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四天王  作者: 原善
第七章 愛は砂漠に・・・
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その17 仲間へのレクイエム

P6指令室。いつものメンバが各々の部署に着いている。柳沢、我妻、ルナ、松井を始め、四天王システム担当の東海林の姿もあった。その後方には曽根、司令の弘士の姿まである。


「敵確認!SC隊です!」柳沢の声が指令室に響く。

「山猫隊出撃!数は!?」と弘士。

「了解!山猫隊発進!街の北側にて待機!」とルナ。

「だ、第一陣およそ300台!」と柳沢。

「レヴィアは迎撃に当てろ!」と曽根。

「了解!レヴィア艦隊聞こえますか!?」と我妻。


「敵の大型艦は!?」と弘士。

「まだレーダー範囲外です!」

「ダブルには荷が重いな・・・我妻、レヴィアに援護させろ!」

「了解!」

「こうもプレッシャーを掛けてきて、まだ範囲外か・・・?」

弘士の見つめる大型スクリーンには巨大な砂煙が立ち塞がっていた。



走行中のダブルの車内。

「三百!?冗談キツイぜ!ルナ!?」フロントガラスにはルナの顔が映し出されている。

『事実は事実です!』

「うちは八十そこそこの数・・・どう戦えと!?」

『レヴィアが盾になります!残りはご自由に!!』

「ご自由にったってよぉ~」ボヤくダブル。

『半分はロクさんがなんとかする!百五十対八十なら、後はダブルさんの腕次第でしょ?』

「なんかお前?そこに座ると性格変わるな・・・?」

『どうも!・・・アシカム、クジラム出ますよ!』

『了解!ダブル!?後は任すぞ!』無線に割り込むバズー。

「バズーか!?アシカム?間に合ったのか?」とダブル。

『俺より新人の山口を心配してくれ~』

「へいへい・・・山口ちゃん?聞こえたら良い子にしておいてね~」

『そうやって皆で馬鹿にする~!どうなっても知りませんよ!』無線に割り込む山口。

「ふん・・・陽が居ないのか寂しいかな・・・?」ニヤリと笑うダブル。



レヴィア艦隊旗艦1番艦ブリッチ。指令席にはロクの姿がある。

「艦隊を敵のSC隊の前に出す!取り舵一杯!」とロク。

「了解!とぉーりーかぁーじ!」と桜井。

「敵のSC隊にバイク隊も多数混じっています!」と国友。

「三割は叩くぞ!頼むぞ多聞!?」

『三割ですか?そりゃ機銃の仕事ですわ~主砲のわいの仕事とちゃいまっせ!』スピーカーから流れる苦笑いの多聞の声。

「悪いな・・・それ以下ならダブルが泣くわ!」

『ガッテンだ!』

多聞の声にレヴィアのブリッチ内は笑いに包まれている。


「うん・・・さぁーて行きますか?・・・全砲門開けぇー!!」

北に移動する九隻のレヴィア艦隊。



ジプシャン軍新鋭艦。以前タケシがP6奇襲の際に使ったサンドシップである。今は完全に修理されこの作戦に参加している。そのブリッチの指令席にどっぷり腰を降ろしているのはツヨシだった。その脇には両角の姿もある。


「敵艦隊移動を始めた様子です!数九隻!」一人のクルーが叫んだ。

「おいおい!もう復旧してやがるよ・・・」頭を抱えるツヨシ。

「この短時間です・・・そう動けるとは?」と両角。

「ふん!姉貴の怒ってる顔が浮かぶよ・・・死神は!?」

「間もなく北側の丘に立ちます!」

「ふん!つまんない、つまんない・・・丘の傾斜を利用し勢いで突破する気か?あの男らしい・・・まあ敵のSCが無くなってくれれば良いかな!仕方ない!死神を援護する!街の西に進路を取れ!」



ジプシャン軍大型旗艦ブリッチ。寛子の横には犬飼が立っている。

「味方艦より入電!」とある少女兵。

「読め!」と寛子。

「はっ!敵艦隊、我SC隊の正面に全艦横付けに配置!!敵SC隊はその後方に配置!」

「何だと!?後方だと!?」犬飼が口を挟む。

「ティー字作戦か・・・?」寛子の口が綻んだ。

「あの日本海戦で旧日本海軍がロシアのバルチィック艦隊を破った戦法ですか!?」


「ふふふ、面白いぞ・・・だがこの陸戦で果たしてそんな古い戦法が

通用するのかな!?ここは海上ではない!だがポリスには面白い策士がいるようだな?大駒を前に配置し、歩兵を後方・・・?従来なら考えもしなかったろう・・・これで我軍の兵は少なくとも戦意を失い欠ける・・・なぜこのような策士が我軍に居ないのか?犬飼!?」

「はぁ~!?」寛子の言葉に驚く犬飼。

「ふふふ。ならこちらも同じ戦法を取る!各SC隊を左右に展開しろ!各車を横一文字にするんだ!」

「了解!大広に連絡!!」



P6指令室。

「敵SC隊!進路を北に寄りました!バイク隊多数!丘の上辺りに出ます!」と柳沢。

「後方は?」と弘士。

「中型のサンドシップ一隻が西に進路!大型艦はまだ後方です!」

「どちらかが囮か・・・?よし!来るぞ!」



P6地下三階のジプシー専用病室。ベットにいた陽が腹を押さえながらベットから起きようとしている。そこに通りかかった高田がいた。

「陽!あんた何してんのよ!?」高田が慌てた。

「何って・・・ここで寝てても仕方ないでしょ!?上に行くわ!?」

「行くって・・・あんたね?重症じゃないけど昨日の今日よ!傷口が開くわ!」呆れる高田。

「死ぬなら戦場で死ぬ・・・ガキの頃からそう決めてたんだよ!」

「あんたも死龍と同じね・・・?上は男たちに任せておきなさい!」


「あの男たちに?冗談じゃないわ!任せてられないから言ってんのよ!」

「あんた・・・」

「自分の命くらい自分で決着付けるわ・・・それが先に死んで行った仲間へのレクイエムよ・・・」

「陽・・・」



レヴィア1番艦ブリッチ。ロクが徐に指令席がら立ち上がった。

「桜井!後は任せていいか?」

「止めても無駄でしょうからね?」桜井は笑って答える。

「三割は沈めてくれよ!俺とダブルで百は叩くよ!」ロクは笑いながらハットを被った。

「言いますね!」ニヤリと笑う桜井。

「皆、頼んだぞ!」


そう言うとロクはブリッチの階段を降りていく。甲板から見える巨大な砂煙。ロクはハットを押さえながらこの砂煙を見上げる。その手前に見える無数の砂煙。ロクは今までの敵とは明らかに違う事を実感した。ロクは甲板から車庫に繋がる階段を掛け降りる。そこには屋根にガトリングバルカンを積んだいつものジャガーカストリーが置かれている。ロクは急ぎ運転席に入るとエンジンを掛けた。ジャガー独特のエンジン音が、狭いレヴィアの車庫に響く。


「いい子だ・・・」


助手席にはキーンが愛用したソードライフルが置かれている。

「キーン・・・行くぞ・・・」

ロクはそのソードライフルに語りかけると、ブリッチに無線を入れた。

「ロク!出る!」


走行しているレヴィアの車庫の扉が開く。砂埃が車庫内に入って来る。その為かすぐそばの地表すら見えない。


「さぁーて・・・こっちも行きますか?」

ロクはアクセルを踏み込んだ。

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