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四天王  作者: 原善
第六章 真・四天王降臨
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その9 地下研究室

 P6指令室。何かの警報が室内に鳴り響く。

「何の警報だ?」弘士が叫ぶ。

「地下6階の独房からです・・・収監中のヒデが人質を取って立て篭もったと・・・」とルナ。

「何だと!?」

「人質は医務班の高田主任です!」

「ダブルを向かわせろ?ロクもいたな?場合によってはヒデの射殺も構わん!逃走を図られんように全エレベーター停止だ!」

「はい!」

「・・・高田め・・・しくじったな・・・」弘士は唇を噛み締めた。



 ヒデは高田を羽交い絞めにしながら、独房から出てきた。高田も必死に抵抗する。するとヒデの独房の3つ隣から声が聞こえる。よく見るとタケシ隊の早坂隊長が、鉄格子の窓から叫んでいた。

「手伝うかい?ヒデ?」と早坂。

「ああ・・・」


 ポリス兵たちも続々と独房前に集まり始めていた。ヒデは高田の首に掛けてあったIDカードを引き契ると、早坂の独房前まで高田を引き摺った。

「私はいい!構わず撃ちなさい!」

 高田は自分のミスで引き起こした現状を打破しようと、兵たちに発砲を命令した。しかし若い兵らは銃を構えるだけで、撃とうとはしなかった。

「何してる!撃ちなさい!」

 ヒデは高田のIDを使うと、早坂の独房を開けてしまった。

「甘いんだよ・・・ポリスは・・・奴と同じさ!」

 

 すると、待ちかねたように早坂が独房から出てくる。

「どうする、ヒデ?」

 早坂は慌てた様子で、ヒデの影に隠れた。

「逃げるさ・・・銃殺はごめんだ・・・」

「ここからは逃げるなんて無理よ。既にこの階は封鎖されたわ!」と高田。

「なら潜るだけだ・・・聖はどこだ!?」

「なに・・・?」顔をしかめる早坂。

「逃走方向に逃げるバカがどこにいるんだ?」



 P6指令室。

「Nブロックは封鎖しろ!奴を地上に出すなよ!」

 弘士が指揮を振るう中、ダブルが入ってくる。

「司令!」

「すまん・・・ヒデが脱走を図っている・・・」

「捕まえるんですか!?」

「最悪の場合、このまま刑を執行してくれ・・・」

「分かりました!」



 高田とヒデと早坂が緊急用エレベーターで地下に向かっていた。高田はそれでも必死に抵抗する。

「ふん・・・施設中の守備隊は、若い兵ばかりで銃も撃てねぇ・・・今のポリスの現状は酷いもんだな?先生?」

「聖を連れ去る気?」

「ああ、惚れてたんでね・・・」

「なら逢わない方がいいわ・・・」

「ど、どういう事だ!?」

 ヒデは高田の言葉に逆上した。


「せめてここに居させて、楽に死なせなさい!」

「バカな・・・10日前には元気だったはずだ。」

「女性がミュウに犯されると、病状は早い・・・特にあの子の場合は異常なくらい・・・連れ出すなんて土台無理よ!」

「そんな脅し、俺には効かないぜ・・・」

「彼女を見れば分かるわ・・・」

「ふん・・・」


 地下6階のエレベーターの扉が開くと、バズーと兵士ら5人が待ち構えていた。

「ちぃ!ここもか・・・」

 ヒデは高田を盾にすると、早坂とエレベーターから降りてきた。

「観念しろヒデ!どこにも逃げれないぞ!」とバズー。

「あの男・・・石森をやった男か?」

 早坂はバズーの顔を見るなり、バズーを睨んだ。

「通せ!この女を殺す!」とヒデ。

 

 ヒデは再度、高田の首元に自分の血液の入った注射器を突き立てると、バズーらを威嚇する。

「くそっ・・・」

「この階だよな?聖はどこだ?」


 その時、外の様子の異変に気づき聖が病室から出てくる。

「ひじり・・・」

 ヒデが見た聖の姿は、10日前に見た元気な姿から程遠い姿になっていた。髪は全て抜け、顔も青白く、少しやつれている様子だった。


「ヒデ・・・」

 聖はヒデの姿を見ると、髪の毛のない頭を必死に隠そうと、頭部を手で覆いながら病室からフラフラと出てきた。

「行くぞ・・・」

「うん・・・」


 ヒデは高田を羽交い絞めにしながら、聖に手を伸ばした瞬間だった。銃を構えていた一人の若い兵が、聖に向かって発砲した。

「うっ・・・」

「聖!」


 銃弾は聖の右肩を貫通し、聖は後方に倒れてしまった。

「患者を撃つな!何してる!?」

 高田の怒号に、兵らは狙いを再びヒデらに向け始める。


「てめぇら!人質を殺すぞ!」

 早坂がヒデに変わって聖の傍に近寄り、抱きかかえた。

「大丈夫だ・・・急所は外れている・・・」

「そうか・・・逃げるぞ・・・」

 ヒデは高田を連れたまま、ポリス兵が少ない箇所へと少しづつ移動していく。するとヒデの目に一つのエレベーターが目に止まった。


「地下7階以降の特別エレベーター・・・面白い・・・真・四天王とやらを拝んで行くか?」

 ヒデは高田を盾にしたまま、特別エレベーターに近寄っていく。



 あるエレベーターにロクとダブルが乗り合わせている。ロクは拳銃に弾を込めて、ダブルはインカムで何かを話している。

「銃殺だと!?生け捕りじゃないのか?・・・・・・わかった。おい?そういう事だ・・・」

「おいおい・・・手間省くなよな・・・」ロク。

「現在、地下6でバズーらが追い込んでるらしい。」

「なぜ地下に下がる?・・・・・・目的は聖か・・・?」

「野郎っ・・・俺の花嫁に・・・」



 エレべーター内のヒデたち。聖は早坂の肩を借りていた。

「聖!?大丈夫か?」

「ええ、大したことは・・・どこに行く気なの?」

「まあ見てろ!」とヒデ。

「何をする気なの!?」

「真・四天王さ・・・」

「馬鹿を言わないで!ここにそんなものが・・・」高田が叫ぶ。

 するとエレベーターが止まり、扉が開いた。そこには薄暗い研究所が彼らを待ちわびていた。

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