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四天王  作者: 原善
第七章 愛は砂漠に・・・
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その4 戦慄!謎の深海昆虫VSアマゾネス戦士直美

「なぜ戦ってるのかな・・・?」弘士がロクに語りかけた。

「はいっ!?」


「俺も子供の頃、そう思ったさ・・・」

「司令も・・・ですか?」

 弘士は笑ってロクに答えた。


「物心ついた時には戦争だった・・・戦うしか生き残れなかった・・・お前は違うのか?」

「そ、そうですが・・・」ロクは弘士の言葉に安堵した。


「ガキの頃・・・お前らの尻拭いでそれどころじゃなかったけどな・・・」

「すいません・・・」ロクは頭をかいた。


「いつだっけ?4人でポリスの子供18人をボコボコにしたの・・・?」

「7つの頃だったと思います・・・」

「一緒にポリスの親御さんとこに謝りに行ったよな?」

「はい・・・」

「あの頃からいつも4人だった・・・」

「あの頃・・・まさか4人で四天王になるとは思いませんでしたけどね。」

「そうかぁ・・・俺はこいつらならって思ったけどな・・・」

「懐かしいですね・・・司令に鍛えれた頃・・・」

「高森教官より喜んでたな?」

「そりゃそうですよ!司令は殴らなかった・・・」


「戦死した水谷の後任に高森に入ってもらう・・・」と弘士。

「教官をですか?4番艦という事ですか?」

「うん・・・老兵を借り出さなければならないほどP6は厳しい状況だ・・・」

「わかってます・・・」

「頼むぞ・・・艦隊司令・・・」

「はい!」敬礼するロク。



 ジプシャン軍古川基地より西のポリス道近辺。北のに向かって走る黒豹部隊の陽と山口。2台は高く舞い上がった砂塵を目指しアクセルを踏んでいた。

「こいつ・・・いつになっても差が縮まない・・・」

 なぜか陽は焦って見えた。するとフロントガラスに山口が映し出される。

『隊長?これこっちじゃないようですよ・・・』

「わかっとるわい!それを調べるのが我々の仕事でしょ!?」

『なんか口調が前隊長に似てきましたね・・・?』

「そりゃあ、あんたらみたいな部下持ったらそうなるわ!」

『もうこっちに来ないのがわかれば、これ以上追うのはどうかと?』

「嫌だったら帰りなさい!逃げるのは得意でしょ?」

『それも前隊長似です・・・ん?・・・ぜ、前方、敵です!?』

「何っ!?」

 2台の前に現れたジプシャンの戦闘タイプのSCが5台。


「左右に別れるわよ!」陽は慌ててハンドルを切る。

『了解!』

 敵SC部隊はカウンター攻撃を仕掛けてくる。何発か銃弾が当たる。


「くそっ!山口聞こえて?残念だけどあんただけ引き返して!」

『隊長は!?』と山口。

「あの馬鹿でかい奴の正体を探る・・・恐らく狙いはP5ね・・・P5に向かうわ!」


『一人でですか!?無茶ですって!!』

「なんとかする!あいつならそう言うでしょ!?」

『出た出た・・・じゃあ戻りますよ。』

 無線が切れた後、山口はUターンをしてP6方面に、陽のロータスはスピードを上げP5に向かって行く。



 寛子が乗っている船のブリッチ。参謀の犬飼が寛子の席にやって来る。

「古川基地近辺にて雷獣発見の知らせが届きました。」

「雷獣だと・・・?」と寛子。


「古川基地の守備隊が迎撃した所、雷獣と思われるSCが一台こちらに向かっておるとの事・・・」

「こちらのSC数は380を数える。いかに雷獣とて対応出来るとは思えん!」

「しかし、奴はタケシ様の部隊を全滅させております・・・何か仕掛けて来ると・・・」

「ならば、後方のSC部隊に告げよ!雷獣を討ち取れと!」

「ははっ!!」


「雷獣め・・・一台で何を仕掛けてくるやら・・・?」

 寛子は洒落たグラスで飲み物を一気に飲み干した。



 P6地下ポリス専用食堂。眠たそうなダブル席にロクが同席する。

「そっちはどうだ?」とロク。

「ああ、一段落ついた・・・これから少し休むよ・・・そっちは?」とダブル。

「レヴィアはほぼ壊滅状態・・・厳しいな・・・」


 他のテーブルに聞こえないように小声のロク。

「虹の残骸跡から死龍が遺体で発見された・・・」とダブル。

「そうか・・・」

「とても遺体と言うには程遠いがな・・・虹には一人で乗ったらしい・・・」

「よく司令が許可したな?」

「そこだよ・・・高田女医が信じられない程の薬を投与したらしい・・・」

「どこの情報だ!?」

「ちょっとな・・・」ダブルは笑って答えた。

「またかよ・・・」


 すると突然、ロクとダブルのテーブルにグロテスクな深海魚の丸焼きが乱暴に置かれた。

「なっ・・・」唖然とするロク。

「おいおい!頼んでねぇ・・・」

 二人が顔を上げた矢先には何故か不機嫌そうなウエイトレス姿の直美がいる。ダブルは先日のビンタの件以来、直美への苦手意識が強くなっていた。


「これはこれは・・・」ダブルが先に口を開いたがその先が続かない。するとようやくロクが話し出した。


「18年も生きてるけど、初めて見る魚だな・・・うまいのか?」

 ロクが見ていた魚は焼いているのにも関わらず青い色をし、体からは無数の棘が突き出ていた。するとようやく不機嫌な直美が口を開く。


「さあ・・・どうでしょ?コック長が四天王“様”にまず食べてもらえって・・・」

 直美が振り返る先には、見慣れたコック長が厨房の中からロクたちを見て笑っている。



「また毒見かよ!?それはバズーの仕事なんだけどな・・・」とボヤくダブル。

「食べるけど、どうやってこれ食うんだよ?」とロク。


 不機嫌が治らない直美が大きめのナイフとホークを持ち出す。その姿に一瞬顔を引き吊り、身構えるロクとダブル。黙々と直美はテーブルの上の魚を器用に切り始める。すると切った腹部から蟹なのか蜘蛛なのか分からない黒い生物が、蜘蛛の子を散らすように這い出てテーブルの上を走り出した。


「おいおい・・・またなんか知らんが生きてますやん・・・」

 自分の食事だけは上にあげて必死に守っているロク。その生物はテーブルの下をも駆けずり回っている。そうこうすると直美はそのグロテスクな魚の身だけを巧くカットした。さっきの料理とは明らかに違う。


「召し上がれっ!!」と引き続き不機嫌な直美。

 恐る恐る二人は箸をつけ食してみた。


「う・・・うまい!!」声を揃え絶賛する二人。直美の態度から察し、お世辞も入っていたのか?


 ドヤ顔の直美。そうこうしてるうちに直美は魚から出てきて床を走り回っている謎の生物を足で踏み潰し始める。まるで憎しみを抱くように・・・


「なあ?さっきからその態度・・・俺らなんか悪い事した?」とロク。

「別に・・・」一心不乱で床の生物を退治している直美。よく見るとその生物のか床が緑色の液体でドロドロして来る。


「あのさ・・・ここを掃除する人の身になろうよ・・・」

 ダブルが直美を優しく説得しようとすると、直美が険悪な顔で再びテーブルの脇にやって来た。びびる二人。


「全く!ポリスはこき使い荒いんだから!!」

 怒っている直美。ロクたちには身に覚えがない。

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