その27 秘策
「神は滅んだのだ・・・神は・・・」寛子が叫ぶ。
「ひ、寛子様・・・」ポポも犬飼も驚いた。
「撃つのだ!早く街を!」既に正気を失っている寛子。
「左舷七番砲被弾!!」
「水中用方向転換器大破!」
「55機銃砲座爆破!」
「右レーダー破損!」
「左ブロック後方で火災!消火隊急げぇ!」
「レーダー使用不能!」
ブリッジ内で飛び交う情報。後方からレヴィアの砲撃が始まるとブリッジ内は爆音と激しい振動に包まれていく。
「レーダー不能だと!?見張りを屋上に立てろ!これより有視界で戦闘を続ける!伝令?伝令はどうした!?」犬飼が指示を出す。
ポポは立っていた寛子を何とか席に着かせた。
「左舷に敵艦!接近します!」
「その後方にも、もう一隻続いています!」
「か、囲まれている・・・寛子様!作戦を中止しましょう!?」と犬飼。
「ば、馬鹿を申すな!あと一歩でポリスを殲滅出来るのだ!ポポ!?発射までの時間は!?」と寛子。
「あと八分!」ポポが答える!
「耐えろ!耐えきれ!全ての弾丸を撃ち尽くすのだ!!」寛子が叫ぶ。
レヴィア10番艦ブリッジ。
「陽のじゃじゃ馬め!昔からお前とロクだけは言うことを聞きやしない・・・一番艦には当てさせんぞ!」高森が叫ぶ。
レヴィア1番艦ブリッジ。
「10番艦が我が艦の前に出ます!」と桜井。
「こちらを庇う気か!?多聞?援護を!」と陽。
『やってますわ!』と無線の多聞。
ジプシャン軍大型旗艦からの砲撃が10番艦に集中する。瞬時に火だるまと化すレヴィア10番艦。ブリッチいた高森は爆発の衝撃で床に叩き伏せられた。
「くっ・・・レヴィアと同じ構造ならエアーブースターはあの箇所・・・?速度最大!奴の横腹を突く!」
速度を上げ大型艦の横腹に突っ込むレヴィア10番艦。
レヴィア1番艦ブリッジ。
「10番艦が敵の砲撃の集中砲火を浴びています!」と国友。
「た、高森教官!?多聞!援護射撃何してる!?」無線を飛ばす陽。
『こっちは一門しかないんでっせ~無茶苦茶ですわ~!』と無線の多聞。
「泣き言を言うな!!三島?敵後方の味方艦隊は!?」
「砲撃は開始してます!」と三島。
「敵主砲の何門かは叩いています・・・しかし数が多く!」と国友。
しかし10番艦は陽の目の前で大破していく。
「高森教官!!」
『陽!?聞こえるか?』突然スピーカーに高森の声が流れる。
「教官・・・?」
『わりぃ・・・辿り着けも出来そうもない・・・だが敵の砲撃を短期間だがこの艦に集中させた・・・後は任す・・・俺の役割は・・・』
突然無線が切れる。次の瞬間、10番艦は巨大な炎を上げて大爆発してしまう。
「き、教官!?高森教官!?」陽が叫ぶ。
ロクのジャガー。陽たちの無線を聞いていたロク。
「高森さんが・・・?」ロクはハンドルを強く叩く。
ジプシャン軍大型旗艦ブリッジ。
「左舷敵艦撃破!」
「発射まであと五分です!」とポポ。
「これで終わる・・・ポリス!?」
『艦橋上です!左舷の残りの艦の後ろ!何か見えます!』突然スピーカーが鳴る。
「左舷だと!まだ何があるんだ!?」と寛子。
『砂塵でよく見えません!SCも多数あり!真っ直ぐこちらに向かって来ます!』
レヴィア1番艦の後方に砂煙に混ざりながらある物が大型艦に突っ込んで来る。
ジプシャン軍大型旗艦ブリッジ。
「さ、三角木馬!P5の三角木馬です!」ある少女兵が叫ぶ。
「P5だと・・・!?ば、馬鹿な・・・なぜ今ごろ!?」寛子は驚いた。
ロクのジャガー。無線に叫ぶロク。
「遅いぞボブ!」
『いやぁ~すいません!道に迷いまして・・・』とボブの軽い声。
「ったく・・・犠牲を出し過ぎたぞ・・・」
『敵のレーダーを封じてからの出番でしょ!?レヴィアの風下に立つのだって至難の業ですよ!』
「砂塵を使って味方を隠す・・・いつもの俺の手だろ?まあいい!それと今回はタケシの三方魚雷を真似させてもらった!右舷にP7、左舷にP5、後方にレヴィア艦隊・・・これこそポリス流三方魚雷だ!」ロクは前方の敵艦を睨んだ。