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四天王  作者: 原善
第五章 カラー・フィールド
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その14 初恋

「だから言ったのに・・・」


 ロクが捕虜にした、全裸のジプシャン兵たちを見ているホーリーとキキ。キキは恥ずかしいながらも、指の隙間からキッチリ見ている。そこにダブルやロク、バズーらが駆け上がってくる。

「もーう、嫌!」とキキ。

「あら・・・いい眺めね・・・いい男もいるじゃなぁ~い?」


 ホーリーの声で、やや強張っているジプシャン兵たち。ホーリーの目が輝く。

「ロク?いつからこんな趣味になった?」とバズー。

「さーなー?」

「どうするんだ?捕虜としては多すぎないか?」とキーン。

「ああ、ここで爆破して全員片付けるつもりだ。」


 ロクの言葉に、必死に首を振るジプシャン兵たち。バズーは、ロクの言葉に何かを気づいた。

「そうだな!それはいい案だ。ダブル、爆薬だ!」

「マジかよ・・・??」渋々爆薬を取りに行くダブル。


 ロクの言葉に気づいたのは、ホーリーも同じだった。

「ちょっと待てよ。爆薬がなければ、ここから逃げれないわ。」

「裸で逃がしたら?弾も残り僅かよ・・・」とキキ。

「仲間の首を切り落とす連中だぞ!生かして帰すのか?」とロク。

「なら、勝手に首でも切り落としなさいよ!!」


 キキはロクの非道の言葉に対して、珍しく大声を出し背中を向けた。

「おーい!ダブル!爆弾やめで、斧持って来い!」バズーが叫ぶ。

『どっちだよ!?』下からダブルが叫んだ。

 すると、ロクは高速の上で爆弾を仕掛けていた男の側に行き、しゃがみ込んで話し掛けた。

「ごめんね~?こいつら俺より野蛮なんだ・・・」


 ロクの不敵な笑いに、ジプシャンの兵士たちは、必死に何かを訴え口枷をしたまま叫んだり、泣いている者までいる。 するとダブルが、下から大きな斧を持ってくる。兵士たちは更に顔色が蒼くなった。

「ほらよ!俺はそんな役はごめんだぜ!」とダブル。

「なら・・・こいつから行くか?」

 バズーは斧を持ったまま、ある兵士に近寄る。その兵士は、縛られながらも他の仲間の兵に近寄り、必死に逃げようといている。

「うっ!うっ!うっ・・・」


 すると、ホーリーが口を挟んできた。

「武器を持たないジプシーを攻撃しちゃいけないんでは?」

「おいおい、こいつらジプシャンだぜ・・・その掟は・・・」とバズー。

「今は軍服は着てないけどな・・・」とロク。


 すると、下から声が聞こえてくる。

『敵のバイクが近寄ってきます!』

「時間がない・・・銃殺する・・・」

 ロクは、腰の拳銃を抜き一人に向かって構え始めた。

「駄目よ!チャンスを与えたら?」と笑顔のホーリー。

「そうだな・・・」



 捕虜の兵らは、P6の軍服を着せられ両手だけは後ろに縛られていた。縛っているのが分からないように、その上にポンチョコートを着させられている。兵らは全員口枷をしたまま、ビルの入口付近に並べられていた。

「あの倒れている高速道路まで走れ!妙な動きをしたら、お前らみたいに後ろから容赦なく撃ち殺す。いいかな??」


 ロクは笑顔たっぷりに捕虜たちを説得し始めた。

「横に逃げたり、立ち止まっても駄目だ。ビルの上からバズーカや機銃が狙う。」

 するとロクは、敵の兵の一人に自分が被っていたハットを頭に被せ、ビルの上を指差す。するとバズーとダブル、キーンまでが各々の武器を構えていた。


「足場悪いけど、全力で走れよ!ああ言い忘れた。味方は近くまで来ている。味方にも撃たれないようにな?」

 一人のジプシャン兵が、ロクに向かって唸っていた。ロクが倒れた高速上で拘束した兵だ。

「うーうっ!うううーううううーうう!」

「大丈夫だよ。起爆装置は俺持ってないから・・・」

 そう言うと、なぜかその兵は黙り込んだ。

「最初の30秒だけは、撃たないから・・・じゃあ行くよ!GO!」

 ロクの掛け声で、兵士たちは一斉に走り出した。両手を後ろに縛られているせいか、スタートしてすぐ転倒した者までいる。それを廃墟ビルの上の階から見つめるダブル。

「おいおい・・・」


 みんな必死に瓦礫の中を、倒壊した高速道路に向かって走り出してる。

「時間だ!」

 ロクの声を聞いた、ダブルとキーんはその兵らを狙撃し始めた。銃弾は、足や顔にギリギリでかすめていく。兵士たちは更に加速して走り始めた。



 大広隊本隊。

「南側で、銃声!敵が爆破ポイントに逃走してるそうです。」

「爆破のタイミングは任せます。奴らめ、痺れを切らしましたね・・・」と大広。



 ポリスの軍服を着させられた20名の兵士は、倒壊した高速道路近くまで来ていた。しかし兵たちは、高速道路の下までは行かず、途中で左右に分かれ始めた。するとその兵士たちの足元を、キーンのライフルが狙撃し始める。兵士らが進退窮まった次の瞬間だった。高速道路の上の部分から爆発が起こり、 高速道路が音を立て崩れ始めた。何人かは瓦礫の下敷きとなり巨大な砂埃の中に消えて行った。



 ロクたちはジプシャンの軍服を着ながら、高速道路が爆破された現場に集まり始めていた。

「もし、敵が爆破しなかったらどうしていたロク?」バズー。

「そしたら、こっちで狙撃してたよ。」

「そうか・・・ああ!ロク演技下手過ぎ!」

「ごめんね~!」

「道は出来たか?よしここから逃げるぜ!」とキーン。

「おお、これじゃ俺らがP4に撃たれちまうだろ!?」とダブル。

「P4は来ない!」断言するロク。

「何でだよ!?」とダブル。

「断ったんだ。お前らは俺の仲間だからな!俺一人で助けると!」

「くっ・・・いつもいい所を・・・」


 すると、後方を警戒していたキキやホーリー、ボムも合流して来る。

「敵は、完全に芝居に騙されてるわ。」とキキ。

「急ごう、遺体を調べられたらバレルわ!」ホーリーが叫ぶ。

「行こうって、どこに行けばいいんだよ?」とバズー。

「P4はこの先だ・・・」


 ロクたちは、高速が爆破された箇所を通る時だった。突然、機関銃の銃声が彼らを襲った。

「ロクっ!」


 ロクをかばい、ロクの前に出たのはホーリーだった。ロクの顔に大量の血が吹き付けられた。ホーリーはそのまま後ろに倒れ、ロクはホーリーを抱き締めた。ダブルは咄嗟に撃って来た方向に、機銃を撃ち込んだ。キーんもバズーも拳銃を抜き、まだ砂埃が消えない高速道路崩壊部分に銃弾を乱射した。ロクはホーリーの体を抱えると、近くの瓦礫の影に隠れた。


「ホーリー!?」

「ロ、ロク・・・」顔色が変わっていくホーリー。

「キキ!!こっちだ!」

 銃弾は左胸元をエグっていた。大量の血がドクドクと流れ出す。ロクの声に慌ててキキが銃声が鳴り止まない中、身を伏せながらやって来る。ロクは銃撃痕を必死に手で押さえるが、血は止まらない。キキが背負ったリュックからガーゼを出し、傷口を上から覆い始めた。


「あ、あたい・・・た、助かる・・・?」必死の形相のホーリー。

「助かるさ!何とかする!」

「嘘よ・・・キキ泣いているもん・・・」

 キキは必死の形相で手当てをしているが、キキはホーリーの様子を見て、涙を溢し始めていた。

「泣くな!キキっ!」

「だ、だって・・・」


 その言葉で、ロクもホーリーの容態を把握してしまった。

「悲しまないで・・・泣かないで・・・遅かれ早かれ人は死ぬの・・・」

「ホーリーっ!!??」

「さ、先にみんなのとこに・・・行くだけよ・・・」

「キキ!血が・・・血が止まらねぇよ!!」

「ロ、ロク?・・・き、気づいてた?」

「ホーリー!もういい!喋るな!」

「だから・・・気づかなかったの・・・?」ロクの手を握り絞めるホーリー。

「だから、喋るな!!」


「ロク!聞いてあげてよ!!」

 キキが泣きながら、珍しく怒鳴ってみせた。ロクは自分の顔を見ているホーリーの顔を見つめた。

「な、なんだよ・・・?」

「あんたはね・・・あんたは・・・私の・・・初恋の相手だったんだよ・・・」

「ホーリー・・・」

「あたい・・・こんな男みたいな体で、他の男たちよりもデカいから・・・ガキの頃からポリスに虐められて・・・助けてくれたのはいつもロクだけだったよね・・・?」


「そうだな・・・いつもホーリーを助けてたな・・・ホーリーのゼッケンは“666”・・・ゼッケンだけで虐められてたよな?・・・・なんでだよ!キキ!?血が止まんねぇ!」ホーリーの話を聞きながら懸命に止血をするロク。

「最後は・・・好きな男の為に死ねるなんて・・・あ、あたい・・・幸せだよ・・・」

「撃たれて、幸せな奴がどこにいるんだ!?」

「この銃は・・・あんたに預けるわ・・・」


 少しづつ意識が遠くなり、目も虚ろになっていくホーリー。

「ホーリー!!」

「ねえ・・・もっと抱き締めてよ・・・もっときつく・・・もっと・・・あたい・・・」

「ホーリー!!」キキも叫ぶ。

「あ、後は・・・任せるから・・・」

「お前も・・・そのセリフかよ・・・?」

 すると、ホーリーはロクの腕で眠るように息を引き取っていった。

「ホーリー・・・」

「・・・」泣き崩れるキキ。


 涙を流しながら、我を押し殺しているキキ。ロクは動かなくなったホーリーを強く抱き締めていた。


「やばいよ!前方にも敵兵だ!」

 ボムは、崩壊した高速側を見て叫んだ。銃撃は増える一方で、ロクたちの後方からはバイク音が近づいてくる。

「て、敵に読まれていたか・・・!?」



「そう簡単には、逃がさないぜ・・・」

瓦礫の中、不敵に笑うタケシ。

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