかし・・・」
04:46 レヴィア2番艦ブリッチ。立ったまま仁王立ちする弘士の姿があった。
「出ました!松島基地から援軍です!」
「ロクの位置は?」
「地形で正確には・・・ただ、ほぼ基地と基地の真ん中と思われます!浜田からの追手と交戦に入ります。数およそ25台!」
「よし!作戦を決行する!レヴィア急速浮上!橋を砲撃するぞ!」
「了解!エアーブースター始動!」
レヴィア2番艦は海上に浮上してきた。湾内は波もなく穏やか。東の空が更に明るくなってきた。
「砲撃準備!目標は敵建造の橋!浜田寄りからだ!同時に上部ミサイル発射用意!」
「砲撃準備!上部ミサイル発射用意!」
レヴィア2番艦の前部の甲板が開き、下から3連装主砲2門が姿を現した。また甲板の一部が開き上部に向いた20近いミサイル発射口が現れる。
「距離3、2キロ、方位48度!」
「松島隊は?」
「間もなく2番目の橋を渡ります!」
「砲撃用意!」と弘士。
「砲撃用意!」
04:47 浜田寄りの橋。その頃、ロクのジャガーは浜田からの追手と交戦中だった。
「くそっ!数が多い!しかもどいつもこいつも、SCの戦闘にかなり慣れている。さすがタケシ隊・・・というとこだな?一筋縄ではいかんな。このっ!突破させろぉ!」
ロクのジャガーは完全に数で押されていた。しかも慣れない狭い地形が仇となる。浜田からのタケシ隊25台も突破されないように道を塞ぐようにジャガーに攻撃を仕掛ける。ロクのジャガーも数台の敵SCを炎上、撃破するがそのSCの残骸が帰り道を塞いでしまう。
「崖が急過ぎる!どこも登れない!帰れないなら・・・」
ロクは再び車にスピンをかけ、敵SCの包囲網の中、松島基地方面に車を走らせた。すると浜田寄りの約80メートルの橋を渡り始めた。
「味方の砲撃の時間・・・?お前・・・間に合えよ!」誰かに呟くロク。
同刻。早坂のSC。雷獣が松島方面に逃げるのを確認する。
「雷獣!やはり逃げたか!?今ごろ気づいても遅いわっ!そっちからは本隊だ!」
04:48 ジプシャン軍松島基地指令室。
「ああっ?湾にレーダー反応?な、なんだ?」
「ポ、ポリスです!P6の戦艦です!」
「ば、馬鹿な・・・なぜ湾内に?け、警報だ!各基地に連絡!」と指揮官。
「は、はい・・・」松島基地に遅すぎる警報がなる。
04:48 レヴィア2番艦ブリッチ。
「2番目の橋!全車通過!」
「砲撃始め!」弘士が叫ぶ。
「主砲!てぇー!」
レヴィア2番艦から発射した2門の主砲の弾が、ロクがまさに今渡っている橋をジャガーが通過するすぐ後ろを破壊して行く。スピードを上げるジャガー。
04:48 ロクのジャガー。
「わおっ!やるじゃん司令!危なっ!・・・お前、いい子!」
橋が爆破されたせいで浜田からの追手は、ロクを追うこ事が出来なくなった。
「だが・・・これからが問題か・・・?」
04;48 タケシ2番隊、早坂車。
「逃がしたのか!タケシ様!雷獣はそちらに向かいました!浜田寄りの橋は爆破されました!」
04:48 松島から出たタケシの本隊。
「何だと!?橋が砲撃されている・・・」
するとタケシのSCに追報の無線が入った。
『タケシ様!海上に敵艦です!』松島基地の指揮官の声が響く。
「何だとぉ!?」
04:48 レヴィア1番艦ブリッチ。
「2番艦の砲撃始まりました!橋を爆破した模様です!」と国友。
「よし!浜田を叩く!艦浮上!多聞?浮上と同時に砲撃準備!」と桜井。
『了解!』
04:49 タケシ本隊。
「海上に敵というのがよく分からん!?どういう事だ?」
『砲撃は海からです。海からぁ!』指揮官の無線。
「海だと?・・・奴らどうやって湾に・・・」
『タケシ様!正面から雷獣接近!』嶋の無線。
「来たか・・・?」
タケシの前には赤いライトを点けたジャガーが現れた。するとタケシの後方の一番松島寄りの橋が爆破された!
『松島寄りの橋が爆破!前後の道を絶たれました!』石森の無線。
「くくくっ、やってくれるじゃないの・・・ポリスめ!」怒りでハンドルを叩くタケシ。
タケシ隊の100メートル先にジャガーは停止し、アクセル音だけを吹かしている。
「まあ潮が引けば道は戻る・・・その前にだ・・・雷獣・・・奴だけは生きて帰すな!」雷獣を睨むタケシ。
04:50 レヴィア2番艦ブリッチ。
「前後の橋の爆破確認!」
「破壊したか?よし、次は松島隊のSCを砲撃するぞ!上部ミサイル発射用意!」
「し、司令・・・ち、ちょっと待って下さい!?」レーダー員が叫ぶ。
「どうした?」
「ジ、ジャガーの反応が、敵松島部隊と同じ箇所にあるんです・・・?」
「ば、馬鹿な・・・なぜロクが・・・!?」弘士が焦った。