0-4
「いい加減に……しやがれぇぇぇぇぇっ!!」
「なひょぁあああああああ!!??」
「フひょぐゥッッ!?」
ステレート子爵領の入り口まで来た俺は、今にも殴りかかろうとしていた両親を三人の先輩から貰ったバフ込みの拳で殴り飛ばした。
両親は、人ならざる悲鳴を上げながら見事に吹っ飛んだ。 上方に。
「うわぁ、見事に吹っ飛んだね」
「しかも悲鳴が人じゃない何かだったような……」
「夢に出て来そうだなぁ……」
後から駆け付けたリーナ先輩達も両親が吹っ飛ぶ様子を見て呆れていた。
暫くして地面に落下したと同時に、俺は両親に近づく。
「く、クレス!!」
「あんたら、馬鹿か!? ミレイ姉さんが婚約破棄されたからって、カチコミとかありえねぇだろう!!」
「し、しかし……、私達は……」
「しかしもおかしもねぇっ!! 大体、この国はおかしな理由での婚約破棄は違法なんだから国王様に報告すれば動いてくれるだろうが!!」
「うぐぅっ!!」
説教している俺に言い訳を考えてたんだろうけど、そんな事は許さない。
既にアリスやセイル兄さんが王家に報告をしているんだし、国もこうして動いてるんだから、いい加減に大人しくして欲しいんだよな。
「大体、あんたらは親バカすぎて、領民の事考えてないだろう! 今回も勝手にカチコミを掛けて国に迷惑を掛けやがって!」
「う、ぐぅ……」
自分でも分かるくらいにキレながら続けている俺の説教にへこんで何も言えない状況だ。
とはいえ、これ以上この場所に迷惑を掛けるわけにはいかない。
「クレス、あとは私達に任せてくれ」
そこに師団長と一緒に駆けつけて来た王太子レオンがこっちに来て声を掛けて来た。
多分、ステレート子爵領の調査と両親の処分を同時にするために来たんだろう。
「末妹のアリスやセイルから聞いて、こっちもすぐに駆け付けたんだが、まさかセイルや君の両親がこんな愚行を犯すとは予想しなかったよ」
「ホント、うちの親がすみません」
「ああ、気にしないでくれ。 とにかく、この両親は師団長が連れて行くよ。 王城の小部屋に閉じ込めて、正式な処分を行おう」
「分かりました」
「「クレスー、助けてーーっ!!」」
師団長が連れて来た魔術師たちに両親はドナドナされていく。
自業自得なんだし、助けを求める声が聞こえようが無視することにした。
「そうそう。 エルディオン子爵領の領主の件だけど、クレスにやってもらおうと思ってる。 もちろん、多数のサポートもつけるさ」
「仕方ないですね。 幸い領民は自分達を支持してますし」
連行される両親を見届けた後、王太子レオンから俺がエルディオン子爵領の領主になるように伝えられた。
領民は、俺達を支持してくれているから、多分すんなり認めてくれると思う。
とはいえ、サポートはしっかり付けるそうだが。
「さて、今日の胃薬はどれだけ飲まないといけないやら……」
胃の部分を押さえ、リーナ先輩がステレート子爵たちを逮捕している様子を見ながら、俺はそう呟いたのだった。
これでプロローグ部分は終わりです。
短編はこの部分までの描写でした。
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