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四天王  作者: 原善
第五章 カラー・フィールド
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その10 シックス

 志村口入口に陣取るジプシャン軍死神隊。

「奴らの足取りは、まだ分からないのですか?」と大広。

「10キロ先の行き止まり付近で、側道が見つかり現在調査中との事。しかし途中で天井の崩壊があり・・・」

「奴らを追って下さい。P4の入口かもしれません。」

 すると突然、後方から叫び声が聞こえる。


「敵襲だぁ!!」

 大広は慌てて声のする方に、振り向いた。すると1台のバイクが到着し、ヘルメットを被った他のバイク隊と同じ制服を着た血だらけの兵がバイクから転げ落ちたと思うと、ある一箇所を指差しこう叫んだ。

「て、敵の襲撃です・・・奴らすぐそばまで・・・」

 兵は銃で撃たれたのか、大広のすぐ側で倒れてしまった。するとその方向は爆発を起こし、一面が炎と化した。現場は慌しくなっていく。

「敵の二次隊ですか?こんなに早く・・・各隊左右に展開!迎え撃って下さい!」

 大広のバイク隊は、志村口を中心に左右に展開し、爆発のあった方向へ少しづつ歩き始める。すると更に別方向から爆発し、その辺りの荒野や、廃墟が赤く染まった。すると銃声が聞こえ始め、大広隊も銃声が聞こえる闇に銃弾を撃ち込む。


「敵はどっから撃って来るんだ!?」

「バイク隊出せ!照明を当てろ!暗くて、敵わん!」

 何台かのバイクが、銃声のする方向へ走り出した。すると最初に到着した血だらけのヘルメットを被った兵がムックっと起き上がると、乗ってきたバイクに跨ると志村口の中に一人走り出した。よくヘルメットの中を見ると、それは敵の制服を着たロクの姿だった。


「敵襲!敵襲!」

 ロクは、トンネル内にいた兵にもバイクに乗りながら叫んで行く。バイクは更に奥へと進んだ。



 志村口近辺ダブル班。暗闇の中、ダブルと残は敵が混乱している様子を見つめていた。

「そろそろいいかな?・・・撤退するぞ。ホーリーらは?」

「迂回して地上を進んだ。」と残。

「奴らも、そろそろこちらのトリックに気づくよ。」

「了解!ボム!そちらも後退だ。」無線を飛ばす残。

『了解!』



 志村口入口ジプシャン軍死神隊。

『敵は遠隔操作の自動操銃を使い・・・』

「どういう事ですか?」無線を受ける大広。

『爆弾も遠隔と思われます・・・敵の姿はなく。』

「くっ・・・図られたか。しかし意図がわかりません?」



 トンネル内のロク。敵のバイクで奥まで行くとトンネルは行き止まりになっていた。仕方なくバイクを降りると、ロクは暗視スコープを掛け始めた。

「行き止まり?しかも新しくない・・・?銃撃痕はまだ新しいが・・・?」


 ロクは、少し入口方面に戻るとそこに細い側道があるのに気づく。なにやら人の気配だけは感じた。

「足跡はここに・・・ポリスの物も・・・」

 そうすると、ロクはジプシャン軍の制服のままその側道に入っていく。



 バズー班は、地下道を進んでいた。すると先方から吹く風が強くなっているのに感じ、更に足元には砂が多くなっているのに気づいた。

「出口が近いか?バズー!?」キーンが叫ぶ。

「だろうな。敵の足跡も多いしな。」

「上はまだ夜だろ?出るにはいい頃だな?」とライ。

「果たして、ちゃんと迎えに来てくれるか・・・」


 すると突然トンネルの左部分に上に続く長い階段が現れた。一同唖然としその階段を見上げる。

「意外と深いとこなんだなここ・・・?」キーンが階段を見上げる。

「昇るしかないようだな・・・行くぞ!」バズーが先頭に立つ。


 昔のエスカレーターの跡であろう、2本の通路を二手に別れバズー班は進んだ。暫く進むと、更にいくつかの階段に別れ地上へと続く様子だった。

「班を3つに分かれ、各チームで地上に出る。」

 バズーとキーン、ライは各々チームに分かれ、3つの出口と思われる箇所に向かった。



 ロクは細い側道を進んでいた。すると3名程のジプシャンの兵が行き止まりの通路を調べていた。ロクは暗視スコープを慌てて外した。


「誰だ!」兵の一人が銃を構えながら叫ぶ。

「て、敵襲です!すぐ入口に戻れとの命令です!」と嘯くロク。

「な、なんだと!?」

「い、急いで下さい・・・」


 ロクは再び、敵兵の前で臭い芝居をやってのけ、その場で傷口を押さえるふりをし、座り込んでしまった。


「よし、ここは駄目だ。通れない・・・戻るぞ!」

 兵らはロクを抱き起こして引き返そうとした。

「大した傷ではありません。自分で手当てします。それよりも早く・・・」


 そうすると、兵3名は元来た通路をトンネル方向に慌てて戻っていった。ロクはそれを確認すると、再び立ち上がり自分の懐中電灯を照らし、周りを確認し始めた。

「ふう・・・ろくに確認もしないで馬鹿だねぇ・・・爆薬の臭い・・・まだ新しい。しかも手榴弾ではない・・・バズーカ規模?バズーだな?ただこの通路を塞ぐのはどうかと・・・?考えろよな~」

 ロクは崩れて塞がった細い通路を懐中電灯で照らすと、そうボヤいた。


「確かに通れないな・・・」

 するとロクは、その通路の壁に看板が貼られているのを見つける。看板には大江戸線乗り換えと書いてある。

「ここは、地下鉄の乗り換え用連絡通路?ならば反対側にも・・・」


 ロクは来た道を戻ると、再びトンネル内に戻り、反対側の壁を見渡し始めた。するとある壁に不自然な所を見つける。ロクは、そこを拳の甲の部分で叩き始めた。そしてコンクリートの音と違うのを感じた。

「やはり、ここか・・・P4が敵の侵入を防ぐ為に、埋め込んだか?」


 ロクは、胸の手榴弾を外すと、その壁の下に置きその場を離れた。すると拳銃を1丁抜くと、その手榴弾を狙撃した。爆発する手榴弾。爆風で砂埃が舞うが、やがて視界が開けてきた。するとその場所に、反対側と同じように狭い通路が出来ていた。

「やっぱり・・・確かに普通じゃ分からないな。」


 ロクは再びバイクに跨り、その通路に突入した。狭い通路はすぐ階段になり、ロクはその階段をバイクごと下り始めた。 すると道はまたも行き止まりになっている。ロクはバイクから降りると、正面の壁を叩き始めた。

「ここもか・・・?」


 ロクは最後の手榴弾を胸から外すと、再び手榴弾を狙撃する。大きな爆音とともに埃が舞い、やがて大きい通路へと繋がった。ロクは歩いてそちら側の通路に顔を出してみる。そこには大小合わせて10名くらいの新しい足跡が目立っていた。大きい物だと30センチを越える足跡まであった。


「このでかいのはバズー・・・やはりさっきの道と繋がっている。それに、バズー班は全員ここを通過している。全員無事だな?良かった・・・」


 足跡は再び、暗いトンネル内に続いていた。

「さーて、行きますか・・・?」

 ロクはバイクに跨がると、再び暗いトンネルを走り出した。



 その頃キキとホーリーは、夜の廃墟外を警戒しながら徒歩で前進していた。

「もう!ここまで来るとまともな道もないのね?」汗を拭うキキ。

「急ぐよ!もうすぐ夜明けよ!」

「ロク、うまく行ってるかしら?」

「さあね?それよりダブルにキャンプに帰れって言われなかったの?」

「言いたくても言えないわよ。こんな戦況じゃね。」

「そうね。確かに・・・」

「シックスって、元々高層ビル街だったんでしょ?この辺より道が酷いんじゃない?」

「人じゃ無理かもよ。やっぱり地下を選ぶんだったな?」

「何よ今更!ナビは任せろって言ってたのあんたよ!」呆れるキキ。

「こうも道がないとは思わなかったわ・・・でも隠れる場所はあるのは助かるけど・・・」

 廃墟街のP4は、夜が明けようとしていた。



 バズー班は、各々地上に出ていた。志村口以来の外の空気だった。小隊は各々周りを警戒しながら外の様子を伺う。

「ライ?そっちはどうだ?」バズーが無線を使う。

『誰もいない!そっちもか?』

「ああ・・・キーンは?」

『こっちもだ。あまりにも静かだ・・・』キーンが答えた。

「よし・・・集結してこれより全員でシックスに向かう!」

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