ジュディス・ハン・ホーンテッド
ジュディス・ハン・ホーンテッド、そう呼ばれた彼女は肩まである黒い髪、黒い鎧を肩から腰に掛けて装着し、右腕にはムチの様な装備品を身に着けていた、黒いマント、年は24歳、155センチ、46キロ、黒い瞳をしていた。
「久しぶりたな、ジュディス。」
「ええ・・・久しぶりね、ロディ。」
え〜と・・・ロディ?この方とお知り合いなの?
ルーティアは二人の対峙する様子をみて訪ねた。
あ〜昔、ちょっとな、ルーティアと出会う少し前だな。
そうですか。
二人はお互いをみて、どこか懐かしささえも感じる雰囲気で対峙していた。
「ジュディス、どうしてこの船に?」
「あ〜ちょっとニースに用事があるんだ。」
「用事?」
「昔馴染みの輩に会いにいく、古い友人だな。」
「そうか。」
「そういうロディは何処に行くんだ?」
「俺は王都に行く途中だよ。」
「王都か、そういえば近々戴冠式があるみたいだな。」
「戴冠式?王様が変わるのか?」
「ま〜な、現王が、かなり高齢だから皇太子が継ぐらしいよ。」
「そうなんだ、ま〜戴冠式なんぞ興味ないから別に誰が王様になろうが俺達がやることは変わらないからな。」
「だな、ま〜うちらガーディアンは治安維持と犯罪者の確保だから、戴冠式云々は無縁だな。」
「ま、そういうことだ。」
「それより、久しぶりに会ったから食事でもどうだろ。」
「食事か、別に構わないが。」
「よし、じゃ〜いくか、私が誘ったたんだ、私の奢りだよ。」
「ありがとう、ごちそうになるよ。」
ロディとジュディスはそう会話すると船の食堂エリアに歩いていった。
ロディ・・・この方もガーディアンなんですか?
唐突にルーティアが聞いてきた。
あ〜、ガーディアンだ黒のガーディアン、ジュディス・ハン・ホーンテッド、かなりのやり手で、犯罪者も多数拘束搬送している。
へ〜凄いですね、ロディも頑張らないと。
へいへい、解ってますよ。
ロディとルーティアは念話で会話を繰り返していた。
船の食堂、客は、まばらでロディ達含め10名もいなかった。
時刻は既に九時を周っていた。
「流石にこの時間は空いてるな。」ジュディスが口を開く。
海が見える端の席に二人が着席すると、ウエイトレスの女性がやってきた。
「いらっしゃいませ、ご注文は何にいたしますか?」
ウエイトレスが聞いてきた。
「あ〜、え〜と、本日のおすすめコースと葡萄酒を、ロディもそれでいいか?」
ジュディスか聞いてきた。
「あ〜それでいい。」ロディは答えた。
「じゃ〜同じ物を2つお願いいたします。」ジュディスはウエイトレスに注文した。
「かしこまりました。」そう言うとウエイトレスは店の奥に入っていれば
「そういえばロディは首都に向かう途中だそうだな。」ジュディスが唐突に聞いてきた。
「ん?そうだが・・・それが何か?」
「いや、戴冠式があると話したが、今度の皇太子?次の国王に就くやつに良くない噂があるのでな。」
ジュディスは出された料理を一口、口に運びながらそう答えた。
「良くない噂?」ロディは葡萄酒を一口飲みながら訪ねた。
「なんでも裏でコソコソ軍備を拡大しているって話だ、またどこかで戦争でも始める気なのかね〜、あの皇太子は。」
「戦争か、嫌なご時世だな。」ロディは出された料理を一口食べる。
いつのご時世も戦争や、争いは絶えない、人が人を支配するこの世の中、全市民がみんな同じ考えでいることの方が不自然である、ましてや、色んな種類がいるこの惑星では、余計に不穏分子は絶えないのである。
「また、俺達の出番が増えるのか?」ロディはフォークで魚の切り身を口に含みながら答える。
「ま〜、戦争の規模にもよるでしょうけど、まだ、分からないわ、実際に起きてからじゃないと。」ジュディスは炙ったベーコンを口に運びながら答えた。
「ま〜そうだわな、実際に事が起きるまで何も出来無いのが俺等のつらいところだ。」ロディは葡萄酒を一口飲んだ。
「ま、今は何もないと・・・それでも気を付けて首都を目指してね。」
ジュディスはそう言うとロディにウインク一つし、席を立った。
ジュディスは料理を半分ぐらい残して離席した、支払いはジュディスのカードで払っていた。
「わかった、十分肝に命じておくよ。」
ロディは残りの料理と葡萄酒を喉に流し込み、同じように退席した。
ロディとルーティアは船内を見渡した、そこにはもうジュディスの姿は無かった。
ったく、相変わらず影に隠れるのが得意な奴だな、姿を晦ますのはお手の物!ってか。
ロディ、彼女の気配はありません、完璧ですね。
ルーティア、関心してる場合じゃない、ジュディスは影、闇のガーディアンたから、これぐらい朝飯前だ。
そうですか、なら仕方ないですね、じゃ〜私達も部屋に戻りましょうか。
そうするか。
ロディとルーティアは自室(客室)に向かい歩いていった。
次の街ニース、人が入れ替わる・・・どういうことだ?事件性か?誰かの仕業か・・・ニースに着いたら現状を見てみるか・・
それと首都の様子、現国王と新しく皇太子が国王か・・・色々有りそうだな。
ロディはベッドに入りながら、これから訪れる街の様子を想像しながら眠りに付いた。
ロディ・・・旅の無事を、私と私の身体を大切にしてください、また再びロディと抱き合いたいですので・・・
ルーティアはロディの寝顔を観ながら自身も眠りに付いた。
翌朝、航海は順調に進み、海も荒れることもなく穏やかに過ぎていった、ロディとルーティアは残る船旅を満喫するべき、食堂、売店、映画館などなど・・・船内の様々な施設を見て回った。
2日目の夜、ロディは一人ディナーを嗜んでいた、昨夜は正面にジュディスがいた、ジュディスはあれ以来ロディ達の前には現れなかった、もともと社交的じゃない彼女らしいとロディは思った。
ロディはディナーの海鮮物をフォークで捌き、口に入れた、主食をパンにした、ニースで栽培している小麦粉、綺麗な水から作られた、上質のパン、焼き立てだから香ばしく食欲を唆られた、ロディは最後のパンを口に入れ、葡萄酒で流し込んだ。
ふ〜食ったな、満足だよ、ロディは手拭きで手と口元を拭いて感想を呟いた。
そうですか、そりゃ〜良かったですね、ルーティアは少し不貞腐れ気味で答えた。
ルーティア、君は食べれないだろ、部屋に戻ったら魔石を上げるから勘弁してくれ。
魔石は嬉しいですが、私もロディと一緒に食事がしたいです。
ま〜、今はまだ厳しいが、いつか君を元に戻すから、そしたらまた、前みたいに一緒に食事しよう。
ん〜、絶対ですよ!約束ですからね!
もちろん、約束だよ。
ロディは剣を撫でながら、そう会話していた。
部屋に戻ったロディはルーティアに魔石を吸収させていた、濡れタオルでルーティアを拭くことも欠かさない、ルーティアは綺麗好き、毎日の手入れを怠ると機嫌が悪くなるのであった。
さて、寝るか、明日はニースだからな。
そうですね。
二人は揃ってベッドに入り眠りに付いた、ロディは愛剣のルーティアを抱えながらいつも通り寝るのであった。
翌朝、外は眩しいくらいの陽射しで、まもなくニースの港町に到着する所であった。
さて、準備するか。
ロディは下船の身支度をしていた、終わると、下船用の艦板デッキに向かった。
ニースか・・・果たして噂がどうか確かめる必要があるな。
ロディは眼の前に近づくニースの街並みを眺めながらこれからやる事を考えていた。
つづく。