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四天王  作者: 原善
第六章 真・四天王降臨
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その26 ツヨシの切り札

 レヴィア6番艦の艦首部分は強烈な閃光を発し、次の瞬間には艦首部分から大爆発を起こしていた。キーンのいたブリッチは爆風で甲板部分から折れて、レヴィア艦の後方に飛ばされていた。



「キーンっー!!」1番艦のブリッチから叫ぶロク!



 それに伴い、スコーピオの戦艦と空母部分の結合部分近辺は誘爆を貰い、次々と爆破されてやがて巨大な爆発を起こしていた。戦艦部分の高い艦橋は根元付近から折れて倒れてしまう。



 スコーピオ空母側ブリッチ。巨大な爆発がブリッチを覆い始めていた。

「両角!」

「はい!」

 ツヨシは巨大な爆破の中、両角に何か指示を出す。



 やがて爆破は艦全体に回り、辺り一面を巨大な炎と黒煙で包んでいた。



 ロクはブリッチからその風景を見つめるしかなかった。やがて桜井や国友たちが立ち上がり、その黒煙に向かって敬礼をし始める。


戦いは終わりを告げるはずだった・・・



 P6指令室は松井以外はこの爆破を喜んでいた。スタッフは立ち上がり歓喜している。そんな松井をルナが慰めていた。



 レヴィア1番艦ブリッチ。その時、敬礼をしていた国友が何かに気がついた。慌ててレーダーを覗く。

「な、なんだこの反応は・・・?」と国友。

 桜井が国友に近寄る。

「どうした?」

「あの黒煙の中にエアーブースター反応!?」

「何っ!?」桜井が窓を覗き込む。



 黒煙の流れが一部不自然な所を見つける。その部分は煙の流れが異常に速く、砂塵と炎が入り混じり空高く舞い上がる。その風は向かって右側の敵戦艦部分と爆破したレヴィア6番艦の火災を更に煽り、旋風火災を引き起こしている。

 すると黒煙の左側から何かがゆっくりと出てきた。


「あ、あれは・・・?」と驚くロク。



P6指令室。皆が中央スクリーンを見つめる。

「空母か・・・?」と弘士。



 そこに姿を現したのはスコーピオの空母部分、しかも前半分がゆっくりと黒煙から出てきた。やや接合部分だった場所は爆破の影響でまだ煙を吐き出している。



 スコーピオ空母ブリッチ。

「ふはははっ!ポリスめ!まさか自爆するとは・・・とんだ計算違いだ・・・しかし切り札は最後まで取って置くものよのう?両角?」とツヨシ。

「そのようですな。」と両角。


 そのスコーピオの一部は後退前の発射ポイントに移動しつつあった。

「残った戦艦も既に砲塔一門残ってはいまい・・・さあいよいよクライマックスだ!」




 スコーピオは再び丘の上へと走り始める。



 レヴィア1番艦ブリッチ。

「桜井!」ロクは桜井を見る事なく前を向いたまま桜井に叫んだ。

「は、はい・・・」

「俺たちも行くぞ!」

「はい・・・」震えていた桜井の声が自然に戻っているのがロクには分かった。



 P6指令室。

「レヴィア1番艦が行くぞ!」と柳沢。

「ロク・・・」とモニターを見つめる弘士。



 レヴィア1番艦ブリッチ。

「艦隊司令!ブースターのいくつかが停止してます!残りのブースターでこの丘を登れるかどうか!?」桜井がロクの方を振り替える。

「ならジャガーに砲弾でもくくるか・・・?」

 ロクは不敵に笑っていた。既に正気なロクではない事を桜井は感じていた。敵シップは既に丘の上に戻って停止しようとしている。

「走れ!間に合わんぞ!」

 桜井は操縦しているハンドルを手で叩き始めた。

「これまでか・・・?」と嘆くロク。


「後方、虹です!」

 国友が叫んだ。ロクはブリッチの横の窓から後方を見ると、P6で改装中の虹の三角が夕日の荒野を全速力で走っている。ブリッチ部分に目を凝らすと制服姿の死龍が乗っているのが分かった。


「死龍か!?」ロクは無線を持つ。


「死龍!聞こえるか!?」

『ロク・・・どきなさい!私が行くわ!』

「お前・・・入院してたんだろ?なぜ・・・?」

『ふっ・・・これでもねP5では北の宇宙戦艦ヤマトって言われてたのよ!』

「核戦争前の漫画だな?・・・・・・い、意味わかんねぇ・・・?」

『次の場面にはねぇ!体が治ってるって事よ!』

「・・・・・・・・・・・・・・・深けぇ・・・」と納得のロク。

「艦隊司令!関心してる場合じゃ・・・」と呆れ顔の桜井。

 やがて虹の三角は足の遅いレヴィアを抜きに出る。



 虹の三角コクピット。

『死龍?どうする気だ!?』とロクの無線。

「どうもこうも・・・奴の足を止める!もうこれしかない!」

『死龍!やめろ!』

「こいつには、ソーラーキャノンが取り付けてある。充電もしてある。テストはしてないが・・・レヴィアと違って艦首を開ける面倒臭さはない。最悪このまま撃つ!友人として・・・いや同じ戦士として・・・死に場所くらい・・・与えてよ・・・ロク・・・」

『死ぬな死龍!』

「プロジェクトソルジャー規則第十条・・・プロジェクトソルジャーは、いつでもポリスの為に命を投げ出す覚悟でいる事・・・片目なくても戦士よ!ベットで死にたくなかった・・・ただそれだけ・・・」

『死龍・・・』

「ロクは家族よ・・・大事な弟・・・だから守るの・・・私がね・・・」

『いつまでも弟扱いしやがって・・・』

「ふふふ・・・もう行くわよ!」


 無線を切る死龍。虹の三角は敵空母部分に向かって走った。

「さぁーて・・・行きますか?」

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