ゲートの力
広大な宇宙、グランマートル大星団の第2惑星ルドラ、その首都ルクラールを目指すロディは、今は遥か西の街、アモンにいた。
アモンは惑星ルドラ、西部地区一番の交易都市で、商業が盛んな街である。
人口8万人、人間と、亜人と呼ばれる動物の様な見た目をしている生物が共存して生活をしていた。
アモンの街、東側の商店街、その一角の食堂で、アシラモンランチをフォークで付いて食べている青年がいた。
クソ〜、昨日は久しぶにドン・フラミンゴの手がかりがあると思ったんだが、下っ端過ぎたか。
一人でブツブツ呟く少年、独り言では無く、ちゃんと聞いているモノは存在していた。
も〜、ロディ、過ぎた事を言ってても仕方ないですよ、今はフランコ一味も凶悪犯罪者集団ですが、他にもまだまだ、犯罪者はいるんですから。
解っているよ、ルーティア。
ロディは腰の剣に手を掛けて見えない相手と念話で会話をしていた。
アシラモンランチはアシラと呼ばれる魚介、魚であり、白身で味はタンパクなのが特徴である。そこにクリームチーズと彩り豊かな野菜を加えた、アモンの街には良くありふれた家庭料理の一つである。
最後の魚の肉片をフォークで口に運び、葡萄酒で流し込む。
ふ〜、しかし流石に奴ら(犯罪者)の行動も慎重になってきたな。なかなか尻尾を捕まえにくくなってきた。
仕方ありませんよ、各惑星にロディのようなガーディアンが常駐している上に、街にも自衛団みたいな組織もありますからね、犯罪者も馬鹿ではないですから。
そういう事だな。 ロディは剣を握り席を立った。
食堂のカウンターに向かい、接客の女性店員に代金を支払うとロディは食堂を出た。
眩しい日差しが差し込んでいた。中央星の眩しさと温かさがロディは好きだった。
昨日は曇っていたのに今日は温かいな。
そうですね、予報では明後日は雨みたいですよ。
雨か〜、俺は雨は嫌いなんだがな。
クスッ、そうですね。ルーティアは微笑み?相槌を返していた。
さてと、この街には、特に無いか・・・今の所、犯罪者共の情報も入って来ないしな。
ですね、ゲートには何も反応なしです。
ロディは手首に付けている大型のリストバンドを見ていた。
ゲートカマイザーと呼ばれる装置で、真ん中に卓球の玉ぐらいの大きさの黒い水晶がはめ込まれ、その脇に青や赤など、合計6つのボタンが付いていた。
ロディがガーディアンになるときに本部から貰った装備品の一つである。
犯罪者や凶悪集団などが近くに潜伏していたら、水晶が赤く光る仕組みになっている、どんな原理かはロディは知らされてはいなかった、秘密事項だそうだ。
次の街は・・ロディはゲートカマイザーにある黄色いボタンを押した。
目の前にホログラムが現れ、惑星ルドラの地図が表示されていた。
首都ルクラールは赤く、街は青、村等は黒く表示され、表示下に名前も書いてあった。
今が・・・西のアモンか、一番近いのが、ルルドの町だな、いや、村か。
ロディ、どうします?
ま〜行くしかないだろ、ここにいても仕方ない、アモンは今の所平和だしな。ちょっとした、いざこざ位いなら自警団で対処出来る。
ですね、わかりました、ゲートを開きますか?
アモンからルルドの町まで約30キロ、半日ぐらいでは歩いても行ける場所にあった。
ルーティア、身体は大丈夫なのか?
はい、大丈夫です、先程の食堂でエナジーチャージして魔力、気力は満タンですから。
ルーティアの魂が入っている剣の中央の水晶に、先程食堂で魔物と呼ばれる異形の生物から入手した輝石と呼ばれる宝石をルーティアに吸収させていた、輝石は一般には魔物しか持っておらず、その魔物の心臓部みたいな部分にあたる。輝石は生命力の塊のような宝石であった。
魔物は何処にでも居るわけではなく、大星団の惑星では、砂の惑星インティーと闇の惑星カッシュにしか存在はしていない。
しかし、中には犯罪者が自分達の利益の為に、魔物を飼い慣らしたり、乱獲したりして、他の星に転売したりしている犯罪者も多数確認されている。
ロディが腰に下げた袋にはまだ大小様々な輝石が入っていた、別の惑星で転売バイヤーの魔物、10数体を倒した時に入手したものである。
よし、じゃ〜飛ぶか!
はい! ゲートオープン。
ルーティアがゲートカマイザーに魔力を注ぐと、ロディの前に黒い空間が現れた。
ロディはゲートの中に入っていった。
ゲートには様々な事が出来る。
場所を瞬時に移動したり、犯罪者を一時的に捕縛して、確保したり、この前のような星団監獄とも繋がっていた。ロディが長旅の時には、ゲートの中で仮眠を取ることなどもできた、ゲートは、ロディ達ガーディアンには無くてはならないものであった、その他にも多数の機能がボタンにより分けられていた。
そして・・・数分後、暗闇のゲートが開き、ロディの目の前に緑の景色が現れた。
さて、付いたかな?
はい、目的地ルルドの入口ですね。
ロディはゲートを完全に閉じて、目の前に見えるルルドの町に向かって歩いていた。
つづく。