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四天王  作者: 原善
第八章 さらば・・・ロク
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その1 キーンの魂

「ダブル・・・なぜここに?」

ロクは右手を押さえながら、ダブルを見上げた。


「総帥!こいつはポリス切っての交渉人。耳を貸してはなりません!ああ、こいつは大丈夫!女、子供撃たないから~平気、平気!みんな銃を下ろして大丈夫!」

ダブルが周りの女子兵士に対し言葉を放った。

「そもそも、犬飼参謀の拳銃を奪うくらいだからな、きっとその六つの拳銃も空だな?残っているのは背中に背負ったそのキーンのソードライフルの銃弾のみ?そうだろロク?」と脳天気なダブル。


「な、なぜお前がジプシャン軍に・・・!?」

「知りたいか?ふふふ、知りたいだろうな・・・?流石のお前も気がつかなかった?」

睨み合う二人。ロクは手を押さえながらその場で立ち上がる。

「仲間だと思っていた・・・」

「俺もだぜ、ロク。そんな悲しい顔すんなよ!」

ダブルは自分の機関銃をロクに向けた。


「教えろよ・・・最後くらい・・・」何かを諦めた様子のロク。

「俺はお前らと違って、五歳の時にジプシャンからスパイとしてP6に来た。幼い子供だ、まず疑われる事はなかった。後はお前も知っての通りだ!俺は四天王までに登りつめた・・・」と飄々と語るダブル。


「生きてると信じていた・・・だがこんな再会とはな?」

「ああ、あれは爆破と見せかけツヨシに助けて貰ったのさ!ポリスには死んだ事になるからな!あのジャガーはちょっと惜しかったがな・・・はははぁ!」

「お前はキキも騙していたのか!?」

「ああ仕方なかった。若気の至りって奴だよ!」笑って答えるダブル。


「全てお前が情報を流したのか!?」

「エアーブースター、レヴィア、P7、ミュウ研究所・・・全て俺がジプシャンに情報を流した・・・流石に四天王システムの全貌だけは掴めなかったがな・・・」

「ミュウの施設まで!?そんな機密な情報をどうやって・・・?」

「高橋の親父だよ!あのおっさん、酔うとベラベラと喋るんでね!暗証番号を聞き出すのは早かったぜ!」

「チィッ!あの親父・・・」得意そうなダブルの言葉に舌打ちするロク。


「なら知っているのか!?俺たちプロジェクトソルジャーが・・・?」

「知ってるさ。ミュウであって短命で終わるのもな!」

「そんな事まで知ってて・・・お前な・・・」呆れ果て落胆するロク。

「陽が撃たれた時も、偵察のふりをしてこの船に来てたわけだ!」

「あの時・・・?どうりでお前にしては手回しが良いと思っていたが・・・」


「そうそう!お前が浜田基地を奇襲する作戦を聞かされたとき、真っ先に名乗り出たのは、俺が浜田基地に短波無線で流していたのがバレるからだ・・・ついでにあのドサクサに、向こうの端末も消去出来た・・・証拠隠滅って奴さ・・・」

「なぜその時、松島奇襲作戦をジプシャンに流さなかった?」

「俺はこの総帥派でな・・・ついでにタケシが死んでくれた方が助かったんだよぉ~機会があればタケシ暗殺もあった訳だ・・・お前の奇襲やタケシ殺害は、期待通り働いてくれたという事だ!」ダブルは総帥の肩を優しく触れ、寛子もダブルの手を触れていた。妖しく笑う寛子。


「俺の首を切る前に・・・あのガラスにお前らの首を入れてやるよ・・・」怒りの表情に変わるロク。

ロクは背中のソードライフルを片手に取って、二人の喉元に剣先を向けた。周りの兵たちもロクに銃の狙いを付ける。

「おいおい!ロク?二丁の機関銃相手に、ましてこの人数だ!銃弾も尽きた・・・その剣で闘うつもりじゃないよな!?とても正気とは思えんな?」


「数は問題ないさ・・・だがな、どうしてもお前だけは・・・許さん!!」ロクは怒りに震え、今まで見たこともない顔つきになる。

「そうだ!もっと怒れロク!そういう最高のお前と闘いたいんだ!」顔つきが変わるダブル。

「ふざけんなっ!!」

「いつも嫉妬してたのさ!能力はいつもお前の次だった・・・キキと付き合った時も、あいつの心はいつもお前だったからな!」

「なんだと!?」

「お前がなつみしか見てなかったからな、あいつは諦めたんだ!そう言う女なんだよ!キキは!そこに俺がつけ込んだのさ!」

「なに!?」ロクはダブルの言葉に驚いた。

「全然気がつかなかったか?そういうのは相変わらず鈍いな!・・・いつもいつもお前のせいで、俺はポリスでは二番だったんだ!ここで決着付けようぜロク!?」

「の、望む所だ・・・」ロクは剣を大きく構えた。

「いいか?誰も手を出すなよ!」ダブルは周りの兵士を遠ざけた。


大きく剣を構えるロク。

『キーンの構えか・・・!?』ダブルはロクの剣の構えを見て驚いた。

『こ、こいつ・・・いつの間にキーンの技を・・・?』

ロクは少しづつ間合いを詰めていく。ダブルは昔、キーンの言葉を思い出していた。



回想。あるP6の地下の個室部屋。キーンとダブルがいる。

「キーンはなんでそんなに剣にこだわるんだよ?戦場じゃそんなに使わんだろ?」とダブル。

「なんだろうな?人は嘘を付くだろ?でも剣は嘘を付かないだよな・・・」キーンは黙々と、剣の刃先を手入れしている。

「ふーん・・・今時の戦争は、銃で済むだろうが?」ダブルは自分の愛用の機銃を持ち出し壁に狙いをつけたりしてる。

「ふふふ、確かに・・・ただそれじゃあ、なんか面白くないんだな~」

「面白い?そもそも戦争に面白いとか面白くないとかあるのかい?そのキーンのセンスがわからん?」とダブル。


「よく戦場で五期の連中に・・・そんな古臭いもの未だ良く振り回してますね!?・・・なんて言われるんだ・・・」

「誰だそんなこと言ってるんだ!?俺がぶっ飛ばしてやる!」とダブルが問う。

「まあ最後まで聞け。それである作戦で、五期の使っていた新型の拳銃は雨と埃で使用不可能・・・最後はこのソードがみんなの命を救った・・・」

「良い話じゃないか!」とダブル。

「古臭いものは、いつか使われなくなり、忘れられる・・・俺はそんな昔の武器が好きなのかもしれないな・・・なんか熱き血が流れているようでさ・・・人の魂が入り込むようでな・・・」キーンは剣先を伸ばし輝きを見ていた。

「しかしさぁ~いくらなんでも機銃相手には勝てんだろ!?」


「なら・・・試してみるか?それなりの訓練はしてきた・・・」

ダブルの言葉に、突然剣先をダブルに向けるキーン。今まで見たことのない構えで、キーンはダブルを威嚇してみせた。慌てるダブル。

「試すったってよぉ・・・おいおい本気じゃないよな!?」

真剣な顔から笑顔となり、剣先を下ろすキーン。ホッと胸を撫で下ろすダブル。

「ふふふ・・・ああ冗談さ・・・機銃相手、しかもお前は二丁だしな・・・俺に勝ち目はないな・・・ふふふ・・・」

敗けを認めているが、まるで闘いに勝ったかの様子のキーンをダブルは渋々と見つめていた。

『もし・・・?もし本当に闘ったら・・・俺は・・・?』



現在。ロクは剣先をダブルに向けていた。手の甲からは床に血が滴り落ちている。

『あの時のキーン構え・・・!?間違いない・・・!?』ダブルはロクの構えにキーンの姿がダブって見えた。

『キーン・・・そうか・・・お前はロクに・・・いつもロクだな・・・!?』


「機銃相手に、しかもこっちは二丁だぞ!ロク!?」キーンが叫ぶ。

「なら・・・試してみるか?」ロクは笑みさえ浮かべている。


『くっ・・・あの時とキーンとセリフまで同じか・・・?』ダブルの顔が歪んだ。


「お、お前に言って置きたい事があった!」突然ダブルはロクに叫ぶ。

「なんだ・・・?」

「タケシが侵入した時があったな?・・・あの時、なつみを殺したのは・・・俺だ!」


「なにぃぃー!?」ロクは再び奇声をあげた。

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