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転生貴族少年の領主奮闘記  作者: イズミント
プロローグ~転生しても両親に苦労してました~
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プロローグの章の2話目です。

「確か、この国は病気による死期を悟った場合や事故死、魔物などに殺された場合を除いての婚約破棄は禁止じゃなかったか?」


「うん、その通りだよ。 もし、そう言うのが出たらすぐに父……、国王に伝えるようにって」


 ミレイ姉さんの婚約破棄を聞いた俺は、ここ【サテライト王国】での婚約破棄に関する法律を思い出していた。

 病気による死期を悟った際に、または事故死ならびに魔物などに殺された場合を除くあらゆる婚約破棄は禁止となっている。

 アリスの言うように、もし法を守らずに婚約破棄を突きつけられたらすぐに国王に報告するようにしている。

 この法案も厳しいらしく、法を犯せば家の取り壊しや無期限の強制労働が待っている。


 言い忘れていたが、アリスはサテライト王国の第五王女で、継承権はないが王族なのだ。

 あるきっかけで彼女と出会い、そのまま仲良くなって婚約者同士になったのだが、それよりもさらに気になった事をフレアさんに聞くことにした。


「で、この事件は父さんと母さんには?」


「伝えておりません。 ですが、バレるのは時間の問題かと……」


「だよなぁ……」


 フレアさん曰く、まだ両親には伝わってないが、バレるのは時間の問題らしい。

 それを聞いた俺は、天を仰ぐ。


「今回、私が父である国王に伝えたからね。 すぐに動いてくれるはずだよ」


「何から何までごめん、アリス」


「いいのいいの。 クレス君の苦労は理解してるから。 胃薬が手放せないのもね」


「あはは……」


 こういう時にもアリスが動いてくれてて本当に助かる。

 というのも、今の両親は前世とは真逆の意味で苦労を強いられているからだ。

 それは、兄と姉も一緒なのだが、とにかく度を越えた溺愛が悪い意味で領民に伝わってしまっている。

 子供の為に法外な税の取り立てを行うほか、ぬいぐるみなどの買い占めも平気でやっていた。


 俺やミレイ姉さん、セイル兄さんはその尻ぬぐいをする羽目になり、その為に王都に来た際にアリスと出会ったのだ。

 

「あの時、欲しかったぬいぐるみが買い占められたって聞いてショックだったけど、クレス君がぬいぐるみを分けてくれた事がきっかけで、あなたの苦労を知ったし、支えたいなって思ったんだよ」


「仲良くなったのもそこからなんだよな」


 王都で売られていたぬいぐるみは人気キャラクターのぬいぐるみで、アリスも欲しかったそうだが、うちの両親が買い占めた事で買えなかったのだ。

 それを俺やメイドさんが総力を尽くして、店に返品ならびに予約予定だった人たちにぬいぐるみをあげるようにしたのだ。

 当時の俺が、アリスにぬいぐるみをあげた際には国王陛下もおり、苦労を労われた事もあったなぁ。


 出会いはあまり良くなかったが、アリスがいい子でよかったと思う。


「ともかくミレイ姉さんの元へ行かないと。 部屋にいるんだっけ?」


「はい。 セイル様もそこにいらっしゃいます」


「分かった。 アリスも行こう」


「うん」


 ともかく俺もミレイ姉さんをフォローしないといけない。

 フレアさんとアリスと一緒に、姉の部屋へと向かう事になった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「セイル兄さん」


「お、起きたか、クレス」


 姉の部屋のドアをノックをしてから、部屋に入ると複数のメイドさんとセイル兄さんが待っていた。


「姉さん……」


「クレスも心配かけてごめんね。 まさか、真実の愛を見つけたとかで婚約を破棄されるなんて思わなくて……」


「前までは仲がよかったんだがな……」


 涙の跡が残ったままのミレイ姉さんも俺に気付き、心配かけた事に対しての謝罪をしてきた。

 被害者は姉なんだから、気にしてはいけないんだけど。

 どうも、向こう側が真実の愛を見つけたとかで、有無を言わさずに婚約破棄をされたらしい。

 前までは仲が良かったそうだが、今になって急にされるのは流石に不快だし、今回は間違いなく法を犯している。


「アリスが国王陛下に報告をしたから、すぐに動いてくれるよ」


「そうか。 今回の婚約破棄は間違いなく法律を犯してるからな。 向こうは重い罪に問われるな」


「セイル様もご友人の王太子殿下に報告をしたそうです」


「レオン兄様にですか?」


 俺は、アリスが国王陛下に報告をした事をセイル兄さんに告げると、兄専属メイドのルミナさんから兄も友人のレオン王太子殿下に報告をしたそうだ。

 アリスにとっては長兄で、第一王子なので有力な後継者候補でもある。

 なお、サテライト王国の王家は、第二王子や第二王女までが継承権を持つ。


 とにかく、お互いに影響力のある二人に報告をしたなら、対処もしっかり行われるだろう。

 そう思っていたんだが……。


「みなさん、大変です!!」


 突如、ミレイ姉さんの部屋にメイド長と執事さんが息を荒げて入って来た。


「どうしたんだ? そんなに慌てて」


 セイル兄さんが、二人を宥めながら何があったのか尋ねる。

 何だろう、嫌な予感がするなぁ……。


「旦那様と奥様が、我々の制止を振り切ってステレート子爵領に突撃(カチコミ)を仕掛けに行きました!!!」


「「「な、何だってーーーーっ!?」」」


 予感的中。

 何てことをしてくれるんだ、あのバカ両親は……っ!!


 胃薬、今日は何錠飲めばいいんだろうか……。



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