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四天王  作者: 原善
第六章 真・四天王降臨
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その25 見えない答え

 レヴィア6番艦ブリッチ。

「白井!敵砲撃を避け左舷に回りこみ、艦首を敵の艦首横にぶつける!」とキーン。

「了解!」

『こちら9番艦艦長伊藤!6番艦を援護します!』と無線。

「頼む!」



 レヴィア1番艦ブリッチ。

「6番艦、9番艦!敵左舷に回り敵艦に突っ込みます!」と国友。

「キーンの奴・・・桜井!こちらで第二艦隊を援護する!このまま敵左舷に突っ込め!」

とロク。

「了解!面舵一杯!多聞!敵主砲を狙え!」

『了解!』と多聞。



 スコーピオブリッチ。

「敵右舷艦隊の2隻が右に回りこみました!」

「敵左舷艦隊3隻も左に!!」

「キャノンの充電にどのくらい掛かる?」とツヨシ。

「あと残り7分!」

「再び回天隊が通用する相手でもあるまい・・・エアーブースター始動!艦を後退させる!」

「このまま逃げるのですか?」と両角。

「バーカ!5隻とは言えこちらは不利だ・・・一度艦を下げ砂塵の幕を張る!ポリスへの砲撃はそれからだ・・・」

「了解!エアーブースター始動!艦を後退させる!」と両角。

 再び丘の上はスコーピオの周りを砂塵が舞い始めていた。砂塵は接近している第二艦隊を飲み込もうとあいていた。



 レヴィア6番艦ブリッチ。

「敵が動き出しました!後退してます。」

「何だと・・・?どういう事だ?街への攻撃を止めたのか!?」と白井。

「夕方になり太陽光の充電が不可能になったという事か・・・?」とキーン。

 太陽はだいぶ西に傾きかけていた。



 レヴィア1番艦ブリッチ。

「敵シップ後退してます!」と国友。

「攻撃を止めて撤退という事かよ・・・?」と桜井。

「違う・・・奴は逃げたんじゃない・・・」とロク。


「どういう事です?」

「こちらの南側の丘は急斜面だ。敵は我々がこの丘を登りにくい事を知っている。ましてエアーブースターが1個でも起動しなければここを登るのは難しい。またはこちらの射程距離分下がって、砂塵を再び利用するつもりだ!期を見て再び発射してくるはず!」

「艦隊司令!6番艦は丘を登り始めました!」と国友。


「あいつ・・・既に6番艦に砲一門ないのに・・・援護どうした!?」叫ぶロク。



 レヴィア6番艦ブリッチ。

『ブースター出力最大!』

「白井!」とキーン。

「はい!」


「ソーラーキャノンは本当に使えないのか!?」


「む、無理です・・・艦首部分が大破してます・・・砲口を開ける事も出来ません!」

「ならこのまま敵艦の横腹を突く!なんとしてもあいつの動きを止めるぞ!」

 キーンは既に何かを覚悟していた。白井にはそれが分かっていた。



 スコーピオブリッチ。

「右舷艦隊の2隻が本艦に接近してきます!」

「主砲を破壊した割には、悪あがきが過ぎる・・・地対空は弾切れか!?なら総員甲板の上からバズーカと機銃で迎撃してやれ!回避運動は任せる!」とツヨシ。


 空母側の甲板に10名程の兵が並び、右舷から接近するレヴィア6番艦に上から砲撃し始める。近いせいもあるが、全弾が命中し火達磨となるレヴィア艦。しかしその進撃は止まらなかった。



 レヴィア6番艦ブリッチ。既にブリッチ内は電気系統がショートを起こし、たくさんの火花を起こしていた。キーンも白井もまだ無事だった。

「敵艦首に当てろ!」

 レヴィア6番艦は砂塵で敵の様子が見えなくなった敵に必死に体当たりを仕掛けた。



 次の瞬間、鈍い金属音が響き、レヴィアのブリッチに居た者たちはみな床に放り出され、キーンも車椅子から転げ落ちていた。

「や、やったか・・・?」とブリッチの窓を見上げるキーン。

 白井はすぐ立ち上がると、窓の外を確認する。

「こ、これは・・・?」

 

 白井が窓の外を見ると、右上にに敵戦艦部分、左上に敵空母部分が見える。


レヴィアはスコーピオの空母と戦艦が交わる船中心部分に艦首をぶつけていた。

「バ、バカな・・・真横にぶつけたはずだ・・・なぜ敵の正面に・・・?」と白井。

「・・・て、敵の間なのか・・・?」とキーン。



 スコーピオブリッチ。

「空母側を狙った特攻作戦か・・・?ミエミエなんだよ!空母側をかばって、戦艦側を当ててやろうと思ったが・・・こんな所に入るとはな?お前ついてないよ!高角砲は使えない!左右の機銃で上から攻撃しろ!生きて帰すなよ!!」とツヨシ。



 レヴィア6番艦ブリッチ。両側を敵に挟まれたレヴィアは左右から機銃攻撃を受けていた。

「白井艦長!」キーンは自力で車椅子に戻る。

「はい!」

「残念だが後退も出来んようだ!この艦を放棄する!館長総員退去命令を・・・」白井に命令するキーン。

「艦隊司令!白兵戦を仕掛けましょう!敵艦に乗り移り・・・」

「この敵のブースターの出力を見ろ!甲板も数メートルも上だ・・・とても飛び移れないぞ!」

「しかし・・・」

「うわっ!」

 その時、機銃の銃弾がブリッチを直撃する。航海士や他のクルーが撃たれる。ブリッチ内は血の海と化した。


「この艦の突入により敵は容易に艦の方向をP6に向けれない。十分にやった・・・後はロクたちに砲撃させこの艦は自沈する!」とキーン。

「艦隊司令・・・・・・」と白井。

「急げ!」


 白井が艦内無線で全員撤退命令を流す。その横でキーンはソーラーキャノンの装置を確認し始めた。

「艦隊司令!?何を・・・?」と白井。

「私はこの艦に残る・・・このままイチかバチかソーラーキャノンを撃つ!」

「艦首部分は塞がれてます!このまま発射すればこの艦はどうなるか分かりません!」


「答えが分からないからするんだ・・・答えが分かっていたらつまんないだろ?」


 キーンは不敵に白井に答えた。

「タイムアップはとうに過ぎてる・・・敵はエアーブースターを使い、充電は不十分だ。今しかない・・・」

「艦隊司令!では艦長である私が残ります!」

「白井はここの艦の者を脱出させろ!急げ!」

「キーンさん・・・」

「俺は車椅子だ・・・・・・3分後に自沈する・・・頼むぞ・・・」

 意を決した白井は負傷したクルーに肩を貸し、ブリッチのエレべーターに乗り込む。ドアが閉まる寸前白井は涙を流しキーンに敬礼をする。キーンも返礼する。

 ブリッチに一人残ったキーンは銃弾が飛び交う中、ソーラーキャノンの準備を進めた。

「ロク・・・」

 キーンは目を瞑りP4の戦いを思い出していた。



『なんで俺がいつも後方支援なんだよ!』と15歳のロク。

夜の荒野にいつもの四人がいた。戦闘前か、皆緊張している様子だった。そんな際にロクは敢えてキレて見せた。


『お前を先頭に立たせたらどこ行くか分かんないだろ?なあバズー?』とキーンが笑う。

『ああ勝手に動くわ。勝手に戦うわ・・・お前は後方に居て、俺らに指示してればいいんだ。』とバズー。

『その方が安心なんだよ。俺らにとって・・・』とダブル。

『つまんねぇな・・・後方後方って・・・』と膨れ面のロク。


『俺はお前が後ろにいる・・・ってだけで俺は安心だけどな・・・?』と笑顔のキーン。

そんなキーンの笑顔を見るとロクの心の葛藤もいつの間にか無くなっている。



 すると敵のサンドシップが動きだした。キーンは船の揺れでそれを悟っていた。

『ロク、ダブル・・・・・・後は任せたぞ・・・』



 レヴィア6番艦の後方の非常ハッチから白井らが機関銃を構えながら上を警戒して出てくる。敵のサンドシップのエアーブースターの勢いで何人かはレヴィアの後方に飛ばされてしまう。すると敵は白井たちに気づき、上甲板から機銃を撃ちまくる。何名かは命を落としてしまった。



 ダブルはこの銃撃戦に気づき、部下数台と白井たちを救出に近寄る。兵たちは慌ててジープの後部座席に飛び乗った。白井はダブルのストーム助手席に乗る。

「無事か!?・・・ん?・・・キーンはどこだ!?」とダブル。

 しかし、白井は無言でダブルを見つめた。

「おい!?まさかキーンは・・・!?」

白井の胸ぐらを掴む激怒するダブル。



 レヴィア6番艦ブリッチ。後方の様子を司令席のモニターで見つめるキーン。

「離れろダブル!」

『キーン!?お前!?何するつもりだ!』キーンの無線に答えるダブル。

「時間がない!急げよダブル!」

『キーン!?お前・・・!?』

会話の途中で無線を切るキーン。

「・・・・・・さあ答えを見つけてやる!!一発射撃砲・・・・・・発射!!」

 キーンはソーラーキャノンの発射スイッチを押した。

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