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四天王  作者: 原善
第七章 愛は砂漠に・・・
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その41 無謀なるバズー

「お前!?アシカムに何をしたんだ!?」

ロクがバズーに詰め寄った。

「ああ・・・ポリスの倉庫に眠っていた、自爆用の火薬をちょっとな・・・ほんのちょっとさ・・・」照れるバズー。


「お前なぁ・・・」呆れるロク。

「走行中のアイツ近寄るには、レヴィアじゃいい的だ!でもSCじゃ奴の空気圧で跳ね返っちまう・・・多少の重さがあって、砲撃を掻い潜れる早い足があるのは・・・こいつしかねぇ・・・」

バズーは整備されたアシカムを見つめた。


「突っ込む気かよ!?こいつで・・・?」

「ああ・・・仕方ないだろ?もう俺らしか残ってないんだからな!仕方ないんだよ・・・ダブルもキーンもいない・・・」

ロクはこんな悲しげなバズーを見たのは初めてだった。


「こんな火薬積んで・・・地対空・・・いやバズーカの弾一発でも喰らったら・・・?」ロクが問う。

「ああ、そうだな?アシカムごとドカンだな!?ハハハ・・・」

「バズー・・・」

「だからお前に援護してもらいたくってな・・・?」

「む、無茶言いやがって・・・敵はまだうじゃうじゃ・・・」鼻声になるロク。


「大丈夫だよ!彼女を悲しませる事はしない!ぶつける前にアシカムから脱出する!」とバズー。

「お前な・・・そんな事が戦場で・・・敵艦のエアーブースターは半端じゃない!生身で側から脱出など・・・」ロクがバズーに語る。次の瞬間、バズーがロクを抱き締めた。

「わかってる!理屈じゃねえだろ!?」


「お、おい・・・やめろ!汗臭いんだよ!恥ずかしいだろうが!」ロクが必死に抵抗するがどうにもならない。するとバズーがロクをゆっくり離した。


「ロク・・・後は任せたぜ・・・?」とバズー。

「お、お前も・・・皆と同じセリフだな・・・?」バズーの厚い胸板を拳で叩くロク。

「昔からお前は一番出来の良い弟だった・・・お前がいたから、ここまで戦えた!三期だけじゃない。一期や二期のみんなも、いや後輩たちもそうだったと思うぞ!」

「バズー・・・」


「命ある者はいつか終わる・・・ミュウと知って向き合ってから、どう自分にどう死に場所を与えれるか考えて必死に向き合っていた・・・死龍はいい死に場所を得たな?あいつはある意味幸せもんだ・・・だから俺にとってはこの戦闘が最高の死に場所だ!」目を輝かせるバズー。

「バズー・・・」

「四天王ってのは昔、国を守る四人の守護神だったんだろ?俺たちがこの街を守らなくて誰が守るんだよ?」

「な、なら・・・俺が最高の舞台にしてやるよ!」ロクはバズーが帰らない事を悟った。


「頼むぞロク!?」バズーが右手を差し出す。

「ああ、一発たりとも当てさせはしない!」ロクも握手を交わした。



エレベーターシャフト内のジャガー。

「三島!聞こえるか!?」と無線を飛ばすロク。すると代わりに出たのは怒り気味の陽だった。

『もう!どこに行ってたんですか!?敵艦は・・・』

「陽か!?急ぎ山猫隊、P5のSC隊の残りを全て北ゲートに終結してくれ!?」

『や、やりますけど・・・もうほとんど動いてる味方SC隊はいませんよ!?』と無線の陽。

「動ける奴でいい、頼むぞ!」

『へいへい・・・』

シャフトのゲートが開く。暗雲がかかっていた空だが、東の空から再び晴れ始めてきた。


「さぁーて・・・行きますか?」

ロクはギアを入れてアクセルを踏んだ。



P6北ゲート。アシカムの横には山口のクジラムまでいる。SCは3台程度が止まっている。

「あらら・・・こんなもんか?」

「ロクさん!?」山口が声をロクに掛ける。

「生きてたか!?山口!?」とロク。

「なんせこいつで実戦は初めてで・・・出てすぐ足を殺られましてね・・・」

「相変わらず逃げんのは得意だな山口!?」

「へへへ・・・」鼻の下を指で擦る山口。


そこにロクの背後からSCが3台やって来る。黒豹のアキラたちだった。

「お前ら・・・?」とロク。

「隊長!いえ艦隊司令!俺らも行きますよ・・・P6の全SC隊集結と聞いたんでね・・・?黒豹隊復活と行きますか?」とアキラ。

「非武装のお前らじゃ敵と交戦なんて無理だぞ!?」とロク。

「山口さんだけにいいとこ持って行かせませんよ!それに車内から機関銃くらい撃てます!」とアキラ。

「ったく・・・クジラムを入れても6台か?外にはまだ敵が百近くあるらしいな?」とロク。

「元々500対80でしたよ・・・良く対抗した方じゃないですか?」とアキラ。

「ふふふ・・・そうだな・・・さーて、行きますか?」


北ゲート前に並ぶ7名の兵士。ロクやバズーを中心に円陣を組む。

「これより、我が隊はアシカムの援護に回る。いいか!?砲弾一発たりともアシカムに入れさせるなよ!?」

「おおっ!!」



北ゲートから出てくるアシカムを中心としたP6最後のSC隊。するとその隊に近づく二台のSCがあった。

『私だけ退け者扱い!?そもそも黒豹隊は私の・・・』

無線の声は陽であった。陽のエスプリが隊の後方に加わる。

『俺も行きますよ!』陽の無線に割り込むボブのSC。


「お前ら・・・で?陽?レヴィアはどうした!?」と無線に語るロク。

『もう2隻しか動かないわ!主砲も全艦駄目・・・まあ相手の主砲も大分叩いたけどね・・・』

「あらら・・・壊滅ってとこか?一番艦は?」

『まだ走ってる。必死に奴を追いかけてるわ!桜井が地上で魚雷を撃つって言ってたわ!』

「さすが桜井!頼りになるなぁ~って地上で魚雷って・・・!?」

『関心しないで!で?今回はどんな作戦なん?』

「アシカムに敵の砲弾を当てない!で敵艦まで援護する・・・という単純な作戦だ!」

『それはそれは!兄貴?ではこの作戦をボブ大作戦デラックスと名付けP5とP6の合同作戦とし・・・』割り込むボブ。

『あちゃー・・・相変わらず男って生き物は・・・無謀ね?』ボブの無線を無視する陽。

「無謀か?そうだな・・・さぁーてみなさん来ましたよ!!」陽が言い終わる前にロクの無線。

『ええっ!?』


アシカム隊に迫るジプシャン軍のSC隊。その数、百前後。

「陽?ボブ?お前らのノルマ40台な!?」意気揚々のロク。

『ムリムリ・・・ってか後の60台はなんとかしてくれんの!?』意気消沈の陽。

「なんとか・・・・・・する!」

『でぇーました!!』と陽。


「さぁーて・・・ポリスの最後の悪あがき・・・見せますか!?」

ロクはガトリングバルカンのレバーを引いた。ポリス最後のSC隊が敵SC隊に突き進む。

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