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四天王  作者: 原善
第七章 愛は砂漠に・・・
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その39 なつみ暗殺の真相

這いつくばい、久弥に拳銃を向けるロク。高田は慌てて腰の拳銃を手にしていた。

「やめなさい!ロク!」震えながら拳銃をロクに向ける高田。

「いいんだ高田・・・このままロクに撃たせてやれ・・・」と久弥。

「親父さん・・・」その言葉に驚く高田。

「ロク・・・お前に撃たれるなら・・・本望じゃ・・・」


ロクは銃を構えながら立ち上がると久弥に狙いを定める。高田が久弥をかばい、ロクの目の前に立ち塞がった。

「ロク!親父さんを撃たせはしないわ!」

「退け!どうせあんたもグルだろうが!?」ロクは高田に銃口を向け、退けの合図を出した。

「あんたがあんな事をしなかったらなつみだって死ななかったわ!」

怒った高田の言葉に目を見開くロク。

「だからと言って、なつみを殺す事はなかったはず・・・」

ロクは再び床に倒れ込んだ。

「ロク・・・」高田も構えた銃を降ろした。


するとストレッチャーの上の久弥が重い口を開く。

「なつみはお前の監視役だった・・・」


「なつみが?俺を監視だと・・・?バカな!」ロクは再び久弥を見つめる。

「プロジェクトソルジャーは・・・いやミュウには一人一人に監視役がいたんじゃ・・・」

「なぜだ?」

「ポリスの中でミュウと共存する・・・ミュウを繁栄させない為に全てのプロジェクトソルジャーに監視役を設けた・・・24時間だ!」

「それがなつみか・・・?」


「そうじゃ、しかしなつみは任務の中で変わっていった・・・それどころかお前の子供を宿したのじゃ・・・」



回想。久弥の部屋。久弥の前になつみが立っていた。

「お前は・・・自分が何をしたのか分かっているのか!?」なつみを叱る久弥。

「は、はい・・・たった一つの約束も守れませんでした・・・これ以上はロクさんの監視役は無理です・・・親父さん!この任務をおろさせて下さい!お願いします!」久弥に頭を下げるなつみ。

「お前はミュウの子を宿したのじゃぞ!その意味が分かっているのか!?」

「好きな人の子です・・・私はもうどうなっても・・・」


「死も恐れない覚悟のようだな・・・?そこまでロクの事を・・・?」

「好きです・・・もうこれ以上ロクさんたちを騙し続けるのは嫌なんです!」

「どうする気だ!?」

「ロクさんに全てを話します!」決意のなつみ。

「バカを言うな!この計画に何年の歳月を注ぎ込んだと思っておるんじゃ!?」

「では私はどうすれば!?」

「少し時間をくれ・・・」なつみに背を向ける久弥。



現在。

「なつみは既に覚悟をしていたんじゃ・・・お前の子、ミュウの子を産み、死ぬ事をな・・・」

「なら、なぜなつみを殺した!?」

「そ、それは・・・今、全てをロクに話されてはプロジェクトソルジャー計画が無駄になる・・・」


「だから口封じに殺したのか!?ふざけるな!」怒るロク。

「確かにそうじゃ・・・」

「みんなどうかしてる!そこまでしてジプシャンに勝ちたいのか!?」


「人類を守る為だ・・・」意識を失いかける久弥。


「なんでだ・・・!?なんでだよ・・・たくさんの犠牲を出してまでもこの星にしがみ付きたいのかよ!?こんな砂だらけの星に!?」困惑するロク。

「なつみはお前の子を宿した時点で、遅かれ早かれ寿命は決まってしまっていた・・・」

「俺のせいだと言うのか!?俺がミュウと知っていたらなつみを愛してはいなかったさ!」反論するロク。

「死なせたくはなかったさ・・・ふたりともじゃ・・・」


「俺たちに全てを与えてくれたあんたが・・・俺たちの全てを奪うなんて・・・許さない・・・」

ロクは再び立ち上がり、ストレッチャーの上の久弥の額に拳銃を突き付ける。

「ロクやめなさい!」高田が止めに入る。

「いいんだ高田・・・ロク・・・撃て・・・」久弥はロクの向けた拳銃の銃口を掴み、自分の手で額に固定し自ら目を瞑った。

「う、撃つぞ!本当に撃つぞ・・・!」震える手で拳銃の引き金を引くロク。久弥は笑いながらロクを見つめた。


「ロクよ・・・自分の運命に向き合うんだ・・・」


銃口を握った久弥の手がゆっくりと下がり離れていく。久弥の手から血が滲んだ将棋の駒が落ちる。それは一枚の「歩」の駒だった。久弥は遂に息絶えてしまった。ロクはその歩の駒を拾い上げると、沸々と怒りが込み上げてくる。

「お、おい!?勝手に死ぬなよ!あんたにはこの戦争を止める義務があるだろうがぁ!なぁ!?勝手に死ぬなよ!おい?親父さん・・・」

ロクは、動かなくなった久弥の体を無理に引き起こし乱暴に揺さぶると久弥に語り続ける。


「そうだよ!おい!この戦争で何人死んだんだ!?おい?謝れよ!なあ!死んでいった兵一人一人に謝れよ!なぁ!?勝手に死ぬなよ!おい!?人類を守るだぁ!?俺たちは人類じゃないのか!?なぁ!?おい!?ふざけるな!」

「やめなさい!」高田がロクの頬を叩く。


「もうやめて・・・親父さんがなんで死ぬ前にあんたに全部話したか分かる!?」高田は泣きながらロクに向き合った。

「なっ・・・」戸惑うロク。

「あんたに戦争を止める事を託したのよ!」

「俺に・・・戦争を・・・?」

「孫の司令じゃなく、あんたにね!それがあんたの運命なの!だから

運命に向き合えと・・・」泣き崩れる高田。


「お、俺の運命だと・・・?」ロクはその場に立ち尽くした。

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