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四天王  作者: 原善
第七章 愛は砂漠に・・・
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その18 砲雷

荒野を走行中のレヴィアの左横から、勢いよく飛び出すロクのジャガーカストリー。ジャガーはあっという間にレヴィア艦隊を追い越すと、ダブルが待つ山猫隊に合流していく。


『何でお前が来るんだよ!?』

突然の無線がジャガーに入る。ロクの運転席のフロントガラスにはダブルの顔が映る。


「ああ?50はお前のノルマな?」

『たった50かよ?俺は余程信用されてないな?』苦笑いのダブル。

「まだまだ後から来るぜ!ここは若い奴等を温存しないとな?」

『おいおい俺らもまだまだ若いんですけど・・・?』


ロクのジャガーがダブルのジャガーの横に止まる。二台の後ろにはP6の全てのSC隊が待機している。その遥か後方にP6の街並みが見えていた。ロクとダブルは車内から前方を見ている。丘の向こうに空高く舞い上がる砂煙。その丘とロクたちの前にレヴィア艦隊が縦一列に並び始めている。ロクはドア窓からダブルを見つめる。


「死ぬなよ!ダブル?」車の窓を開けダブルに叫ぶロク。

「お前もだよ!・・・ロク?」ダブルも叫ぶ。互いに窓を閉める二台。


すると先頭の二台の横にバズーのアシカムが並び停止した。

『おいおい!仲間外れするなよ~!』無線のバズー。

『しょうがないな・・・遅れんなよ!』とダブル。

「後ろに居てくれた方が助かるんだよな・・・?」とロク。

『お前らなー!!後で・・・』

「来るぞ~!」怒る面倒なバズーにロクが叫んだ。


丘の上にはSCの物と思われる砂煙が見えてくる。それがドンドン横に広がって来る。

『丘の上に出ます!敵SC隊です!』

ジャガーの車内に響くルナの声。



レヴィア1番艦ブリッチ。桜井が窓から丘を見つめている。低い砂煙が徐々に近づいて来るのが分かる。

「来るぞ!各艦砲撃用意!」



P6指令室。中央スクリーンには丘の下に並ぶレヴィア艦隊が映し出されている。その丘の上に徐々に見えてくるジプシャン軍のSC隊。息を飲む指令室一同。

「あ、ああっ!!」スクリーンを見ていたルナが声を漏らした。

「な、なんて数だ・・・」曽根も席を立ち上がった。

「・・・」黙って腕を組む弘士。



丘の上に並ぶジプシャン軍のSCやバイク隊の大群。隊は横一列に丘の上に並ぶと頂上付近で一時停止した。その長さはレヴィア艦隊が9隻並ぶ長さよりも長くなっている。隊はその丘の上から動くことなく停止したままだった。


「野郎・・・」桜井はブリッチ内で降りて来ない敵に向かって呟いた。



ジプシャン軍のSC隊の大群の中にバイクに乗った大広の姿があった。大広は大きく右手を高く挙げると、無言のまま丘の下へと指先を

下ろした。


一斉に丘から駈け降りるSCとバイク隊の群れ。その光景は誰も見たことのない風景だった。



レヴィア1番艦ブリッチ。

「桜井さん!」余りの光景に三島が叫んだ。

「まだだ!もっと引き付けてからだ!!」

急な坂を一列となって降りてくるバイク隊やSC。その大群が丘の中腹を差し掛かった頃だった。


「各艦!てぇー!!」

9隻のレヴィアの主砲が一斉に火を吹く。まるで束となった雷が一度に落ちたほどの音となった。ジプシャン軍のSCはこの主砲の弾丸をまともに受け木っ端微塵に吹き飛ぶ物や、この爆風で丘を横転しながら転げ落ちるSCまである。

レヴィアの激しい砲撃で丘の中腹は原型が残らないほど形が変わってしまう。


丘を無事駈け降りたジプシャン軍のSC隊は、そのまま正面のレヴィア艦隊に突進を始める。しかし、次に彼らを待っていたのはレヴィア艦の横腹に付けられた複数の機銃砲だった。しかし、数で勝るジプシャン軍は、その機銃砲すら掻い潜ってレヴィアとレヴィアの間を抜けて走り出す者まで出てくる。


レヴィア1番艦ブリッチ。

「な、なんて数だ・・・主砲は最初の一撃だけか?奴等それを計算して横一列に・・・機銃!よく狙え!抜けたSCは後方から狙え撃て!!機銃!仲間に当てるなよ!」



ポリス山猫隊。レヴィア同士の隙間から一台、また一台と突破し、中央に集結しながら山猫隊の前に現れてくる。先頭にはロクのジャガーカストリー、ダブルのジャガーストーム、バズーのアシカムが待ちわびている。


「ダブル?ノルマ50台忘れんなよ!?」ロクが無線を飛ばす。

『おいおい・・・50で済むかよ・・・?』怖じけずくダブルの声。

『なんとかする!!』するとバズーが二人の無線に割り込む。

「お前が言うな!」怒る二人。


ダブルのジャガーストーム。二手に別れて迫る敵SC隊。

「いいか!山猫隊は俺とロクが撃ち損ねたSC隊だけを囲って撃ち取れ!バイク隊には目をくれるなよ!ロク!行くぜ!」

『ああ!俺は左舷の隊を!バズー遅れんなよ!』と無線のロク。

『ダブル?なんで俺の名がないんだ!?』とバズー。

「お前は黙っとけ!」と怒るダブル。


ロクのジャガーとダブルのジャガーが敵SC隊に突っ込む。ロクはガトリングバルカンのレバーを押し込みバルカンをジャガーの屋根の上に競り出す。またあるスイッチを入れるとタイヤホイル中央から花ビラのような金属が開き、タイヤの横側を隠すように覆った。


二台はアシカムをあっという間に引き離すと、敵のSC隊のど真ん中に向かって突進する。慌ててハンドルを切り回避するジプシャン軍SC隊。するとロクはジャガーにスピンを掛け、回転しながら敵SC隊の真ん中でバルカンを撃ちまくる。一気に十台近い敵SCを破壊する。


「あいつ、いつの間にタケシの技を・・・?俺もやってみよ~う!」ダブルもロクの真似をしてスピンしながら敵のど真ん中に入る。



「こ、こんな戦い方は・・・ら、雷獣だ!?」ジプシャンの兵の一人が叫んだ。

『何をしてる!数では勝る!囲んで撃ち取れ!』無線が飛ぶ。

「り、了解!お、おい!二班!雷獣の後方を塞げ!」



徐々に動く範囲を狭められるロクのジャガー。中にはジャガーに体当たりを掛ける者までいる。しかしそれとは裏腹にロクは運転席で笑いながら運転していた。

「お前・・・凄くいい子!」

ロクはエアーブースターのスイッチをオンにすると、ジャガーの周りを砂埃が覆い出した。しかし次の瞬間にはジャガーは砂埃と消えてしまう。慌てるジプシャン兵たち。次の瞬間には後方から銃撃を受けるジプシャンのSC隊。


「き、消えた・・・?レ、レベルが・・・違い過ぎる・・・これが雷獣の力か?」ある兵が呟く。



「ロク・・・ようやく分かったよ。さっきの技もそうだが、タケシが最初にポリスを襲った時を真似してやがる・・・ふふふ・・・お前だけは敵に回せないな?」

ロクの戦いぶりを見ていたダブルが呟いた。



気がつくとロクのジャガーの周りにいたジプシャンのSC隊で動いている者は居なかった。

「47台か・・・?ちょっとノルマ足りないか?ダブル?お手伝いする?」苦戦するダブルに無線を飛ばすロク。


『お前のそういうとこ嫌い~!』呆れ嘆くダブル。

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