表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生貴族少年の領主奮闘記  作者: イズミント
プロローグ~転生しても両親に苦労してました~
3/17

0-3

 うちのバカ両親が、姉に婚約破棄を突きつけたステレート子爵領に突撃(カチコミ)を仕掛けに行ったと聞いた俺は、家や領民の事をセイル兄さんやミレイ姉さんとアリスに任せて、ステレート子爵領に向かう。

 その際には、転生特典の一つの【ブーストダッシュ】を利用する。


 こういった時でしか、転生特典を利用する場面はないからな。

 いわゆる宝の持ち腐れというものである。

 この能力は、ブースト移動する際の身体への負荷という制約を無視して高速で走れると言う身体的なチート能力である。


 といっても、俺は転移(テレポート)が使えないので、これで上手く時短を図るつもりである。


「あー、師団長。 こちら、クレス・エルディオンです」


 ある程度進んだ所で、俺はサテライト王国の王宮魔術師の師団長に連絡をする。


『おおっ、クレス君か。 君の両親の突撃(カチコミ)の件は国王様から聞いた。 今からステレート子爵領に転移する』


「頼みます。 俺が無力化した後で魔術師団長の魔法で連行して貰わなければならないので」


『ついでに、君の方にも三人の魔術師を向かわせる。 君の魔法学校時代の先輩だから信用できるはずだ』


「あ、あの人たちですね。 分かりました。 父が通称【筋肉モード】になっていたら連絡を」


『了解。 そうなったら連絡するよ』


 師団長との報告を最低限にして連絡を終えた。

 俺の方にも、あの先輩達がやって来るんだな。

 学生時代にも、よく俺を気に掛けてくれてた三人の女子生徒。

 三人とも婚約者がいるし、俺もアリスと付き合っているから、お互い婚約者についての話もしていたっけなぁ。


「やっほー、クレス君」


「久しぶりだね。 元気ってわけじゃなさそうだけど」


「今回もあなたの両親絡みだよね。 大変よね」


「ええ、うちの両親がすみません……」


 そんな事を思い出していたら、件の三人の先輩が声を掛けて来た。

 リーナ・エリザベート先輩とユイ・ファティマ先輩とエマ・エルメス先輩だ。

 この三人も魔術師としての実力はかなり高く、チートなしでは勝ち目がないほどに強いのだ。


「しかし、クレス君の両親はとんだ親バカなんだねぇ。 ミレイ先輩の婚約破棄事件を起こしたステレート子爵家に突撃(カチコミ)するとか」


「まぁ、それ以前にも買い占めやら、法外な税負担があったって聞いてるしね」


「あはは……」


「その度にあなたは、両親の尻ぬぐいで苦労してるみたいだしね。 今年で胃薬、どれだけ服用したの?」


「今日までで5瓶ですね。 それでも少ない方です」


 合流した先輩達からも今の俺を気遣ってくれたりしている。

 ただ、胃薬の服用量に関しては、三人とも苦笑していたみたいだが。

 俺自身も胃薬の飲みすぎはよくないって分かってるんだけどね……。


「まぁ、キミの苦労は国王陛下にも伝わってるから、今回の件が終わったらキミを領主にするつもりでいるみたい」


「と言っても、私達や他のみんなのサポート付きでね」


「アリス王女もいるから、あの両親がいなくなっても何とかなると思う」


「そうですね。 いい加減に領民のために何とかしないとって思いましたし」


 どうも今回の件でどうにもならないと国王陛下も思ったのだろう。

 リーナ先輩から、この件が解決したら俺をエルディオン領の領主にすると言われた。

 だが、リーナ先輩やユイ先輩、エマ先輩や他の人のサポートを受けてだが。


 俺自身も領民の事を何とかしないとって思ってたし、丁度いいかも知れない。


『こちら師団長だ。 ステレート子爵家の前に到着したが、クレス君の懸念していた事態が起きた』


「どうしたんです?」


 そんな中で、師団長から念話による連絡が入った。

 リーナ先輩達も真剣に師団長の話を聞く。


『どうも君の父親が、筋肉モリモリのマッチョマンの変態になっているようだ』


「「「はい?」」」


 師団長からの報告を聞いた三人の先輩は、目を見開いて固まったそうだが俺は察しがついた。


「【筋肉モード】になったんですね! すぐに向かいます!!」


 つまり、父親が【筋肉モード】になってステレート子爵家に突撃しそうだと言う事だ。


「さ、流石にそうなったら、拳でもやれるクレス君に任せるしかないよ」


「やはり筋肉……、筋肉は全て解決……」


「リーナさんが壊れた!?」


 あ、報告の意味を知ったリーナ先輩が壊れた。

 そういや、魔法学校時代のある行事に俺が出る事を知った時に、どうやって知ったのか両親が殴り込んできた事があったな。

 その際に問答無用で襲ってくる両親をリーナ先輩が魔法を放ったんだけど、筋肉に無効化されたんだったなぁ。

 結局俺が拳で吹き飛ばした事で、何とか終わったんだが、リーナ先輩はそれがトラウマになったみたいだ。


「クレス君、見えたよ! まだ間に合いそう!!」


 暫くするとエマ先輩が、両親が丁度ステレート子爵領に突撃しようとしていた様子が見えた事を教えてくれた。

 辛うじて間に合いそうだ。


「念のため、バフ魔法を掛けておくね!」


 ユイ先輩からは、念のためと言う事で俺の拳にバフ魔法を掛けてくれた。

 これなら確実に両親を吹き飛ばす事が出来そうだ。


 いい加減にケリはつけておかないとな。



よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。


作者のモチベーションの維持に繋がります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ