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四天王  作者: 原善
第七章 愛は砂漠に・・・
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その29 ジプシャン最後の戦い

津波は内陸に行くほど弱くなり、ある程度進むと今度は沖に向かって引き始めた。残ったポリスの5隻のレヴィアは辛うじて無事でいた。海の水を被った荒野は泥沼と化していた。


「佐々木!2番艦はどうだ!?」陽が無線を取る。

『一部エアーブースターが掛からない物がありますが行けます!』

『5番艦!主砲の火薬庫に浸水!主砲は不能です!』

『7番艦無事です!クルーの数名が甲板から落下!』

『3番艦、側面に大破箇所あり!海中は無理ですが陸上の航行はなんとか可能!』


「それで、艦隊司令とどこぞやのアホアホは!?」と陽。

『誰がアホアホやぁ!?こっちは無事やでぇー!それで陽?ボブ大作戦なんだがここは一つな・・・?』

「それで艦隊司令の方は?無事なの?」ボブを無視する陽。

『俺を誰だと思っている・・・?ん?』とロクの無線。

「へいへい・・・ったく、男って生き物は・・・?で、これからどうしますか艦隊司令!?まだまだ秘策はたっぷりあるんでしょうね!?」

『ない・・・』あっさりと答えるロク。

「あちゃー!」頭を抱える陽。

『まあ、無くはないんだけどな・・・』遠慮気味のロク。

「へいへい・・・ここまで来たら何でも乗りますよぉー?」ヤケになる陽。

『その前に・・・P7の救出に人手をくれ!?』

「この泥の中を!?無茶です!タイヤを取られますよ!」と陽。

『な、なんとかする・・・』

「言ったら聞かない・・・ですよね?」呆れる陽。



ジプシャン軍大型旗艦ブリッジ。

「甲板の上の敵はどうした!?」

「まだ交戦中!?」

「第二主砲が爆破された!?どういう事だ!?」

「第二ブロック敵兵侵入!?大筒の真下だろうが!?何してんだ?」

「木馬の爆破で第二ブロックの左舷が大破!海水が・・・?」

こちらのブリッチも混乱していた。


「ツヨシのSC隊を甲板に出す!敵はまとまって撃ち取れ!」と寛子。そこにポポが近寄る。

「寛子様。雲の動きが早くなっております。大筒を撃つとしたらこれが最後かと・・・?」とポポ。


「ふん・・・敵艦隊の動きは?」と一度窓の外の空を見る。寛子はポポを無視して別の兵に問う。

「津波の影響で南700メートルまで流されています!だいぶ混乱している様子です!」

「犬飼!?艦を街のすぐ側に着けろ!」

「しかし・・・あの牙のような塔もまだ二本残っております・・・下手に近寄っては・・・?我々はまだあの塔の正体を何も分かってはいないのです・・・」と犬飼。

「犬飼?何を怖じ気づいてる!?」犬飼を鋭い視線で睨む寛子。

「わ、私は・・・な、なにも・・・」


「ポポ?太陽光が少なくても発射は可能か!?」と寛子。

「出来なくはないですが、当然威力は半減しますが?」

「構わん!急ぎ次の発射準備だ!」

「ははっ!」

「犬飼!艦を街に向かわせろ!これをジプシャン最後の作戦とする!」寛子はP6の街を指差した。



ロクは海岸に打ち上げられたP7の残骸のすぐ側に車を止めると、走ってすぐ側に近寄った。海岸にはP7の乗組員と思われる遺体が海岸中に至るところに転り、そこから大量の血が海へと注ぎ込まれている。海は赤く染まっている。


その中、ロクは海上に漂う見慣れた兵を見つけると、自ら海に飛び込みその者を抱き起こした。

「楠本さん!?」

「ロ、ロクか・・・?」そこにいたのはP7の指令室を任されていた楠本が仰向けになって海上を漂っていた。


「しっかりして下さい!」ロクは海岸まで楠本を引っ張って行く。

「や、奴は・・・?」

楠本がロクに問う。すると遠くに停泊していたジプシャン軍の大型艦がエアーブースターを始動させ動き始める。艦は街の方向に向かって行く。


「そうか・・・うっ・・・」腹部を押さえる楠本。

「楠本さん!?すいません・・・奴を止めれませんでした・・・」とロク

「あの大砲自体・・・P7の砲撃もレヴィアの主砲も無力だ、破壊する事も出来ない・・・全て向こうが一枚上だぞ・・・?」

「どうすればあの大砲を止めれますか!?」

「こ、こっちもソーラーキャノンを使えればいいがな・・・奴を内部から止めるか・・・それ以上の爆発力があるものしか手はない・・・ううっ!」

「楠本さん!しっかりして下さい!・・・そう言えば親父さんは何処に!?」

「あそこだ・・・」

楠本が必死に指差した先には、黒服の男が砂浜に打ち上げられていた。

「親父さん・・・!?」ロクはすぐ誰か分かった。


「ロク?この戦い・・・俺たちに勝ち目がないようだぞ・・・見ろ!縁起でもねぇ!太陽が欠けてきたぞ・・・」空を見た二人。そこには太陽が月のように欠け始めていた。

「た、太陽が・・・な、なぜ・・・?」

「太陽の部分日蝕だ・・・まさか最後に見れるとは・・・?」

そう言うと楠本はロクの腕の中で静かに息を引き取った。

「く、楠本さん・・・」


ロクは楠本の遺体を砂浜にそっと置くと、その黒服の男に走り寄った。


「親父さん!?」ロクはその男を抱き抱える。

それは意識のない久弥だった。よく見ると久弥は腹部に長い鉄骨が差さっている。

「くそっ!親父さん!!」

ロクはその久弥の鉄骨を無理に抜こうとする。すると久弥が意識を取り戻し、ロクの手を制止した。

「ロクか・・・?」

「親父さん!しっかり!今こいつを抜きます!」

「だ、駄目だ・・・」

「ではこのままP6に連れて帰ります!」

「ここでいい・・・ロク・・・?」

「はぁ?」

「わ、わしが死ぬ前に・・・お前に全てを話しておこう・・・」

「親父さん・・・?」ロクは困惑した


「この世界の全てを・・・そして始まりをだ・・・」久弥はロクを見つめた。

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