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四天王  作者: 原善
第七章 愛は砂漠に・・・
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その19 寛子、父と闘う

P6指令室。

「西より敵中型艦!及び敵SC隊多数!先日北ゲートに突入した艦と思われます!」柳沢が叫ぶ。

「丘の敵のSC隊は!?」弘士も叫ぶ。

「第一波は凌げそうです!続いて第二波来ます!!」と柳沢。

「西の敵艦に第二艦隊を向かわせろ!」

「了解!」



丘の上に陣取る大広の部隊。

「百二十台が敵艦隊を突破しましたが・・・雷獣が・・・」ある兵が大広に言う。雷獣の言葉に顔色が変わる大広。

「またも奴ですか?それで何台ポリスに?」

「わ、我がバイク隊は一台も突破出来ず・・・」

「バ、バカな・・・」



ロクのジャガーに近寄るダブルのジャガー。

『お前いつも良い所を・・・』と無線のダブル。

「手伝い要らなかったか?」

『ふふふ・・・でもようやく分かったよ!』

「何がだ?」

『これはタケシが最初にP6を襲った戦法だろ?』

「ああ、所詮は数が多くても駄目だって事だよ。結局はそれを統一する力がなければ駄目なんだ。ここはタケシのように単独の方がやり易い!タケシの戦いは参考になった!」

『ふふふ益々、お前を敵に回せないな!』

「バルカンの弾切れだ!一度レヴィアに戻る!」

『レヴィアで補充!?いつからそんな便利に?』

「スミの提案でな?日々人は進化するんだよ?なんならダブルも補充しておくか?」

『そういう言い方、ほんと嫌な奴・・・』呆れるダブル。

「ふふふ、ありがと!」

そこに桜井から無線が入る。


『艦隊司令!敵の中型艦とSC隊五十!が南西から来ます!第二艦隊と4番艦の5隻を向かわせろと司令から連絡が?』

「分かった!聞いたかダブル?ここは任せる!」

『おいおい!またいいところを持って行く気か!?』

「ならそっちを任せていいか?ここは俺とバズーでなんとかする!」

『出た出た!望むところだよっ!山猫隊に告ぐ。西の敵SC隊を迎撃する!バズー!?頼むぞ!』

『おお!やっと俺らの出番か!』無線に割り込むバズー。



移動中のレヴィア1番艦の車庫に入るジャガー。すると車庫には陽の愛車のロータス・エスプリが先に入庫している。

「陽のロータス?なぜここに?」

メカニックが急ぎジャガーの銃弾を入れ換える。

「入れ換え急げよ!敵はまだ来るぞ!俺はブリッチに一度上がる!」

ロクは狭いラッタルを甲板まで一気に掛け上がる。


甲板からブリッチにタラップを上がるロク。

「戦況は!?」ロクが叫んだ。


「どうもこうもないわ!」

ロクの席に座っていたのは、横腹を押さえている脂汗をかいた陽の姿だった。

「お前・・・大丈夫か?重傷だろ!?」

「何よ!自分の艦隊を放っておいて、指揮官自ら最前線に立つからよ!動けない分、ここで指揮くらい手伝いますよ!」

「お前な・・・?」呆れるロク。

「はいはい、説教は作戦後で聞きますよ!こう見えても航海戦術なら、ロク先輩より上でしょうから!」

「・・・嫌な奴・・・」薄目のロク。



ジプシャン軍大型旗艦ブリッチ。

「何っ!?先鋒の死神が!?」寛子は激怒していた。

「ははっ!敵艦隊を突破したのは四割・・・しかしその後、雷獣と思われるたった一台に隊は全滅・・・」弁明する犬飼。

「まあ、奴には期待してんよ・・・それにしても敵の動きがいい。なぜだ犬飼?」

「ははっ!数が少ない上に皆必死かと?また先日のP5陥落が既にP6に伝わっているかと・・・」

「ふん!まあ簡単にはいかんな・・・兵に伝えよ!雷獣の首を撃ち取った者は即幹部と基地ひとつを任すとな!」

「ははっ!」犬飼が寛子に変わって号令を飛ばす。


「犬飼?お前将棋は出きるか?」頬杖の寛子が犬飼に問う。

「ショウギ・・・ですか?核戦争前のゲームですね?一応ルールぐらいは存じております・・・」

「私の父はこの将棋が好きでな?小さい頃、私とタケシはよく父に指してもらった。」

「はあ・・・」

「父の囲いは矢倉囲いといい、いつも頑丈でなかなか攻めるのが難しかった。しかしある日、我が飛車の前に香車という駒を置き、初めて父に勝った覚えがある。」

「キョウシャですか?」

「今、まさにその布陣よ。まるでその父と闘っているようだぞ・・・」

「はあ・・・?」寛子の声に唖然とする犬飼。


「ふん!大広に先鋒を任すべきではなかったようだな!・・・しかしこれでいい演出にはなったか?敵艦隊の正面に立て!進路南だ!予定通りツヨシの後ろにまわる!ふふふ、ここはひとつツヨシに香車になってもらう・・・」



P6指令室。

「敵の大型艦!進路を南に取りました!南西に10キロ!」と柳沢。

「ロクの言う通りになったな?しかしそう上手く行くかな?」腕組みする弘士。

「7番艦主砲大破!」松井が叫ぶ。

「同艦怪我人多数!艦内で火災!」我妻も叫ぶ。

「7番艦を大破寸前で予定の位置に移動させろ!いいか!ただで転ぶなよ!」

「敵のSC隊と山猫隊接触!」ルナが続けて報告する。

「五隻でたった一隻を沈められないのか・・・?」弘士が嘆く。



ツヨシが率いるジプシャン軍中型サンドシップ。

「寛子様の旗艦!南に迂回するようです!我が艦の後方に出ます!」若い兵が叫んだ。

「何だと!なぜ後ろに・・・?」慌てる両角。

「落ち着け!敵は乱れている!砲撃よく狙え!」

指揮をしていたツヨシだが、目で側にいた両角を無言で呼び寄せた。

「この船では勝てん。クルーも慣れていない・・・頃合いを見て脱出するぞ・・・」小声のツヨシ。

「しかしそれでは命令に背く事に?」と両角。

「姉貴の考えは分かっている。この船を犠牲にしポリスへの道を開くつもりだ・・・見ろ。クルーも最小限しかいない!」小声でブリッチの周りを見渡すツヨシ。

「ま、まさか・・・?」

「これ以上の前進は不要だ!ここで撃ち合え!」

「ははっ!」

「・・・脱出の準備だ・・・」小声のツヨシ。

「ははっ・・・」


レヴィア1番艦ブリッチ。

「艦隊司令!ジャガーのバルカン補充完了しました!」三島が叫ぶ。

「よし!なら陽?任せるぞ!」ロクがブリッチを出ようとする。

「艦隊司令?指令室より入電!」三島がロクを呼び止めた。慌てて陽のいる席に戻るロク。


「繋げ!」

『ロクか?』席のモニターに出たのは弘士だった。

「はい!」

『南西から敵の大型艦が来る。第一艦隊はこいつの北に迂回し、敵艦の迎撃に当たれ!』

「り、了解!ですが・・・北から来る第二波の敵のSC隊は?」

『お前のセリフじゃないけど、こっちでなんとかする!』

「しかし、その数は三百ですよ・・・?」

『街にも守備隊はある!アシカムも二台あるしな・・・?まずはこの大型艦だ!』

「分かりました!直ちに第一艦隊四隻は敵大型艦迎撃に向かいます!」

『頼むぞ!』弘士との無線が切れる。


「桜井!反転して北に迂回!敵大型艦の左舷に出る!」

「了解!」と桜井。


「ちょっと待ってよ!」陽が呼び止める。

「どうした?」とロク。

「国友?敵大型艦の位置は?」

「えっー・・・敵中型艦の後方約4キロですね?」

「ちょっと待って、じゃあ敵大型艦、中型艦、うちの第二艦隊は直線上なの?」

「そ、そうですが・・・うちの4番艦を中心に逆ブイの字態勢で展開してます!」と国友。

「ま、まさか・・・艦隊司令!直ちに第二艦隊を左右に展開して下さい!」何かを思い慌てる陽。

「どうしたんだ陽?」ロクが陽を伺う。


「こ、この陣形?何か嫌な予感がします・・・」陽の脳裏を何かが過った。


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