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四天王  作者: 原善
第六章 真・四天王降臨
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その12 ジプシーの宿命

 バズーもロク同様に地面を蹴り始めた。塀の上の見張りたちはこの3人の様子を滑稽に見つめていた。するとある見張りが、塀の上から3人に叫んだ。

「北方面に砂塵が見えます!敵の船かと思われます!」


「チィ!次から次へと・・・」

 ロクたちはその声に作業を止め、再び北ゲート内に戻っていく。



 空洞内。死龍が先頭に、早坂、そして聖をおぶったヒデが順に梯子で下へと向かって降りていった。ヒデは聖をおぶっている分、苦しそうな顔を見せる。すると真上にいるヒデに向かって、早坂が叫んだ。

「その女がどんな繋がりだか知らねぇが、落とすんじゃねぇぞヒデ!」

 それを聞いたヒデも、真下の早坂に返した。


「ああ、分かってるさ!・・・しかしどのくらい深いんだこの穴!やや曲がってるせいもあるが、まるで底が見えないぞ!下を見るだけで目がくらむぜ。」

「下を見るなよ!それにしても下の仮面の女。なんで連れて行くんだ!?」

「人質だ!さっき聞いた話では、そいつはP5の四天王だぞ!」

「本当にあの死龍かよ!?おいおい、冗談だろ!?なぜここに居るんだ!?」

「なら本人に聞いてみろよ!?」

「知るか!?なら妙な動きをしたらこの底へ蹴落とすからな!」


 すると死龍は上のヒデと早坂を睨みつけた。

「何ごちゃごちゃ上で言ってのよ!?ここにまたダクトがあるわ!少し休憩しない?疲れたでしょ?」

ハシゴの途中で再び同じような横のダクト穴を見つける死龍。

「ああ、そうだな・・・今日は怖いくらい優しいじゃないか?ええ手榴?」

「ここで、あんたらに死なれたら手柄にならなくてよ。」

「任務優先かい・・・?」冷たい死龍の言い方に呆れるヒデ。



 北ゲート塀の上。ロク、ダブル、バズーが北方向の高く舞い上がった砂塵を見ていた。するとロクはインカムを口元に持ってくる。

「我妻?指令室は北の砂塵を確認しているのか?」

『はい。サンドシップです。ポリス道を南の進路ですが、こちらに向かうかは微妙です!』

「予想到達時間は?」

『2時間半と見ています。レヴィアは既にP7を出発しています。』

「わかった・・・何かあったら追報をくれ。」

『了解です!』



 ダクト内の4人。ヒデと早坂が空洞内を見ているのに対して、死龍と聖がダクト内で向き合っていた。

「髪の毛・・・?」聖の頭を見る死龍。

「言わないで・・・」

「ごめん・・・」

 聖は手の平で、髪の毛の抜け落ちた頭部を隠そうとした。


「逃げたんじゃなかったの?」と聖。

「あの後、街で撃たれたの・・・大砲にね・・・」

「あんたもヘマはするのね?」

「生きてたのが奇跡って言われたわ。昔から体力の回復だけは人一倍早くてね・・・」

「あなたもミュウなの?」

「そうみたいね・・・」

 死龍は一度目を伏せた。


「ミュウって・・・?」

「ミュウはね・・・」

 死龍は聖の言葉を掻き消すように言葉を被せた。


「ミュウは・・・ミュウはね・・・一度発症すると治らないって言われている・・・」

「そうらしいね・・・」

「血を吐き続けて、最後は眠るように死ぬ・・・もう何人も見てきたわ・・・」

「私もそうやって死ぬのね・・・?」

「ポリス内部でも、まだ血液の病気としか把握してないわ・・・昔は女性しかかからなかった・・・そんな記録が残っていたわ。それで一時この国の人口は激減した・・・それと本来ミュウの人間と、ミュウから感染した人間が居る。あなたは恐らくヒデから感染した口ね・・・ここに残って治療を続けなさい!」

「命令しないで!荒野で生まれたんですもん。荒野で死ぬわ・・・それがジプシーの定めでしょ?」

「そうかもね・・・?砂になって死ぬ・・・そしてそこに草木が育つか・・・昔はそんな言い伝えがあったらしいけど・・・」と死龍。


 するとヒデが空洞の中から戻ってきた。

「早坂は上へ、俺は下を降りてみる。手榴?ここにいろ。聖を頼む!」

「あんた、人質の私にこの子を見てろって言うの?」

「この先は空洞がやや曲がっている・・・聖を背負っては無理だ・・・」

「あんたね・・・この顔の傷・・・誰に付けられたと思ってるのよ?」死龍は自分の仮面を指す。

「知らんな・・・ロクだろ!?」

「くっ・・・いいわよ!戻って来なかったら私はこの先のダクトに向かうわ!この子を外に連れ出しても何にも出来ないわよ!」

「どこで死ぬかは、聖が決める事だ!こいつ自身がな・・・」


 ヒデはそう言うと、早坂と階段を上下に別れてダクト内から消えて行った。

「あんた・・・敵なのに随分ヒデに信用されてんのね?その辺のあの人の感覚が私にはわかんないわ・・・?」

「嫌いじゃないわよ・・・好きでもないけどね?」

 死龍は聖に不敵に笑ってみせた。



 ジプシャン軍鹿島台本部。総帥の座には寛子が座っていた。すると前方から犬飼参謀が入ってくる。

「総帥、本隊の出撃の準備が整いました。」

「よかろう。我が隊もP5に向け出発をする!」

「ははっ!」

「P6方面の全ての基地を放棄する。よいな?犬飼?」

「ははっ!・・・しかし本当によろしいのですか寛子様?あのツヨシめにP6を攻撃させて・・・?前総帥の遺言が・・・」

「P5も時間の問題だ。この期に及んで順番などどうでもよいわ!しかもツヨシが父の本当の息子かどうかも分からんしな。」

「しかし・・・」

「これで本当のP6の正体が分かれば、それもよしとする・・・では駄目か?犬飼?」

「まさか・・・ツヨシをP6の餌にしたという事ですか?」

「その通りだ・・・」



 荒野を南下するスコーピオ。そのブリッチにはタケシと両角がいた。

「専門家の話では、艦を止め充電に30分程度は掛かるとの事・・・」

「30分?面倒だな・・・?」

「直径5メートルの大筒です・・・仕方ないかと・・・」

「それで効果は?」

「はい、場合に寄っては地下のシェルターまで威力を発揮出来るとの事です!」

「いい加減な答えだな?どんな場合なんだ?」

「はあ・・・専門家の話です・・・真上からが効果があるそうですが、所詮この艦も陸戦兵器・・・発射時は街の真横からでしか撃てません・・・」

「最初から分かっていることだ・・・」

「元々は対艦用に作られた敵の兵器です。街の攻撃としては・・・」

「その為に砲口を大きくし、改良したはずだろ?それで?」

「は、はい・・・1発目の攻撃で街の地層部分、2発目で地下1階と地下2階の住居シェルターを、3発目でポリス内部の核シェルター部分の攻撃が効果的と申しております。」


 ツヨシは突然席から立ち上がり、進行方向へと目を向けた。

「3発の攻撃が必要か・・・?くくくっ・・・充電時間を入れると、P6も僅か90分という事か・・・?移動を入れてもポリスはあと4時間で終焉・・・」

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