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四天王  作者: 原善
第六章 真・四天王降臨
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その14 白髪のヒデ

 スコーピオブリッチ。ツヨシが中央の司令席に座っている。そこへある兵が叫んだ。

「敵のSCです。真っ直ぐこちらに向かっています!」

 するとツヨシが余裕の笑みを浮かべ答えた。


「1台だと・・・?まさか奴か?こちらのSC隊は出撃させた。斑なら囲って討ち取れと言え!」

「はっ!」

 すると両角がツヨシの傍に近寄ってくる。

「ツヨシ様?雷獣でしょうか?」

「さあな・・・しかし1台とはねぇ・・・こちらも舐められたな・・・」

「艦砲射撃はどうされます?」

「味方のSCがいる・・・?だが・・・任せるよ・・・」

「かしこまりました・・・敵SCに砲撃用意だ!」両角が指示を飛ばす、


 スコーピオの左部分。戦艦の主砲3門が静かに動き始めていた。



 陽のロータス・エスプリ。車窓前方には複数のSCの砂塵が見える。

「来たか・・・偵察相手に20台・・・本気ね・・・」



 スコーピオブリッチ。緊迫した中、1本の無線が流れた。

『敵、黄色と黒の斑!雷獣です!』

「艦を止めろ!」

「しかし・・・ツヨシ様・・・」

 いきなりのツヨシの命令に両角が止めに入った。

「先日2台確認した内の1台かもしれません・・・今出るのは・・・」

「囮という事か・・・」

「まずは艦砲かと・・・?」と両角。

「ふん・・・相変わらずお前は賢くて硬いね・・・?」



 陽のロータス・エスプリは間もなく敵SC隊と接触しようとしていた。陽はあるレバーを引き抜くと、左右のボンネットから小型バルカンが迫り出してくる。

「あの人ならこんな時、どう戦うのかな・・・?さぁーて行きますよ!」

 陽は敵のSC隊の中心にあえて飛び込んで行った。

「何っ!!」

 すると飛び込んだと同時にスコーピオからの艦砲射撃と思われる爆撃がある。陽の近くにいた敵SC隊の何台かは、その爆撃で吹っ飛んでしまう。

「バカな・・・味方の所に砲弾を撃つなんて・・・」

 敵のSC隊はその異変に気づき、陽のロータスから遠ざかった。

「き、嫌わないでよね・・・好きになられても困るけど・・・」

 陽はハンドルを巧みに捌きながら、敵サンドシップに近づいた。



 スコーピオブリッチ。ある兵の悲痛な無線が流れた。

『こちら先発隊!艦砲を御止め下さい!味方が・・・味方が!』

「無線は無視だ!敵は討ち取ったか?」

 ツヨシはその無線を無視して、敵の確認を優先した。

「敵SC、来ます!」

 ツヨシの表情が変わった。

「1台でか・・・?機銃!生きて帰すな!」



 陽のロータスは、砂塵がたくさん舞う敵シップ近くまで取り付いていた。その砂塵の少しの隙間にあの船の姿を確認する。

「やはり、先日の大型か・・・?」

 陽のSCはスコーピオからの機銃攻撃の標的になっていた。

「これだけ確認できれば・・・」

 陽は急ぎハンドルを切ると、今度はP6方面へと向かってアクセルを踏んだ。



 ヒデはその頃、再びあの巨大空洞の手摺階段を登り始めていた。そして聖と死龍が待機している薄暗い横穴のシャフト口に入る。そこには聖の姿しかなく、聖もシャフト内で大量の吐血をしている。

「大丈夫か!?聖!?」とヒデ。

「私は・・・もう・・・」聖は虫の息になっている。

「あの女は!?」死龍を捜すヒデ。

「この先に様子を見に行くって・・・」

「あいつ・・・」

 すると、そこに早坂も上部から戻ってきた。

「ヒデ!上も駄目だ!なにか電子ロックが掛かっている・・・手動じゃ開かない!下はどうだ?」

「下には何もなかった。行き止まりって事か・・・」

「あの仮面の女は?」と早坂。

「この先に向かったらしい・・・」


 ヒデたちは薄暗くなったシャフトの奥を見つめた。

「やっぱり逃げたんだよ。俺たちの居場所を伝えるぞ?ここじゃ危険だ・・・おい・・・ヒデ!?」

 突然早坂がヒデの様子を見て、顔色を変えた。すると虫の息だった聖もヒデの様子を伺う。

「どうした・・・?」とヒデ。

「ヒデ・・・お、お前その髪の毛どうした・・・?」

「髪の毛だと?」

 

 早坂の言葉に聖もヒデの顔を見つめる。よく見るとヒデの黒髪が全て白髪に変わっていたのだ。

「ヒデ・・・」聖も思わず声を上げた。

「どうした?」

「髪の毛がどうした?」

「白髪になってしまってるぞ・・・」

 ヒデは自分の髪の毛を撫で回した。

「埃でも付いたんじゃないか・・・?」


 すると早坂はヒデの髪の毛を恐る恐る触り始める。

「間違いない。白髪だ・・・お前一体何をしたんだ・・・?」

「何っ・・・」

「・・・」

 ヒデも聖も驚いて声にならなかった。



 その頃、死龍はあるダクトの入口を蹴破ってある地下室に辿り着いていた。そこは非常灯だけが点いている薄暗い機関室だった。

「ここはどこだ・・・?」

 死龍は部屋中を捜しまくり、ある内線電話を見つけ操作してみた。

「かかるのか?かなり古いタイプだ・・・?」



 P6指令室。我妻が内線電話を受けていた。

「死龍さんから内線連絡!」

 弘士が慌てて我妻の席に降りてくる。

「死龍か?場所は?」

「地下17階、北特別機関室からです!」と我妻。

「代われ!」

「はい!」


 弘士は我妻の席の内線を手にする。

「死龍か?なぜそこから・・・」

『北の空洞から更に下の階に・・・ここは一体何なの!?』

「そこは、戦前の施設・・・立ち入り禁止区域だぞ!」

『戦前の施設?だけどまだこの施設は生きてるわ・・・それとあの巨大な空洞はなんなの?』

「後で説明する。無事なんだな?ヒデたちの人質になったと聞いたぞ!?」

『奴等もこの先にいる。今は奴等から離れている。脱出できなくて困っている様子よ。なぜあのダクトに兵を送らない?』

「死龍・・・そ、そこの施設はな・・・」

 弘士は返答に困っていた。

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