フォルス教団
港町ニース、ロディは港町を歩いていた、人口約150万人、港町ながら幾多の街から人の流れが絶えないこの都市は、行き交う人々の活気で溢れていた。
さすが港町・・・活気があるな。
そうですね、見たことない魚や野菜、肉等を売ってる露店があちらこちらに。
ん〜前に噂で聞いたニースに異変が起こっている、と言うのはやはり噂たけだったのか?いかにも平和そのものだ。
そうですね。
ロディとルーティアは各露店を眺めつつ、街の中心部に向かい歩いていく。
街の中心部、ラングラール広場に到着したロディ達、ラングール広場を中心に左右に大きい通路が通っていた、貴族街、貧民街、平民、商人区各と通路に寄って仕切りが設けられていた。
ラングール広場の中心に大きな噴水があり、季節ごとの祭りなどもたまに行っていた。
ラングールとは、このニースの初代市長、ハイク、ラングール氏から名付けられた、噴水脇には彼の銅像まで建てられていた。
やはり、大きい街だな。
ロディは噴水脇の銅像を見上げながら、呟いた。
ニースは首都に次ぐ規模の大きさなので当然ですね、貧富の差は激しい見たいですけど・・・
格差社会、貧困、不正悪事はどこの街にも存在する、それは人が、規模が大きくなればなるほど広がりも大きい、それはニースとて例外では無かった。
さて、まずは宿を確保して、それから街の調査だな。
そうですね。
ロディは言うと、平民街にある宿屋に向かって歩いていた、宿屋「憩いの深夜亭」。
ロディは宿屋に入るやいなや、他の宿泊客の注目を浴びていた、4〜5人の客が一斉にロディの方を向いていた。
ん?何だ・・・ロディはその視線に気づきながらもカウンターに向かっていった。
「あら、いらっしゃいませ、憩いの深夜亭に、ようこそ、お食事ですか?ご宿泊ですか?」
カウンターの奥から20代後半と思われる女店主が出てきた、店主はロディの姿を見なから尋ねた。
「旅の方ですか?今の御時世に旅とは珍しいですね、この街には長く居ないほうがいいですよ。」
??? ロディは言っている意味が分からなかった。
「すいませんが、宿泊用の部屋を一つ借りたいんですが・・・あと、あまり長く居ないほうが良いとは、どういうことですか?」ロディは店主に質問した。
「お客様知らないんですか?今のニースは不穏なんです、昼間はいつも通りの賑やかな街なんですが、夜は一変して不気味に変わります、一度ご自身で見て、確認するのが早いですね、あまりおすすめ出来ませんが・・・」
その店主とロディの会話を聞いていた他の客が、「兄ちゃん・・・最近のニースは夜は怖いよ〜、滅多に夜は人は外には出歩かないからな。兄ちゃんも気をつけなよ。」
「忠告ありがとうございます。」ロディは客に答えた。
「あらあら・・お部屋だったね、何泊されますか?」女店主が尋ねた。
ルーティア、少しこの街を調べたい・・・3泊ぐらいでいいか?
3泊・・・ま〜無難じゃないかな?
ロディはルーティアに確認した。
「3泊でお願いします、やりたい事が有りますので・・・」ロディは女店主に答えた。
「やりたい事ね〜、わかりました。3泊ね!はい、これは部屋の鍵。」女店主は帳簿と鍵をロディに渡した。
ロディは名前を記帳して、鍵を受け取り部屋に向かった。
一人部屋、風呂、トイレ別、十分過ぎる程の部屋であった、ベッドがあり、なりより陽射しが良く入る大きい窓が付いていた。
ロディは窓を開けた。
うわ〜視界良好だな、景色がいい、街並みや遠くに山々も一望出来た。
街の景色、景観を眺めているロディ、ふとある建物に目が止まった。
ん?あれはなんだ?
どれですか?
ルーティアはロディの腰元に下げられているので、見ることが出来ない。
あ〜わるい、今、見せる。
言うとロディはルーティアを窓際に出した。
あの西の方にある紫の建物・・まるで教会みたいだな、同じのが他にも東にもある、今は見えないが、反対側にもあるのか?
ん〜確かに形は教会見たいですが・・・
ロディとルーティアは街の中にある明らかに景観に相応しくない建物を眺めた、それは建物自体が全体的に紫色で三角の屋根、赤と黄色の旗を靡かせていた、大きさは他の建物の倍はあった。
教会は、基本的には白色のはず・・・あのような不気味な色使いはしません、何かの施設なのでしょうか?ルーティアは建物を見た感想を言った。
さ〜な、わからない、取り敢えず店主に話を聞いてみるか、それからだ。
そうですね。
ロディはそう言うと、ルーティアと共に外に観光に出る支度をした。
ロディは一階カウンターまで降りてきた、カウンターでは店主が客の対応をしていた。
「あの〜、ちょっと聞きたいんだけど・・・」
ロディが店主に声をかけた。
「はい、なんでしょう。」店主が陽気な笑顏で返した。
「部屋の窓からこの街を眺めたら、ちょっと変わった紫色の建物があるんだが・・・あれは何だ?他の街には無い建物だが。」ロディは店主に聞いた。
「あ〜、あれはフォルス教団の建物・・・教会だよ。」店主は答えた。
「フォルス教団?」ロディは聞き直した。
「なんだ、何も知らないのかい?今から2年ほど前かな?突然教団幹部連中がこの街に来て、布教をおこなったんだ、何でも全ての人々は皆・・・神ルセンティス神に魂を捧げる運命にある、と説いて周って言ったんだ、当時は誰も教団のそんな言葉に耳も貸さなかったのに、それから数ヶ月後には、信者はかなり増えていってみたいなんだよ、どうやったかは細部は分からないけどね・・・それからだよ、街の様子が、特に夜が不気味になったのは。」店主は怖いものを見るような目をしながらロディに話した。
「街に同じような建物がいくつもあるようだが。」ロディは尋ねた。
「信者が増えるたびに教会は建てられて、今や東西南北、4つの教会があるよ。」店主は答える。
「4つか、凄いな。」ロディは関心した。
「ま〜元々この街の北西に教団の総本山があったから、信者を増やす目的だったんだろうね〜、しかし、夜の不気味さは今でも慣れないよ、なんとかならないのかね〜。」店主は半ば呆れた感じで話した。
「そうですか、わかりました、ありがとうございます、観光がてら近くを見てきます。」ロディは言うと入口に向かい歩いていく。
「見るのはいいけど、変な奴らに絡まれないように気をつけてね。」店主はテーブルを拭きながらロディに忠告した。
・・・
昼過ぎのニースの街、人々の熱気で街は賑わっていた、ロディは話にあった教会に向かい歩いていた。
教会は東西南北に一つずつある、ロディは宿屋から見えた東の教会に向かっていた、教会に近づくにつれ、人も変わり、厚着?フードを被っている人が多く見られた、ロディは教会の入口近くまで到着していた、目の前まで来て、改めてその大きさにロディは魅入っていた。
デカいな、宿屋の3倍はあるぞ。
教会の入口に門番のようないで立ちで男が二人左右に立っていた、二人とも紫のローブ、フードを頭から被っていた。
なんだ、フォルス教団とやらは紫色が好きなのか?建物も、人も、全て紫だ!ロディは見たままを言う。
確かに・・・全てが紫なのは気持ち悪いですね、ですが・・・教会だから、何を崇拝しているのか、気になる所ですね。ルーティアは周囲を確認しながら答えた。
確かに・・・紫色の神様なんか、聞いたこと無いな。
ですね。ロディとルーティアは周囲を見渡していた。
教会の脇の入口が開き中から4〜5人の信者らしき人々が出てきた、人々は皆顔に十字の墨を付けられていた。
な、なんだ、これは・・・ロディは驚愕した。
続く。