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四天王  作者: 原善
第六章 真・四天王降臨
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その32 対空防御システム

 高田はロクの真剣な眼差しに降伏した。

「さすがポリスの交渉人と呼ばれるあんたに、嘘は付けないようね・・・?」

「やっぱり・・・本当なんですね?」

「あら・・・鎌掛けられたかしら・・・?さすがね?」

「高田さん!!」

 ロクは高田の言葉に呆れ怒ってみせた。


「怒らないで!ちゃんと言うわから・・・ただどこから説明するのか迷うわね・・・だから落ち着いて聞いて頂戴・・・」

「はい・・・」


「桑田は・・・生きてるの・・・」


「は、はい!?ど、どういう事だ!?ならあの墓はなんだ!」

「詳しくは後で話す。その施設でちゃんと説明するわ・・・後で私の所に来なさい。」

「高田さん!」

「本当はロクに知らせるなと司令から言われてるの・・・それとあなたたちが入るには司令の許可が要る・・・司令の許可が出たあと・・・それから説明するわ・・・今はあの子の治療が優先!いいロク?」イチイチ勿体ぶる高田の言い方。

「高田さん・・・」

 高田は小走りに先のスタッフを追いかけていった。


「なつみが生きてる・・・」

 ロクは一人立ち尽くした。



 P6指令室。雛壇中段部分のスタッフたちが声を出しながら計器を見ている。

「持国天・・・収納します!」

「電力弱いですが・・・行けます!」

 それを見守る弘士たち。そこにロクとダブルが入室してくる。


「入ります!」

 ロクはモニターに映ったあの塔を横目に弘士に近寄り敬礼をする。


「ご苦労だった・・・」と弘士。

「司令・・・バズーは・・・?」とダブル。

「うん・・・まだ見つからない・・・陽もだ・・・」

「そうですか・・・」

「キーンと死龍の件は残念だった・・・二人ともP6の為に尽くしてくれた・・・」


「あの塔はなんなんです?」ロクは少し怒った口調で弘士に問う。

「あれは・・・戦前の建造物だ・・・」

「あの稲妻のような光・・・敵が真・四天王と言っているものですか?」

「ああ・・・それは間違いない・・・」


「我々は現在、四天王システムと読んでいます!」

 雛壇中段にいたメガネの若い男がロクに語った。

「四天王システム?なんだそれは?」見慣れないスタッフにロクの言葉は乱暴になった。


「初めてだったな?彼がこのシステムの責任者で東海林とうかいりんだ。」

「しょうじとも呼びますがとうかいりんです。宜しくお願い致します。」

 一礼する東海林。礼儀正しいその一礼にロクは戸惑った。


「司令?ちゃんと説明して下さい。」不機嫌なロク。

「では変わって私が説明しましょう・・・」と東海林。

「俺は司令に・・・」ムッとするロク。


「磁石の馬鹿でかいのを使って、磁石に電気を流して電磁バリアを街の上空に張り巡ります。簡単に説明するとこんな感じです。」

「バリア?電磁?俺は科学って好きじゃないんでね・・・」

「30年前・・・この街を核ミサイル3発から守った・・・これならどうです?」

「少し納得・・・」とロク。


「まあ元はと言えば旧自衛隊の産物です・・・この辺りは、松島、多賀城、苦竹、塩釜の海保・・・自衛隊の基地ばかりでしたしね・・・核戦争を予想に国民に知らせず作っていた秘密兵器と申しましょうか・・・?」

「秘密兵器・・・」とロク。


「対空防御システム、またはSシステム・・・当時はそう言われていました・・・」

「たいくう防御・・・システム・・・?」とダブル。


「Sはシールドのエスです。まあ当時は試作品でした・・・どこぞやの国に作らされたとも言われてます。当時の日本の首都は東京・・・戦争を予想していた政府はひそかに首都を旧仙台近郊に移す計画でした。第二首都として・・・」

「第二首都・・・?」とロク

「それに気づいた敵対国がここに核を撃ち込んできたとも言われてます・・・それで急遽使用したのです。当時の街の人々を救うため・・・効果はありました。この辺りは3発の核に耐え切ったんです・・・・・・しかしこのシステムには欠陥箇所も多く・・・」

「欠陥?」とロク。


「ロクさん?あの警戒中にあの塔に近寄りませんでしたか?立ち入り禁止の命令を出したつもりでしたが・・・」

「ああ・・・ん?なぜわかった?」不審がるロク。

「その髪の毛ですよ・・・」

 東海林はロクの前髪を指した。ロクの前髪の毛は少し白く変色していたのだ。ロクは顔をしかめた。

「白髪・・・?」

 ロクはヒデの白髪と聖の髪の毛を思い出していた。


「簡単に申しますとある遺伝子だけが被爆したんですよ。それでロクさんの髪の毛の染色体が電磁波によって急激に退化したんです。まあ体には異常はありませんから心配なく!」

「被爆だと・・・?」前髪の毛を掴んで自ら見てみるロク。

「ああ、先っぽだだけ切れば問題ありませんよ。なんせ今回使用した電源は当時の百分の一程度ですから。」


「違う!俺の聞きたい事はこのシステムの存在自体、なぜ俺らに黙っていた?」とロク。

「それはですね・・・」口籠る東海林。

「それは私が言おう。」と弘士。

「司令・・・」

「今も言った通り、このシステムは欠陥品に間違いない・・・本体も当時のままでなんの改良もしていないのだ・・・解体も考えていた・・・」

「欠陥!?・・・ちゃんと敵の兵器から街を守ったじゃないか?何が欠陥なんだ!?」

「使用方法次第では多大の被害が出る!・・・だが今回は苦肉の策で緊急に使ったんだ。本来は地中に封印してなければならない産物だったんだがな・・・」

「封印・・・」


「それにしても凄い閃光だった・・・空がピンク色になったからな・・・」


 ロクは聞き覚えのある声に後ろを振り向く。そこには目の辺りに包帯をし、左手を三角巾で吊ったバズーが立っていた。


「い、生きてたよ・・・」と声を揃えるダブルとロク。


「なんだ!二人とも生きてて悪い言い方だな?」

 目が見えないのに二人の声の元に近寄るバズー。二人に殴る素振り。

「まあ、お前が死ぬとは思わないけどな・・・なあロク?」とダブル。

「目を・・・お前!?目はどうした?」とロク。


「ああ、これか?あの敵兵器の閃光をすぐそばで見たんでな・・・時期に戻るそうだ!」

「そうか・・・そうだ陽はどこだ?一緒だったんじゃないか!?」とロク。


「あたいならここよ!」


 バズーの影に隠れていたのか、なぜか火事現場からでも出てきたような格好をした陽だった。顔は煤だらけ、自慢の長い黒髪は全て縮れ、制服はほぼ焼けている。


「い、生きてたよ・・・」また、呆れ気味に声を揃えるダブルとロク。


「あれ?生きてちゃまずかったですか・・・?いやー、それにしてもバズーさんは丈夫ですよ。あの戦闘の中、目の見えないまま私を背負って歩いてくるなんて・・・いやーマジで死ぬかと思った・・・」


「今のお前らが言うと、みんな納得するわ・・・」とダブル。

 弘士たちも、陽のその姿にだけは苦笑いしていた。


「司令!!最初からこのシステムを出せば、キーンも死龍も死ななかった!!違いますか!?」ロクは溜まっていた心の叫びを弘士にぶつけた。


「し、死んだ・・・キーンも死龍もか!?」バズーも陽も驚く。


「確かにロクの言う通りだ・・・だがさっきも言った通り、このシステムを使いたくはなかった・・・すまない・・・」頭を下げる弘士。


「司令・・・」その姿に呆然とするロク。



 暗闇の中、ロクは肩にはスコップを担ぎなつみの墓の前に立っていた。夜になってか風がまた強くなったのか、すぐ側の風力発電機のプロペラが音を立てて回っている。

「さぁーて・・・掘りますか?」

ロクは塀の上の警戒用ライトを気にしながら、スコップで墓を掘り出していた。


 ある程度掘り起こすと、棺桶が出てくる。ロクはその周りだけを綺麗に掘り起こすと、棺桶の前に立ち意を決して棺桶の蓋を開けた。

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