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四天王  作者: 原善
第七章 愛は砂漠に・・・
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その20 対峙する竜

陽は慌てていた。

「敵の大筒の射程距離は約五キロ!P5の時はそうでした。この距離なら、味方艦と共に第二艦隊五隻を葬れます!」

「味方艦一隻を犠牲にしてまでか?まさか・・・」ロクは驚く。

「念には念をです!直ちに第二艦隊を散開して下さい!」

「うん・・・三島、4番艦に無線だ!」

「了解!」


『こちら4番艦、艦長代行白井!』

ロクはその声に驚く。

「白井!お前もかよ!?重傷だったろうが!?」

『この程度で寝ていたら、ポリスの笑われ者ですわ!キーン艦隊指令の仇は取らせて頂きますよ!』

「どいつもこいつもだな・・・」ロクは無線をしながら陽の顔をチラ見する。



レヴィア第二艦隊旗艦4番艦ブリッチ。

「任せて下さい!これ以上、敵艦を近づけはしませんよ!」と白井。

『違うんだ!奴の正面に立つな!直ちに艦隊を左右に展開しろ!』とロク。

「何を言うんですか!?我々が退いたら、この艦はポリスへの射程距離に入ります!街が火の海に・・・?」

『退くんだ!後方の敵大型艦の動きが妙だ!前方の艦は囮かもしれん!?』

「どういう事です?」

『敵は味方ごとソーラーキャノンを撃つ可能性があるという事だ!』

「バ、バカな・・・では七番艦から十番艦を更に左右に展開!我が艦はこの先頭の敵シップを迎い撃ちます!」

『白井!?これは命令だ!?』ロクは激怒した。

「こればっかりは出来ませんよ!なーに、一対一なら敵も撃っては来ませんよ!では!」白井は一方的にロクとの無線を切った。


「七番艦から十番艦は敵シップに対して更に左右に展開!更に距離を取れ!」

白井の命により、レヴィア第二艦隊の七番艦から十番艦はツヨシのサンドシップから距離を置こうとしていた。



ジプシャン軍旗艦ブリッチ。

「敵艦隊!中央の一隻を除いて更に左右に展開!」ある少女兵が叫んだ。

「気づかれたか?一隻だけは残ったのか?ポリスにしてはいい受けだ!良い策士がいるとみた!よし、このままソーラーキャノンを発射する!前のツヨシに退けと伝えよ!」と寛子。



ツヨシのサンドシップ。

「このまま撃つだと!?」ツヨシの顔色が変わった。

「はっ!直ちにこのコースから外れろと!」両角が慌ててツヨシに申告する。

「所詮は姉貴のお膳立てかよ!くそっ!・・・取り舵だ!」

急速にコースを変えるツヨシの船。



寛子の乗る船はゆっくり速度を落とし、荒野に停止しようとしていた。エアーブースターが止まった事で、船の周りに放出していた砂煙が徐々に消えていく。そしてポリスのレヴィア第二艦隊の前には巨大なサンドシップが姿を表した。



レヴィア4番艦ブリッチ。

「こ、これは・・・?」その姿を直視し驚く白井。



ポリス指令室。大型の中央スクリーンに写し出されるジプシャン軍の大型艦。

「ああっ・・・」声を失うルナ。

「バ、バカな・・・」愕然とする指令室と弘士。



レヴィア1番艦ブリッチ。ブリッチの窓から遠くの大型艦を直視するロク。

「こ、こいつ・・・レ、レヴィアそのものじゃないか・・・?」



その姿はポリスの1番艦から5番艦のレヴィア艦にそっくりな作りで、長さは500メートルを超える超大型艦だった。ブリッチは4階建てのビルに匹敵する建物が甲板中央部分に聳え立っている。甲板の高さ自体もポリスのものと比べると倍近くで、甲板の上には無数の主砲や機銃が取り付けられていた。すると甲板の前方部分が開き、大型の大筒が音を立てて反り出して来た。その大筒だけで長さは百メートルを超え、その直径も十メートル以上ある。


「ポリスよ!この船の勇姿を特と見よ!」寛子が珍しく席から立ち上がった。



敵SC隊と交戦中のダブル山猫隊。しかし敵SC隊が蜘蛛の子を散らすように退散していく。

「撤退!?どうしたんだ?圧倒的なのに?この状況・・・?山猫隊は急ぎ敵SC隊を追え!」ダブルが逃げる敵を見て不信がる。



レヴィア4番艦ブリッチ。白井が先頭の敵中型艦がコースを外れるのが見える。

「逃げる気か!?お前だけ逃がすかよ!!・・・構わん!このままあの艦に突っ込めぇぇ!」


レヴィア4番艦が全速力でツヨシ艦に突撃する。

「キーンさん・・・あんたの言葉ようやく理解出来たよ・・・確かに答えが分からん方が楽しいわっ!!」白井が一人叫ぶ



ツヨシの乗るサンドシップ。左舷からレヴィアが突っ込んで来る。

「左舷敵戦艦接近!」ある兵が叫ぶ。

「また特攻か!?どいつもこいつも馬鹿の一つ覚えがぁ!主砲!回避しながら撃ち返せ!」ツヨシが叫んだ。



接近になり互いに砲撃を喰らう両艦。しかし白井の艦がツヨシの艦の横腹に衝突する。甲高い金属音と共に両艦は激しく揺れ、立っている物は床に叩き伏せられる。

横に退避しようとしていたツヨシの艦は完全に足を止められ制止してしまった。


「砲撃止めろ!どうだ!これで後方の大型艦は撃てまい!?」衝突の衝撃で転んでいた白井が叫ぶ。



ジプシャン軍旗艦ブリッチ。

「敵中央の艦がツヨシ様の艦に激突!二隻は完全に制止した様子です!」ある少女兵が叫んだ。

「ポリスめ!どうされますか総帥!?」犬飼が叫ぶ。

「犬飼!このまま大筒を撃て!」寛子が命令を下す。

「し、しかし寛子さま・・・このままでは我が軍の艦が・・・?」


「退避命令は・・・出したよな?聞けん奴が悪いよの・・・」寛子は顔色を変えず犬飼を睨む。

「ツ、ツヨシ様はどうされます?」狼狽える犬飼。

「今、撃つのだ!敵艦隊が離れてしまう!」正面に指をさす寛子。

「は、はあ・・・発射準備続投!目標敵艦隊!」



ツヨシの艦。

「敵兵がこちらに!白兵戦です!」

「後方の味方艦!大筒発射体制続行!」兵たちが叫ぶ。


「何だと・・・?モロズミ!?」ツヨシは急ぎ両角を呼び寄せる。



レヴィア1番艦ブリッチ。

「敵中型艦に白井の4番艦が衝突した模様!」と国友。

「白井・・・三島無線だ!」ロクが唇を噛み締める。


『こちら4番艦!』声は白井だった。

「白井・・・お前・・・」声にならないロク。

『これで後方は撃ってきません!味方もコースから外せそうです。後は第一艦隊に任せますよ・・・こちらはこのまま白兵戦に・・・』


無線の途中で途絶える白井の声。次の瞬間と共に荒野は赤く染まった。轟音と共にロクの艦まで地響きが伝わる。

「な、なんだ?白井!?どうした?」ロクがマイクを掴んだ。

「艦隊司令!?て、敵が味方ごとソーラーキャノンを撃った模様!」と国友。

「なんだと・・・?」

「敵艦及び4番艦は消失・・・両脇にいた8、9番艦に甚大なる被害!7、10番艦は無事です!」


「し、白井・・・」ロクは窓に詰め寄った。

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