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四天王  作者: 原善
第二章 松島奇襲作戦に賭けろ!
45/209

その14 突撃

04:26  ジプシャン軍浜田基地。基地内の警報が突然鳴り響いた。

「敵襲です!P6方面よりSC確認!」基地内のレーダー員が叫ぶ。

「何!夜中だぞ!か、数は?」

「い、1台です・・・」

「はあっ!?」驚く指揮官。



 暗い荒野を赤いライトを点け爆進するジャガーカストリー。運転席には白い制服を着たロクがいた。ロクは不敵に笑いながら運転している。



同刻。ジプシャン軍浜田基地。

「迎撃だ!SC隊を出せ!!」指揮官が慌てて指示を出す。

「了解!何台出しますか!?」

「第一迎撃隊だ!全部出せ!」

「車種不明!データーありません。新型です。改造タイプかもしれません!」

「P6がぁ!血迷ったのか!?」

「タケシ様の隊はどうされますか?」

「今は奴らは客だ。出さすなよ!浜田の意地見せろ!」

 基地内は慌ただしくなった。所々証明が灯り、各倉庫からはジープタイプのSCが10台前後出動した。その様子を見ていたあるタケシ隊のある兵が、走りまわっている基地兵に声を掛ける。


「どうした!?なんだこの騒ぎは?」

 彼はタケシ隊二番隊長の早坂。年齢は40才前後で、鋭い眼光が特徴だった。

「敵襲です!」

「P6か?」

「分かりません。たった1台ですから・・・」

「なんだと!?」早坂は基地の外に目をやる。



04:28  ロクのジャガーカストリー。ロクの視界には浜田基地から迎撃してきた敵SCのライトが見えてきた。

「予想通り・・・12、3台か・・・?まあそんなもんだろうな?なら派手に行きますか・・・?」


 ロクは点灯してたライトを消し、ハンドルを左に切った。



04:29  浜田基地迎撃隊。

「ライトが消えた!奴が消えたぞ!肉眼じゃ無理だ!基地へ!細かく奴の位置の指示をくれ!」

『大型ライト点灯する!隊を横一字隊形に展開しろ!囲むぞ!』

『各車、エンジン音で確認しろ!』


 浜田の迎撃隊はSCの屋根上の大型ライトを点け、広い範囲で荒野を照らす。基地からの照明もあり基地周辺はやや明るくなった。迎撃隊の後部座席の機銃者も目を懲らした。


「どこだ?出て来い・・・」

 すると突然、隊の右方向からロクのジャガーが現れる。

「右だ!!」


 各車の大型ライトが右に集まる。そこに照らされたのは白制服を着たロクが操縦するジャガーが照らし出された。迎撃隊は一斉に機銃で応戦する。しかしそれをいち早く察知したのか、ロクは更に左にハンドルを切った。


「後ろにまわったのか!?」

 ジャガーのバルカン砲が迎撃隊のタイヤを撃ち抜く。一瞬で4、5台SCが転倒する。


「斑模様・・・や、奴だ・・・」ある兵が雷獣だと気づいた。



04:31  浜田基地。指揮官が無線を片手に指示を出し続ける。

「相手は1台だろうが!?何してるんだ!?」

『相手は斑模様!屋根にバルカン装備!』

「斑だと・・・?」

『奴です・・・らいじゅ・・・うわぁぁー!!』

「おい!?どうした!?くそっ・・・!第二部隊を出すぞ!」


 先程、警報を気にしていたタケシ隊の早坂が指令室に入り、無線に割って来た。

「聞こえるか!?そのSCの斑は黄色と黒か!?」と早坂。

『そうです!ドライバーは白装束を纏い、うわっー!・・・』

「おい!どうした!?おいっ・・・!?」

「後続隊を出せ!」指揮官

「止めろ・・・!」と早坂。

「どうした?」

「雷獣だ!」

「ライジュウ?」

「しかも、白装束で・・・奴に間違いない。我々が出る!お前らでは敵う相手ではない!松島のタケシ様に無線だ!」



04;33  ジプシャン軍松島基地指令室。浜田基地よりも機器が豊富で、人数もかなりたくさんの兵がいる。

「浜田基地より無線!ライジュウに襲撃されているとの事!タケシ様を呼び出して欲しいとの事です!」と無線兵。

「ライジュウ?なんだそれは?タケシと言っても・・・おい!誰か酒場に使いを出せ!タケシ様はそこで飲んでるのだろう!」

「了解!」



04:34  ロクのジャガーカストリー。

「もう終わりか!」

 ロクのジャガーは15台程の敵SC隊のタイヤ部分を狙い撃ち、全車走行不能にしてしまった。


「ちょっと、早かったかな?ならこのまま松島基地へ行かせて頂きますよ!」

 すると、更に浜田基地より50台のSC隊が出てくる。

「あらら・・・計算狂ったな?50台全部かよ!さすがに簡単には松島に行かせてくれないか?」


 浜田基地から出てきたのはタケシ隊の50台。ミサイルは積んでいないが、ロクのSCを囲むように二手に分かれてきた。

「ここで弾を使い果たす訳にはいかない・・・少し遊んでもらいますよ、みなさん・・・」

 ロクは慌ててハンドルを切りギアを変えた。ジャガーは浜田基地から離れ北の松島基地に向かった。



04:35  タケシ隊SC部隊。早坂車。

「間違いない!雷獣だ!奴め松島基地に向かうのか?全車追うぞ!」

『了解!』



04:36  ジプシャン軍浜田基地。

「ライジュウが松島へ!?」指揮官が無線に叫ぶ。

『そうだ!松島に連絡は!?』早坂の声。

「飛ばした!しかし松島までは狭い一本道。なぜ奴は・・・?」

『さあな、1台で仲間の仇でも取りに来たんじゃないか?俺たちはこのまま奴を追う!』

「任せる!」



04:37  タケシSC部隊。早坂車。

「待て・・・1台とは妙だ。敵の本隊がいるかもしれない。浜田が手薄になる。半分は奴を追う!半分は浜田待機だ!どうせ一本道だ!奴はどこにも逃げれないはず・・・馬鹿な雷獣がぁ!焦って突っ込んできやがって・・・」



04:38  松島基地側の酒場。基地の兵が慌てて店内に入って来る。

「タケシ様は?」

「どうした?」嶋が兵に気づく。

「浜田より、隊の方から無線です。ライジュウが浜田を襲っていると・・・」


 すると店のソファーで横になっていたタケシがムクッと起き上がった。

「雷獣だぁー!?」薄目を開けながら立ち上がるタケシ。

「詳しくは分かりませんが、一度基地の方へ来て欲しいと無線が入りまして・・・」

「分かった、おい行くぞ!」

「はい!」タケシを筆頭に店を出ていく一行。



04:40  レヴィア2番艦ブリッチ。2番艦は松島基地から近い満潮用の仮橋の射程ポイントの海底に停泊していた。

「予定より少し遅れたが・・・無事到着したな?」と弘士。

「まだ海岸線は動きはないようです・・・そろそろ各艦も所定の位置に着きそうです!」レーダーを見つめる佐々木艦長。

「予定では既にロクは動いてるはずだが・・・?各員砲撃、攻撃用意だ!そろそろ敵もこちらに気づくぞ!!」



04:42  ロクのジャガーカストリー。ロクは松島基地に向かって車を走らせていた。道幅は狭く、すぐ右が海になっている所も多い。ロクはバックミラーで後方を確認する。

「20台?あらら、半分になったな!?まあこんなもんか・・・あとは松島が動かなければ・・・20なら反転して叩くか・・・こっちの逃げ道が無くなるな?しかし予想以上に道が狭いな?これじゃ戦闘にもならない・・・さあどうする?」予想と違う情景に戸惑うロク。



04:43  松島基地指令室。タケシたちが顔を揃えていた。

「雷獣で間違いないのか?」鷲掴みで無線を持つタケシ。

『そちらの隊長がそう申してました。黄色と黒だと!しかもそちらに向かっています。ドライバーは白装束だそうです!』指揮官の声。

「早坂か?それでP6の様子は?」

『街に動きはありません!SC隊もです!』

「なぜ奴は1台でなんだ・・・?」


 タケシは一気に酔いが醒めた様子で、一人下を向いていた。

「仲間の仇を取りに奴は1台でこちらに・・・」嶋がタケシに進言する。

『奴は海岸線です。あと10分弱でそちらに到着します!』

「迎え撃つ!奴は死ぬつもりだ!それなりの歓迎をしてやれ!浜田基地はそのまま待機だ。うちの部隊の半分が追っているんだな?」

『はい!半分はこちらの浜田基地に待機してもらっています!』

「出るぞ!今度こそ決着付けてやる!」


「しかし、なにか引っかかります・・・」とヒデ。

「なんだヒデ?」苛つくタケシ。

「それが・・・」答えが見つからないヒデ。

「時間がない!ヒデらは2次隊で後から来い?いいな!?」

「は、はい・・・」

「うちの隊は全車緊急発進だ!!敵はたった一台だ!」嶋と石森に指示をするタケシ。


 ヒデは自分の親指を無意識に噛んでいた。

『本当に血迷ったのか?奴はなぜあの狭い一本道を・・・?なにかある・・・なにか・・・?』腑に落ちないヒデがそこにいた。


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