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四天王  作者: 原善
第五章 カラー・フィールド
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その21 死の塔

「なんだ?ここにはガスでも吹き出るのか?」バズーが皮肉たっぷりでロクに問う。

「ああ・・・1000メートルも掘ればな・・・馬鹿!そんな時間あるかよ!?」一応ボケるロク。

「お前・・・倉庫のアレを使う気じゃ・・・?」と玉木。

「はい・・・貸してくれますか?」

 ロクは甘えた顔で、玉木を見つめた。



 暗闇の地下道をロク、バズー、キーン、ダブル、陽の5人が早足で移動している。その後ろにはいくつかの懐中電灯の明かりと、数名の兵が大きな荷物を押しているのが分かる。



 回想。昨日のP4会議室。

「地下に電源はない。どうやって稼動するんだ?」と風我。

「この先に、旧地下鉄の緊急時の非常用電源装置がある!」とロク。



 その荷物は、5人の兵士が大きいトロッコに乗せ線路上を押して移動している。高さ2メートル、幅3メートル程の布に包まれた物は、静かに移動中だった。



 回想。昨日のP4会議室。

「30年前の発電機械だ。動くはずがないだろ!?」と玉木。

「先日、キキと行って確認している。バッテリーは残っています。あいつまだ動きますよ。短時間なら・・・」



 ロクら先発隊は、天井を見上げると立ち止まった。

「ここだ・・・」とロク。

「さっさっと、上げるわよ!」と先輩たちをせかす陽。

「命令すんな!しかしこのデカ物・・・上がるか・・・?」



 回想。昨日のP4会議室。

「もし・・・爆破させたとして・・・どうなる・・・?」

「半径80メートルは・・・骨も残らない・・・」

「正気か・・・?」と玉木。



 トロッコが台ごと上に伸び始め、その荷物はトンネル天井近くまで上がった。

「コードお願い!」

 荷物と一緒に上がった陽が、上から電流コードの束を投げ捨てた。



 回想。昨日のP4会議室。

「剥き出しの機械だ・・・稼働中に銃一発でも食らったら・・・?」心配する風我。

「爆発させるんです!船に積む時のように、周りを鋼鉄の箱に囲ったら意味ないでしょ?」

「危険過ぎる・・・防音壁も使わずそのままだろ?・・・稼動時の音でばれてしまうだろ?」

「その前に、爆破させますよ・・・」



 荷物の周りにあった布が取り払われる。 現れたのは剥き出しになった、サンドシップ用のエアーブースターだった。



 回想。昨日のP4会議室。

「トンネル内の爆発は想定以上だ。下手したらトンネルごとお前らも潰されるぞ・・・」と玉木。

「覚悟の上です!」とロク。

「例えトンネルが残ったとして、そこを吹き抜ける爆風は計りしれない・・・長距離から操作しなければ・・・」と風我。



「聞いてなかったけど・・・誰が起動ボタン押すの?」天井部分からロープで降りてきた陽。

「リモートで遠隔でするんだよな?リモートで爆破・・・そうだなロク?」と自信満々のダブル。

「あれ?そんな便利な道具・・・うちにあったけ?」とぼけるロク。

「ああっ!?じゃあどうすんだよ?」慌て始めるバズー。

「俺が言い出したんだ。俺が押すさ!」とロク。

「起動はそれでいいですが・・・爆破は・・・?」


 陽は心配そうに4人に問う。

「俺が銃で撃つ!」

「す、凄く・・・シンプル・・・」唖然とする陽。

「まあ、何とかするよ!」満面の笑顔で決めるロク。

「出た出た・・・」とダブル。

 唖然とするロク以外の4人。



 ジプシャン軍大型サンドシップ“スコーピオン”艦橋の司令官席に横柄に座るツヨシがいた。

「後500メートルも進めば、敵の本部真上のドームを砲撃出来る・・・」

 その横にいた参謀の両角がツヨシに近寄った。

「しかし、このシップを通れるだけの道を、短時間でここまでよく整備しましたな?」

「そこはさすが兄貴と褒めちぎったわ!」自分の腕をポンポンと叩くツヨシ。

「さすがです。ツヨシ様・・・」一礼する両角。


「姉貴の口約束だと、ここは我が基地となる場所・・・出来れば破壊せず使えるものは使いたい。」

「さて・・・どうしたものか・・・?」

「噂では、ここの指揮は女らしい・・・和平を持ち掛け、逃がしてやりたいな。」

「タケシ様が聞いたら、そのお言葉さぞ驚くでしょうね・・・?」

「用は戦わずして勝てばいいのさ・・・」



 トンネル内。

「あと10分で、敵シップがこの真上を通ると地上班から・・・」

「さぁーて・・・行きますか?」

「本当に一人で大丈夫か?」

「走って脱出するんじゃない。バイクだから大丈夫だよ。」

「よく、こんな直線の所を見つけてましたね?」

「キキの提案なんだ・・・エアーブースターもな!」


「そうか・・・ならその仕事俺がする!」

「おいおい」

「いや・・・バイクと狙撃なら俺の仕事だ。ロクのバイクの運転も心配だしな?昔から転んでるのしか見たことないぞ!そうだったなバズー?」

「確かにロクよりキーンだろうな・・・ロク?こいつの爆風は想像以上だ!狙撃もキーンが上だ!」とバズー。

「しかし・・・」

「キキの最後の仕事だ!ここは俺が・・・」諦めないダブル。


「ほんと・・・この4人の友情には敵わんなぁ・・・」4人の会話を聞いて呆れる陽。

「お前は黙ってろ!!」と4人。

「へいへい・・・」

「ここは俺に任せろ。なあロク?」とキーン。

「キーン・・・」

「さて・・・作戦も決まった事ですし、おいらは先に逃げますよ・・・」と陽。

「・・・ったく、ロク班は逃げ足だけは早いな?」とバズー。

「ふふふ、違いない・・・」とキーン。



 スコーピオ艦橋。

「間もなく、死の塔の脇を通過!」

 艦橋内に緊張感が走る。


「死の塔か・・・」窓際に立っているツヨシ!

「核の爆風も倒れなかった40階の建物・・・老朽化してはいますが、心配要りません。全軍を持ってこのビルの警戒に当たらせています。」両角も窓際に立つ。

「意外と何もなかったな・・・私がP4の将なら、このビルを利用していた・・・倒されていたなら、この船の進軍は相当遅れていたはずだ・・・」

「既にP4にそのような反撃する力はないかと・・・最近はもっぱらゲリラでの戦い・・・」

「追い込まれたネズミ・・・なんやらを噛むと言うし・・・」


「地下の階まで警戒を当たらせてます。心配ないかと・・・」

「この下に、旧地下鉄があったはずだ?」

「50メートルの深さです。数トンの爆薬でも影響はありません。しかも入口はどこもポリスによって封鎖されてます。不可能かと思われます。」

「数名でいい。誰か兵を当たらせろ!」

「ははっ・・・しかし・・・」

「念には念をだ・・・このまま向こうが黙るはずがない・・・」

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