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四天王  作者: 原善
第六章 真・四天王降臨
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その23 特攻のバズー

 ロクはその頃、第一を引率するため自らジャガーに乗り、地雷のない箇所を捜しながら敵シップへ近寄っていた。

「急げ桜井!」

『無理ですよ!これでも最大です!』と桜井。


 ロクは走行中、横目でポリスの北ゲート付近を見る。

「兵士がいない・・・見張りもだ・・・」

 ロクは不自然なP6の様子を横目で見ながら何か腑に落ちなかった。


『艦隊司令!ポリスから緊急連絡です!』と桜井から無線が入る。

「連絡?無線が繋がったか?何だ!?」

『はい・・・P6の外壁から200メートルを立ち入り禁止。またこれより指示があるまで各ゲートの出入を禁止する・・・です。』

「な、なんだ?立ち入り禁止って・・・今までそんな指令聞いたことないぞ・・・」


 するとロクは走行中にも関わらず、車内で何か振動を感じる。

「何だ・・・?この振動は・・・地震か!?」



 空洞内のダクトに閉じ込められていた3人もこの振動を感じていた。

「ヒデ・・・なんだこの振動は!?」と早坂。

「地震なのか?」

「ヒデ見ろ!」

 早坂が指したのは、空洞内の尖った建物だった。徐々に上に移動しているように見えた。


「こ、こいつ・・・上にあがっているぞ・・・」驚く早坂。

「しかも、なにか輝いてないか・・・?」

 その尖った建物は暗闇の中、妖しい七色の光を発し本体自ら微かな音を立てながら上えと移動している。



 P6指令室。雛壇の中段に座るあまり見慣れないスタッフ5名程が、普段使わない機器類の操作を始めていた。

「エレベーター始動!」

「天井ドームを開きます!」

「電磁コイル回転20秒前!19、18、17・・・」

「トリガー設定オン!」

「地上部分兵の全撤退確認!」

「地下2階と3階部分に磁気バリア発動!」

「電磁コイル回転10秒前9、8、7・・・」

「電磁コイル地上に出ます!」

 弘士はその様子を静かに見つめていた。



 ロクは車内から北ゲート付近に妙な砂塵を発見すると、ハンドルを切っていた。

『ロクさん!そこは既に立ち入り禁止です・・・』と桜井の無線。


「わかってるよ・・・」

 言葉とは裏腹に、ロクの目にはそこの箇所しか見えていない。ジャガーは砂塵が舞う箇所へ移動していた。



 空洞のシャフト内のヒデと早坂。

「ヒデ見ろ!“角”の底の部分から上にあがってくる!タイミングを測ってあそこに飛び乗ろう!外に出れるぞ!」

 ヒデはダクトから顔を出すと下の尖った建物の底を見つめる。上を見ると尖った建物に合わせて天井部分が真ん中から丸く開いているのが分かった。上からは外の光と大量の砂が落ちてきて、ダクト内も砂塵で視界が奪われつつある。底があと50メートルまで迫っていた。

「やるしかなさそうだな・・・」


 ヒデは狭いダクト内で、虫の息となった聖を背負い、上がってくる底のタイミングを狙っていた。

「これより別行動だ!死んでも恨むなよ・・・ヒデ?」と早坂が笑った。

「ああ・・・」

 二人はダクトのギリギリまで近寄り下を見つめる。



 P6指令室。雛壇中断にいたスタッフたちの動きが活発になっていた。

「次の発射まで10分を切りました!」とルナが叫ぶ。

「急げよ・・・」

 焦っているルナに反して弘士は冷静だった。


「電磁コイル最大出力まで5分!」

「サイドアーム用意!」

「出力は北の多聞天と西の持国天だけでいい!他は構うな!」

「司令!?最大出力後、暫くはシステムは・・・」

「分かっている・・・凌げればいい・・・」と弘士。



 北ゲート付近を走行中のロクは車を停止し車外にいた。先日ロクたちが荒野を調べていた箇所から轟音と微振動を伴い、尖った建物が突出してくる。建物は光を増し上に向かって姿を現した。建物はやや湾曲に曲がり、外壁の外から街の中に向かって傾いている。

「でかい・・・なんなんだこいつは?」

 

 ロクが辺りを見回すと、その建物は北ゲート付近だけではない。南ゲート、西ゲート、東ゲート近辺でも同じような建物を確認する。

4本の塔はすべて街の内側に向かって反り曲がっている。

 ある高さまで来たその塔らしい建物は、左右の部分からアームのような施設が迫り出してくる。それはまるで人型にも見えた。


 ロクのすぐ傍にそびえ立つ建物は人型の影をロクの所に落としていた。

「ま、まさか・・・こ、これが・・・真・四天王か・・・?」



 スコーピオ空母側ブリッチ。

「ツヨシさま!」再び食事中のツヨシの元に両角が駆け寄る。

「どうした!?」

「ポリスに異変が・・・?」

「何っ・・・?」両角の言葉にフォークを投げ捨てるツヨシ。



 P6指令室。雛壇中段のスタッフが慌しくなっていた。

「敵キャノン軌道に集中しろ!」

「多聞天、持国天出力最大へ!」

 指令室の照明が薄暗くなった。



 スコーピオ空母側ブリッチ。

「街の4箇所からあのような塔が・・・」と両角。

 ツヨシは街を見下ろすと、高さ300メートル程の4本の湾曲した塔が迫り上がっているのが見えた。

「あ、あれが・・・真・四天王か・・・?大筒は!?」

「はい!発射まであと2分!」とクルー。

「急がせろ!」

「はい!甲板より大筒を出します!」

 三度空母側甲板よりジプシャンのソーラーキャノンが浮上してくる。



 スコーピオ近くに待機していたバズーのアシカム。コクピットには陽が乗っている。バズーは屋根部分にバズーカを持って待機している。

「野郎だ!陽!出せ!」

 バズーは屋根からコクピットを叩く。

「・・・ったく・・・男って生きもんは・・・どうなっても知らないよ!」

 陽はアシカムのアクセルを踏み込む。



 スコーピオブリッチ。

「エネルギー充電100パーセント超えます!!」

「右舷より敵高速戦車接近!」

「ポリスめ・・・狙いはこの大筒か?・・・地対空ミサイル撃てぇ!」



 スコーピオに近寄るアシカム。コクピットには陽、その上にはバズーカを構えるバズーの姿がある。

「バズーさん!この距離であの大砲を爆破したら・・・?」と陽。

「知るかよ!?今はあいつを葬る事だけを考えろ!行けぇ!!」

 そこへアシカムに向かって十発ほどのミサイルが飛んでくる。


「ち、地対空ミサイル・・・?」慌てる陽。

 必死に交わす陽だったが、何発かがすぐ側で爆発してバズーカを構えていたバズーが振り落とされてしまう。

「バ、バズーさん・・・?」

 すると再度発射されたミサイルにアシカムが直撃。アシカムは爆発に巻き込まれてしまう。



 P6指令室。

「ア、アシカム・・・爆発!識別信号消えました!」と柳沢。

「バズー!?」驚く弘士。

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