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四天王  作者: 原善
第七章 愛は砂漠に・・・
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その32 長距離弾道ミサイル

8時40分・首相官邸緊急対策本部。

「松島基地よりスクランブル発進!」ある補佐官が叫ぶ。

「片桐総理!アメリカペンタゴンよりホットライン!」

「どうした?」と総理。

「中央スクリーンに投影します!」


中央に投影された、衛星写真。皆が驚く。

「こいつは・・・?」

「日本海側に近い、北の最新の発射台です・・・間もなく発射体勢と連絡が・・・」

「大陸間長距離弾道ミサイル・・・!?」総理が驚く。

「脅しだ!核をちらつかせた外交しか出来ん国のやり方だ!見せ掛けだよ!」



8時41分・大平洋上空。実弾を積んだブルーインパルス機が高度を落としながら飛行している。

「管制、目標!ロックオン!」

ミサイルの発射態勢に入るインパルス機。既に周りの巡視船やヘリは遠くに離れている


「海中の・・・しかも潜水中のスクリューだけを狙えってか!?神に祈るしかないな・・・発射!」

インパルス機の左翼から発射されたミサイルは潜望鏡がある手前の海中に潜ると海中を突き進む。しかしミサイルは海中の潜水艦を通り越してしまう。


「ハズレ!次!最後!当たれ!」

パイロットは再度レバーを引いた。次はインパルス機の右翼からミサイルが放たれた。ミサイルはやや潜望鏡寄りに海上に着弾、潜水艦のスクリュー部分で爆発した。


潜望鏡が徐々に海中に沈み、終いには見えなくなった。



8時45分・首相官邸緊急対策本部。

「防衛庁から連絡!0843に潜水艦に命中!仙台湾沖55キロにて撃沈!」

歓声の沸く室内。


「総理!臨時会見の準備が整ってます!」ある補佐官がドアを開けてエスコートする。総理は無言のままゆっくり立ち上がると、そのドアの先へと歩きだした。フラッシュがたかれる中、総理が部屋を出ていく。



8時50分・陸上自衛隊多賀城駐屯地。トラックに取り残された大場はじっとラジオを聞いている。


『・・・間もなく片桐総理の緊急会見が始まります・・・仙台市内及びその近隣市町村に出していた。戒厳令を一時解除します。ただこの地区に出していた避難勧告はこのまま続行。これは我が国の海域に侵犯した国籍不明の潜水艦が原子力潜水艦という事、及びこの潜水艦が内部で放射能を漏らしている可能性があるという事。この潜水艦及び海域での放射能の検査を十分に行って、安全と分かった時点で始めてこの避難勧告を解除とさせて頂く・・・』


「避難勧告は続行・・・?妙だな?」大場は一人呟いた。すると真山が突然トラックに戻ってくる。

「加藤?家族はどうした?」

「いや・・・まだだが・・・」

「ちょっと来い!」真山は強い口調で久弥を呼んだ。

「ん?」久弥は目を丸くする。



9時02分・首相官邸緊急対策本部。総理がいない部屋で閣僚たちが雑談を始める。

「これからは大変ですな・・・マスコミにでもバレなければ・・・」

「マスコミ対策はどうなってる?」

「海域にはどの社も・・・」

「嗅ぎ付けられたら面倒ですぞ?特に地元の漁業団体がうるさいですからな・・・?」

「次は各国対策ですぞ?外務大臣?」

「そうですな・・・」

「アメリカを旨く使うしかありませんな?」


「いやはや・・・仙台と聞いて、もしやとは思いましたがね?」

「総務大臣・・・それは口が裂けても・・・」

「こりゃ失敬失敬!」

「間もなくで完成というこの時期に・・・この事が各国にでも知られたら・・・」

「偶然にしては出来すぎだな・・・?」

各閣僚は演説中の片桐総理のテレビを見つめる。



9時20分・陸上自衛隊多賀城駐屯地。久弥と真山が人気のないエレベーターに乗り込む。真山は地下三階のボタンを押した。

「こんな所にエレベーターあったか!?」と久弥。

「お前、エスシステムって知ってるか?」と真山。

「エスシステム?あの電磁波を使ってどうのこうのっていう奴か・・・よくは知らんが・・・?」

「あるんだよ!ここに・・・」

「はぁー!?」久弥は口を大きく開いて驚く。


エレベーターが止まり扉が開くと長い廊下が見える。

「なんだ!?この下こんなに広いのかよ!?」驚く久弥。

「ここから下はまた別ルートだ・・・」真山は胸ポケットからIDカードを出すと、すぐそばのエレベーターに乗り換え更に地下に進んだ。


「お、お前・・・何者だよ・・・?」と真山を疑う久弥。

「昔このシステムには少し携わっていた・・・ここから先は核シェルターだ・・・」

「か、核シェルターだぁ!?この駐屯地の下にか!?」驚く久弥。


二人はある廊下に面した個室に入ると、子供二人と女性の姿があった。真山の家族だった。

「家族だ・・・」黙って挨拶を交わす妻と子供。

「ど、どうも・・・で?ちゃんと説明しろ真山?」


「説明は後だ!お前も家族を呼ぶんだ!ここには暫く過ごせる分の水も食料もある!急げ!」と真山。

「食料?水?おい!?一体何が起きようとしてるんだよ?」


「戦争だよ・・・」

久弥は真山の発言に唖然とする。

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