謎の追跡者
港町ニース・・・宿屋に宿泊したロディは、剣をベットの脇に置き、ベットに横になり考え事をしていた。
ニースを出たら、反対側の大陸か〜、たしかルイザだったな、ルイザの港町、行くのは久しぶりた。
ロディ?どうしました?
ロディが暫く無言なので心配になり、ルーティアが話しかけてきた。
あ〜、悪い、次の目的地の事に付いて考えていた、次はルイザって言う港町だ!交易品が多くて、物流が盛んだ、前に訪ねた時は凄く活気があったからな〜、今はどう発展したのか楽しみだよ。
そうなんですか、私も楽しみです。
ロディは宿屋で夕食を食べてから明日からの旅の支度をしていた。
ロディ、船は何時ですか?
ん?11時の筈だが・・・どうかしたのか?
いいえ、昼ぐらいなら、午前中は少しニースの街を回れますね。
そうだな、屋台とか、結構美味しいお店があったはずだ、それと魔法屋に行かないとな、魔石を補給しないと。
ロディは街の一角にある商店街、その外れにある魔法屋、「ウェンディ」に入っていった。
店内は薄暗く、ランプの明かりが灯る中、温かさが滲み出る暖炉が店内の温かさをもたらしていた。
「あら、いらっしゃいませ。」
店の奥から店主と思われる女が現れた、ベレー帽を被り、肩が露出した真っ黒な衣装で、カウンターに立っていた。
「魔法石がほしいのだが・・・50個程、あるかな?」
ロディは女店主に訪ねた。
「魔法石ですか?属性は何にしますか?」
魔法石には、属性があり、火、水、風、土、闇の5種類があり、持つことにより、その魔法石に含まれた魔法を使う事が出来た、但し、魔力の無い者には使う事が出来なかった。
女店主の言葉に、ロディは「属性は何でも構わない、ただ魔剣に吸収させるために欲しいだけだから。」
「そうなの?なら、火と、水、風、これをそれぞれ分けて合計50個にするわね。」
「すまないな、有難う、助かるよ。」
ロディはそう言うと、火の魔石を15個、水を15個、風を20個、それぞれ受け取った。
「代金は1万5800ギルよ。」
女店主は、帳簿を記入しながら請求してきた。
「分かった、これで頼むよ。」
そう言うと、ロディは腕のゲートカマイザーを突き出し、支払いコードを映し出した。
「あらら・・・ガーディアンの方でしたか、お若いのに凄いですね。」
女店主は、支払いコードにバーコードを照らして、ピロン、と支払い完了の音が鳴った事を確認した。
「これからニースに行くから、助かったよ、ありがとうございます。」
ロディは女店主にお礼を言った。
「お客さま、そういえば、最近ニースの街で奇妙な事件が起きてるそうですよ、なんでも、人が入れ替わるとか、記憶が無いとか・・確か、そんな事を前に来たお客さんが話していましたよ。」
女店主はロディの顔を見ながら話した。
「ふ〜ん、人が入れ替わるね〜。」
ロディは眉唾の様に受け止めた、事件性は感じられなかったからだ。
「情報ありがとう、それと魔石も。」
ロディは女店主に挨拶をして、お店を出た。
「ありがとうございました〜。」
後ろから女店主の声が聞こえた。
ロディとルーティアは船の泊まっている港へ向かう。
ロディ・・さっきのあの人の言葉、どう思いますか?
ん? あ〜入れ替わるやつか? どうも眉唾もんだよな?現地に行けば、はっきり解るから、今は気にしても仕方ないだろ。
そうですか・・・
ルーティアは渋々納得したようだ。
じゃ〜そろそろ港に向かうか、ギリギリも不味いだろうからな、何か他に欲しい物とかあれば寄るけど・・・
いえ、大丈夫です。
そうか、なら向かうか。ロディとルーティアは船の停泊している港に歩いて向かう。
ロディは停泊している船、ルクセイルに乗船するため列に並んだ、見れば列はゆうに1000人を超えていた。
凄いな、流石大陸一番の豪華客船たな、俺の後ろにもまだ列ができてるし。
凄いですね、こんなにも多くの方が乗るんですね、確か、定員が2000人でしたっけ?
そうだな、反対側の大陸まで2日掛かるから、ちょっとした旅行だよな。
そうですね。
ロディとルーティアはとてつもなく大きい船を見上げながら、ため息を付いていた。
午後七時を迎えた、間もなく乗船が始まる、ロディが並んでいる列も進み始めていた、一人、また一人と乗船切符を受付の係員に見せて、切符を切られて船の中に乗船していった。
列が進み、ロディの番になり、ロディは係員に切符を見せて、切られて船に乗り込んだ。
長いタラップを通り、ロディは予約していた自分の個室に荷物を置き、ベットに座り考え事をしていた。
ロディ? どうしました?
ロディが難しい顔で何かを考えていたのでルーティアが聞いてきた。
ルーティア、感じないか?ロディが真剣な声で念話してきた。
ん?何がですか?ルーティアはロディの様子を伺う。
誰かに見られてる・・・いや、付けられてるな・・・ロディは周りを見ないように会話する。
え?尾行? ま〜さか、ガーディアンを尾行しようとする人なんていないでしょ?ルーティアは半信半疑だった。
いや、今のこの服なら只の旅人だ、知らないで何かしら尾行している可能性もある。
なるほど・・・それでいつから?
船に乗る少し前からだ、変な視線を感じるようになった。
じゃ〜、この船の客の中に・・・
そう考えるのが無難だろうな、殺意じゃない!ただ監視?観察、みたいな視線だ。
そうですか・・・とりあえず用心して対応しなくては。
そうだな。ロディとルーティアは沈黙の会話を繰り返した。
さて、誰だか分からんが、部屋で籠もっていても仕方ない、せっかくの船旅だ、まずは船内を見て回るか。
そうですね。
ロディとルーティアは部屋から出て、船内を見て回ることにした。
「間もなく船は出航いたします、本日もご乗船ありがとうございます。」
館内のアナウンスが流れた、出航30分前のようだ、ロディは客室から出て、広いロビーに向かって歩いていた、デッキは5〜8デッキまであり、それぞれ風呂、食堂、シアタールーム、ゲームコーナー、居酒屋みたいな飲食店も見受けられた。
やはりデカい船だな、色々設備はあるな。
そうですね、ゲームコーナーなんてありますよ、昔流行ったコンピューターゲームでしょうか?
だろうな、今はコンピューターゲームなんかはほとんどする人は居ないだろうな、でも、色んな人種が船に乗るんだ、懐かしいんで遊ぶ人もいるんだろう。
ロディはゲームはしたことありますか?
ん?あるけどRGGタイプたけだから。
RGGゲーム・・・リアルゲートゲームの略でゲームに本体はなく、無料で各村や街に設置して貸出があるゴーグルと手袋のセットを装置し、ゴーグルの中に映し出された空間にダイブ(飛んで)空間の中で遊ぶ遊びである。種類は主に冒険物とアクションものが多い、女性であれば、空間内だけはお姫様にもなれた、現在で言うVRゲームの進化版みたいなものがグランマートル大星団では一般的である、コンピュータゲームみたいなコントローラーは一切存在しなかった。
そうなんですか、私はゲームはしたことが無いので・・・
しないほうがいい、やり過ぎると現実と架空との区別が付かなくなるらしいからな、一時期禁止になったが、今はタイブ時間とか制限されて管理されているから大丈夫みたいだ。
そうなんですね。
ロディはロビー、ゲームセンター、喫茶店等を見たあと、映画館に来ていた。
へ〜映画館まであるのか、流石でかい客船だな。
ロディ?今の時間は何を上映してます?
え〜と、ロントモント物語と、ヘビーキュラレス、サンドマンスロマンスの3つだな、暇なんでどれか観ていくか?
え〜と・・・特には観たくは・・・それと監視されているのでは?
あ〜、そうだな、とりあえず人から離れるか。
そう言ってロディは映画館、ロビー等、人の多い場所から離れて、上段デッキに向かい歩いて行った。
ロディは船の最上階、上段デッキに着いていた、一望が海が見える、鉄の柵で周りを囲み、落下防止の措置が取られていた。
いい景色だな、海が綺麗だ、のんびり日光浴なんて最高だな。
ロディ・・・そんな呑気な事を考えてる場合ではないですよ。
そうだな、そろそろ出てきてもいいんじゃないか?
ロディはそう言うと、上段デッキの柱の一つに向けて短剣を投げていた。
「あらあら・・・やっぱり気づかれて居ましたか・・・流石ですね、ロディは。」
「そんないかにも見つけて欲しいみたいな気配を出して、それは無いんじゃないか?」
ロディは目の前に現れた人物に対して警戒を解いていた、ロディの見知った人物だからだ。
「久しぶりだな、わざわざどうしたんだ、ジュディス・ハン・ホーンテッド。」
ジュディス・ハン・ホーンテッドと呼ばれた女性とロディが対峙していた。
続く。