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四天王  作者: 原善
第七章 愛は砂漠に・・・
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その16 開戦

「ロクさん・・・?」

独り言を言うロクにルナは顔を覗き込んだ。

「ああ、あのシュミレーターさぁ、画面の車に音も付けるよう開発者に言っておいて!」

「は、はぁ・・・?」

「それと敵ばかりじゃ面白くない。味方も画面の中に取り入れてくれ!じゃなければ、全然つまんないな!」

「ロ、ロクさん?そ、そう言えばさっき目を瞑ってあのマシンをしてたような・・・?」


「見える物を撃つのは簡単だ。でも見えない物を撃つから楽しいんだろ!?」

「す、凄い難しい事を、凄く簡単に言いましたね・・・?」ロクの言葉が理解出来ない様子のルナ。

「頼むぞ!」

「は、はぁ・・・」

ロクは一人廊下を掛けて行く。



翌日、P6の大会議室。弘士を中心に各参謀やスタッフが集められていた。参謀連中に対して、高橋、ロク、バズー、ダブルの姿があった。

「で?陽は?」小声でロクに話しかけるダブル。

「大した事はないが、暫く戦線から離れるそうだ・・・命に別状はない・・・」とロク。

「一人で行くのは勝手だが結果がこうじゃな?」とダブル。

「お前には、なんやら感謝はしてたぞ?」とロク。

「ありがとう・・・とでも言って欲しいんかい!?」とダブル。

「四天王の一人になったんだから、もっと自重して欲しいよな・・・それと(ブツクサ)・・・」とバズー。


「始めるぞ!まず高橋技師長から!」バズーの言葉を打ち消すように、弘士が大声を張る。


「はい!レヴィアは各艦動くようにはなっています!」

高橋の言葉にダブルは口笛を吹く。他の者も驚き声を洩らした。

「しかし、何隻かは水中戦には無理です。主砲も一門足りないとか・・・まあ誰かの言葉じゃありませんが、なんとかしたって感じですね・・・」


その高橋の言葉につい吹いてしまうバズー。バズーは笑顔でロクを指差し、ロクの肩を思いっきり叩いた。

「痛っ・・・何だよ・・・バズー?」とロク。


「次は柳沢だ!」と弘士。

「はい!敵戦艦及びSC隊は、昨夜古川基地に入りました。ただSC隊はやや前線に陣を張るような形になっております!」


「やはりこちらに向かうか・・・?」弘士は腕を組み椅子にもたれた。

「このまま、そこにいて欲しいもんですな。敵はP5が陥落して勢い付いているのでしょう?」曽根が嘆いた。

「今の敵の足なら、古川なら4時間程でこちらに到着する計算です!」と柳沢。

「山口?SCの数は?」と弘士。

「はい!およそ300と見ています!砂塵で数が見えないのが現状!後方にも多少のSCを確認。引き続きうちの隊が偵察に入ってます!」と山口。

「これに各基地のSC隊が加わる事も計算しなければなりません・・・」と曽根。

「で?大型艦というのは報告があった。つまりここへ来るルートは限られるという事になるが?そうだなロク?」と弘士。


「はい!北のルートは落差があり、まず無理でしょう。それと西に向かうポリス道もです。ポリス道は先日の敵シップの残骸があり、敵シップが大きければ大きいほど座礁する可能性が出てきます!」

「すると?」

「はい?迂回しての南への浜通りか、または海からです!」

「海だと!?」曽根が驚く。


「陽が負傷する前に見たのは、ポリスのレヴィアの同艦だったとの事。これが事実なら敵は海岸からの攻撃もあり得るという事です!」

「な、なぜジプシャンがレヴィアと同艦を!?」と曽根。

「レヴィア型はポリスの機密事項・・・ポリス内にまだスパイがいます!」とロク。

「なんじゃと!?」曽根。

「・・・」目を瞑ったままの弘士。

「・・・」眉間にシワを寄せる高橋。


「今更、驚いても仕方がありません!敵がレヴィアなら弱点もこちらが良く知っているのではないでしょうか?」

「どういう事だ?」と弘士。

「レヴィアの弱点は足回り。逆にこれを利用します!」

「と言うと?」


「はい・・・レヴィアはいや、サンドシップそのものが縦に長い以上、起伏の激しい所の走行は不可能です。そうなれば今言った通り、北と西のルートは避けてきます。」

「・・・」黙る弘士。

「そこで南だけのルートだけを絞り、敵の侵入ポイント、すなわち南の浜通りにレヴィアを並べます!」

「動かない壁か・・・」と弘士。


「しかし、敵の侵入を防ぐためだけにレヴィア全艦を使うというのはどうなんだ?これでは犬死に行くようなものだ!」と曽根。

「曽根参謀!既にレヴィア艦隊は壊滅状態です!動かない艦を2日で動けるようにした技術者たちに感謝したい・・・」ロクは高橋を見つめる。

「・・・」目を閉じたままの高橋。


「事実上これはレヴィア艦隊、最後の玉砕作戦とさせて下さい!」

「玉砕・・・馬鹿を言うな!お前一人の作戦で五百人ものクルーを無駄死にさせるか!?」

「決して無駄死にではありません!!」ロクが席を立った。


「何っ!?」

「私もそんな無責任で無謀な艦隊指令ではありませんよ・・・曽根参謀!」ロクは急に笑って答えてみせた。

「いつもの無茶で無謀な作戦だろ?で!?どうするつもりだロク?」


「それは・・・」ロクの言葉に静まる一同。

「ふふふ・・・」弘士だけが静かに笑っていた。ダブルもバズーもロクの言葉に息を飲んだ。



ジプシャン軍旗艦ブリッチ。広い中央の席に寛子が腰かけている。その横には参謀犬飼。するとある女性兵の声が飛んでくる。

「敵艦隊!ポリス南側に展開!」

「およそ数は9隻!」


「おいおい、ツヨシの言葉では艦隊は壊滅したかのようだったぞ!」

肩肘を椅子に付け、頬を手の上に乗せた不機嫌そうな寛子。

「我が艦を通させないつもりでしょうか?」と犬飼。

「道がないなら、作るしかないようだな・・・?どうか犬飼?」

「み、道を・・・?ですか?」と犬飼。


すると寛子は徐に立ち上がり、周りの女兵士に叫んだ。

「まずは敵艦隊の殲滅だ!捻り潰してやれ!!」

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