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四天王  作者: 原善
第二章 松島奇襲作戦に賭けろ!
40/209

その9 銃殺

24:03   P6地下3階ジプシー医務室。聖のいる病室。関根が入って来る。

「起きてた?」聖の傍に寄る関根。

「顔が痛くて・・・」

「今、薬出すわね!」

「は、はい・・・」


 点滴を変え始める関根。聖はぼんやり天井を見つめている。

「それと、あなただけ地下に移送するの。」

「はい・・・」

「それと・・・赤ちゃんなんだけど・・・流産したわ。」

「そう・・・妊娠したのも分からなかった・・・体調が悪いことはよくあったけど・・・うちら医者がいなくて・・・」

「自覚がなかったの?」

「すいません・・・」

「誰?父親?」

「ジプシーの・・・仲間です・・・」

「そう・・・それが分かっているならいいわ。桑田?この子を運ぶわよ。」

 

 すると隣の部屋にいた、桑田が入って来た。

「どこへ運ぶんですか?」

「地下6階のポリスの医療チームよ。私は下に行けないわ。桑田が地下まで運んで。」


「えっ?・・・あっ・・・は、はい・・・」

 関根の言葉に、桑田はすぐ事情を察知した。普通、ジプシーは地下6階に行かないからだ。


 

 聖はベットごと部屋から出され、関根と桑田に運ばれて行った。廊下にはジプシーの患者が座り込んだり、そのまま寝込んだりして混雑していたがその中を掻き分けるように二人はエレベーターの前に来ていた。そのエレベーターは地下3階以降専用で、桑田は自分のIDカードをかざしエレベーターを呼ぼうとした。

「あれ?・・・あれ?」

「どうしたの?」

「私のIDが効かない・・・」

「故障?しょうがないわね。スタッフを上に呼び出すわ。ここにいて。いい?」

「はい・・・」

 

 桑田は懲りずに何度かIDをかざすが応答しない。するとベットの聖が桑田に気づく。


「あんた・・・ロクの・・・妹ね・・・?」

「えっ!?あなたは・・・?」

「昨日・・・投降したの・・・地下であなたを見たの・・・睨んでたでしょ・・・?」


「ああ・・・あの時の派手な格好の?すいません顔に包帯してたので・・・」

「いいの・・・ねぇ・・・?」

「は、はい・・・」

「地下に運ばれるって事は私、死ぬの?」

「ご、ごめんなさい・・・私担当じゃなくて・・・」

「そう・・・」桑田の言葉に何か気づく聖。

「す、すいません・・・」謝る桑田。


「それでロクは?」

「上で救出作業かと・・・」

「ロクって・・・どんな奴?」

「どんなって、幼なじみの兄ってしか答えようが・・・」

「やっぱり・・・」

「えっ?」

「あんた・・・嘘下手だよ・・・そんな答えじゃ・・・みんなバレるわよ・・・好きだって事も・・・ばれるよ・・・」


「えっ?そ、そんな・・・ロクさんとは・・・」

「いいの・・・目を見れば・・・分かるわ・・・」

 

 するとエレベーターが開き、二人の白衣の男が来た。

「ここで結構です。あとは我々が・・・」

「お願いします。」

「ち、ちょと・・・」

 聖はベットの上から桑田を呼んだ。ベットに近づく桑田。


「あんたらは・・・幸せになるのよ・・・」

「えっ?」

「じゃあね・・・」

 聖がエレベーターに入っていく。聖の言葉の意味が分からず、扉をポカンと見つめる桑田。



24:20  ジプシャン松島基地そば酒場。タケシは酒に酔い潰れ、丸田とヒデが嶋と石森の相手をしている。そこへ酒場の入り口から一人の露出の多い服装の女性が入って来る。その女性は目つきが悪く、ヒデの席に着くと座っていたヒデの腕を掴み、店の入り口付近まで引っ張り回した。ヒデはその強引さに、腕を振り払った。


「何だよ。ミキ!?」

「何だよじゃないよ。私たち女らにいつまでもあの兵らの酒の相手させるのよ?」

「今夜だけだろ?我慢しろよ!」

「嘘よ!兵らは言っていたわよ!女は軍には入れない。だから軍近くの酒場で慰安婦になって働くって・・・」

「嘘に決まってるだろ。真に受けるなよ!」

「じゃあなんで、胸やお尻をさわられなくっちゃいけないのさ。私たちはアジトに戻るわよ!」

「落ち着けよ。やっと軍に入れたんだ。今だけだ。我慢してくれ!」

「聖だっていなくなたのよ。どうすんのよ?」

「知らねぇよ。あんな女・・・」

「私は聖がいなくなってよかったけど・・・」

「そう言うなよ。」

「聖から聞いてんのよ!聖はあんたに抱かれての後悔してたんだから・・・」

「あ、あれは・・・あいつは誰にでも・・・ちょっと遊んでやっただけだよ・・・」言葉に勢いがなくなるヒデ。


「リキの姉を抱く勇気のある奴、他にもいたっけ!?」

「そ、それは・・・酒の勢いもあり・・・」

「あ、そう。酒の力なんだ?私の時も?」

「そ、それは・・・」

「もういい!」


 そう言うと、ミキは酒場から出て行く。すると後ろから嶋がヒデのとこにやって来た。

「どうした?揉め事か?」と嶋。

「なんでもない・・・」

「いい女じゃないか・・・?」

「そうか・・・」

「お前の女か?」

「違うな・・・」

「なら俺がもらってもいいよな?」


「あっ?」嶋に対して、やや怒ってみるヒデ。

「なーに、冗談だよ!呼び戻して、酒の相手をさせるだけだ。怒るな怒るな!」

 そうすると嶋は慌てて店を出て、ミキの後を追って行く。


「くそっ・・・」店の壁を拳で殴るヒデ。



 ミキは暗い夜道を、基地に向かって歩き始めていた。店の前には明かりがあったが、基地の方にかすかに明かりがあるだけで明かりらしい明かりはなかった。海が近いのか波の音だけが響いていた。すると後ろから誰かが走ってくる足音が聞こえミキは後ろを振り向いた。ミキはヒデが追いかけてきたと思いその場で立ち止まっていたが、それはヒデではなくミキの見慣れない男だった。


「おい、お前!」

「な、なによ?」

「ヒデのとこの女だろ?一緒に飲もうぞ。」

「嫌よ。私あの人と関係ないし。」

「じゃあ、なんでここにいるんだ?」

「もうアジトに戻るから、じゃあねーバイバイ!」

「脱走か?脱走は銃殺だ!」


 嶋は腰の拳銃を抜き、ミキに銃口を向けた。

「何の真似・・・?」強張るミキ。

「俺はお前らの上官になるんだ。上官の命令はジプシャンでは絶対なんだよ!!」

 

 すると嶋は拳銃でミキを殴り倒した。ミキは殴られ続け、顔面から血を流していく。

「く、くそがぁ・・・」

 殴られながらもミキは嶋に唾を吐きかけ抵抗する。

「てめぇ・・・口の減らない女だな・・・?」


 更に嶋は地べたに横になっていたミキを、更に拳で殴り始めた。

「ナメんなよ!アマっ!銃殺よりはマシだろ!?」

 身動き出来なくなり、意識を失いかけるミキは顔を腫らし涙を流していた。


「ヒ・・・ヒデ・・・」


 嶋はミキに馬乗りになり、ミキの着ていた短いタンクトップを両腕で引きちぎった。


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