表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイムズ・ガーディアン  作者: 久間 唯
9/15

モンタナの村


惑星ルドラ・・その中央部付近にある村・・・モンタナに向かって歩いているロディ、生憎の雨であるが、ルモントの街からモンタナの町まで半日足らずで有るため、ゲート移動せずに歩く事に決めたのだった。


 良く降るな〜、腕の傷が痛む。


 大丈夫ですか?一年前にシンシアに付けられた傷が痛むのですか?


 あぁ、だが大丈夫だ、傷は完治している、ただ傷口が疼くだけだ。

 

 そうですか・・・


ロディは雨の中、ルーティアと会話していた、シンシアは、ロディが一年前に逮捕した殺人犯で、ある街で、連続殺人事件を起こし、指名手配の殺人犯であった、ロディが逮捕する時に激しく抵抗し、持っていた銃が誤発砲し、ロディの右腕に当たったのである、ルーティアはその時、即座に治癒の魔法を掛けたのであるが、弾丸が腕に減り込み、摘出手術をしなければならなかった、ロディはその時に一週間程星団中央病院に入院したのである。



 あの時の入院は嫌だったな〜、飯の不味いこと!なんで病院の飯はあんなに味気ないのかな。


 ま〜病院食なんてどこも同じじゃないです?身体に合わせての献立ですからね。


 ま〜、分かるけどよ。



ロディが病院、入院したのはその時が2回目であった

初めて入院を経験したのはロディが10歳の時である。



 病院は懲り懲りだよ、健康がいいな。


 ま〜、より安全に自分の身を守りながら任務を頑張りましょうね、ロディ。


 そうだな。


ロディがルモントの街を出てから、もうすぐ4時間余り、朝から降り続いた雨も小降りになっていた。


 あと少しでモンタナか・・・来るのは久しぶりだな。


 2年ぶり?でしょうか。


 そうか・・・2年か。


モンタナ村にはロディの親戚の人が暮らしていた、その親戚の叔父が亡くなった時に、ロディがモンタナ村に訪れていたのだった。

 

 モンタナか・・・久しぶりだな、シェル達は元気かな。


 

ロディがモンタナに着いたのは昼過ぎであった、朝から降っていた雨は完全に上がっていて今は青空が見えていた。


モンタナの町の入口、入り口には木の枠で門があり、そこにモンタナと書かれていた。


 さて・・・相変わらず長閑な町だな、ロディは周囲を見渡した。


モンタナの町・・・人口僅か約2500人足らずの惑星ルドラで一番小さな町であった、特徴は人間と亜人が共存し、亜人は人狼族オオカミである、人狼族は見た目は人間に近いのだが、頭に生えた黒い耳、そしてお尻に尻尾、鼻の先が赤いのが人狼族の特徴であった。

モンタナは農業と酪農の町、牛や豚等の家畜を飼っており、農業製品と、乳製品、豚肉等を販売し、人々は生活の糧にしていた、牛や豚等の数は人口よりも遥かに多く生息していた。


 ロディは辺りを見渡し、町で一番大きい家にむかっていた、村長の家である。



ロディが村長の家に向かう途中、後ろから声を掛けられた。

 「あれ?ひょっとして、ロディ兄ちゃん?」

ロディは声がしたほうを振り向く。


そこには年の頃は12,3歳位の亜人(人狼族)の子供が立っていた。


 「お〜、シェルじゃないか!久しぶりだな。」


シェルと呼ばれた少年はロディを見て尻尾を振っていた、手には籠をぶら下げ、中には畑で採れた野菜が一杯に入っていた。


 「畑の手伝いか?」


 「そうだよ!早くしないとイーラ(イノシシ)に食い荒らされちゃうから。」


 「大変だな、頑張れよ!」


 「うん、兄ちゃんはいつまでこの村にいるの?」


 「2日ぐらいかな?村長に村の話を聞いて、後はラルクの所に寄って、周りを見て回るつもりだ。」


 「そっか・・・兄ちゃんの仕事大変だもんね。」

シェルはロディがガーディアンで有ることを知っている、シェルだけじゃなく、この村人全員知っているのであった。


 「じゃ、兄ちゃん後でね。」


 「おう、畑仕事頑張れよ!」

そう言うとロディは再び村長の家に向かっていった。


村長の家は村の一番奥、小高い丘の上にある、家に近づくと外で洗濯物を干している村長夫人の姿が見えた、夫人はロディに気づき手を止め、家の中に入っていった、少しすると玄関の扉が開き、中から村長が出てきた。


 「久しぶりじゃな、ロディ。」そう静かに話した村長。


モンタナ村村長、ゲント、亜人オオカミであった、このモンタナ村は元は亜人の村で有ったが、先代の村長が人間との友好を結び付けたため、それ以降人間もこの村に移住するようになったのである。


 「村長も変わらず元気そうだな。」


 「ま〜中に入ってくれ。」そう村長が入室を促すと、ロディは家の中に入っていった、居間は、大きなテーブル、椅子が4つ、石の暖炉があり、少し暖かい、壁に本棚があり、沢山の本が並べられていた。


ロディが椅子に腰を掛けると、夫人が紅茶を運んできた、ロディはペコリと会釈を返した。


村長はロディの正面に腰掛けていた。


 「それで、今回はどうしてこの村に?」村長が素朴な疑問を聞いてきた。


 「今回はこの惑星全体、全街の調査をしている途中で、犯罪やそれに近い事案がありそうか、どうかを見て回っている最中なんだ、巡回!みたいなもんだな。」 

ロディは紅茶を一口啜り、旅をしている事を話した。


 「そうか・・・この村は相変わらずのんびり平和じゃな、皆んな仲がいい。」

村長がホッペタの長い髭を触りながら、そう答えた。


 「何か異変やおかしな事があれば直ぐにガーディアンに連絡してほしい、俺か真っ先に駆けつけるから。」

ロディが身を乗り出して村長に頼んだ。


 「分かっておる、この村はお主の育った村じゃものな!」 


ロディは3歳〜10歳迄この村で生活をしていた、ロディの親は父は人狼族であるが、母親は人間、ロディはハーフなのであった、ロディが3歳の時に親が離婚して、人狼族の血を濃く受け継いたロディは、母親には引き取って貰えず、父親と二人でこのモンタナ村に来たのであった、人間には人狼族の耳と尻尾などがやはり気持ち悪るがられたのである、母親もそんなロディを引き取る気は更々ないようで、どこかの町で一人で暮らしているらしかった。


 「ま〜過去は色々あるよ、今が充実しているから俺は大丈夫。」


ロディは紅茶と茶菓子を食べて、外を眺めていた。


 「今回もラルクの所に寄っていくのか?」

 

村長がそんなロディの姿を見ながら訊ねた。


 「あ〜、そのつもりだ、それと親父の墓参りもしなきゃ。」


 「そうか・・・エディも天国で喜んでいるじゃろうな、息子がこんな立派なガーディアンになったんじゃから。」


そうして、村長に挨拶を交わし、ロディは再び村の中に戻っていた。


 ロディの育った村は相変わらず温かい人々で一杯ですね。


今まで、口を開かずロディを見ていたルーティアが話しかけてきた。


 ま〜な、村長が良い人だから、自然と皆んな笑顔と仲良しになっていくんだろうな。


 良い事です、平和が一番です。


 だな。


そうしてロディはラルクの家に向かっていた、ラルクの家は村の西側、後ろに牛を飼う牛舎が沢山あった、ラルクは酪農家であった。  


ロディはラルクの家の玄関チャイムを鳴らした。


 「は〜い。」中から女の子の声が聞こえた。

玄関を開けた少女。


「どちら様ですか?父も母も牛舎の方に・・・」

そう言いながら、ゆっくり玄関を開けた少女はロディの顔を見ると、笑顔でロディに抱きついてきた。


「ロディ兄ちゃんだ、兄ちゃん。」


少女は抱きつきながらロディの名前を呼んだ。


 「久しぶりだな、アンナ、大きくなったな。」

アンナと呼ばれた少女、年は12歳、人狼族である。人狼族は子供の内は一年で3歳年を取る、15歳で成人(大人)となっていた、つまり、約5年で成人を迎えるのである、それ以降は毎年一歳ずつであった。


 「父も母も牛舎だよ!呼んでくるね。」

アンナがにこやかに微笑んだ。


 「いや、いい、俺が向かうよ。」


ロディは家の裏の牛舎に向かった、そこに牛の世話をしているラルクとその妻カイの姿があった、ラルクとカイ、共に人狼族であり、年は46歳、働き盛りである、家族は娘、アンナ一人である。


 「パパ〜、お客さんだよ〜。」アンナが大声で叫ぶ。


 「お〜アンナか、お客とは?」ラルクはアンナの後ろにいるロディを見付けた。


 「お〜ロディ、ロディじゃないか、久しぶりだな、2年ぶりか?」ラルクは額の汗をタオルで拭いながらロディに近づいて来た。

                        

 「はい、お久しぶりです、お二人共お元気そうで安心しました。」

ロディはラルクと握手を交わしつつ、ラルクとカイの元気な姿を見て安心していた、ラルク夫妻はロディの父親エディの2つ上の兄弟で、ロディかこの村に来た時に大変お世話になった方である。


 「暫くゆっくり出来るのか?」ラルクがロディの立派になった姿を見て聞いてきた。


 「2日ぐらいかな?」ロディは抱きついて来るアンナの頭を撫でながら答えた。

 「そうか・・・ま、ゆっくりしていってくれ。」ラルクは仕事一段落付いたらしく家に戻っていく。


 「今夜は家で泊まるといい、娘も懐いているし、積もる話も有るだろう。」ラルクは妻に泊まるように合図、支度してくれと伝えたあと牛舎の明かりを消して回っていた。


 「何から何まですいません。」ロディは頭を下げて感謝した。


 「な〜に、気にするな。親父さんには世話になったからな。」ラルクは、にこやかに返した。


そしてロディはラルク一家に一晩宿泊する事になった。  


 この町も、本当に平和になったもんだ!ロディはラルクの家に入り、窓から、外の様子を眺めながらそう考えていた。


       つづく。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ