港町ニースへ
モンタナ村から次の街ニースに向かうロディは、途中冒険者アニーと出会い、また別れて、いよいよニースを目指して森の中の道を歩いていた、森を抜けたら一日ほどでニースにたどり着く計算であった、時刻は夜七時になる頃であった。
だいぶ日も落ちたな、今日はこの辺りで野宿するか。
そうですね、この先に少し開けた場所があるから、そこがいいかも。
そうするか。
ロディは森の中を歩き、少し開けた広い場所に到着した。
よし、ここならいいだろう、ロディはゲートカマイザーから収納袋を取り出した。
収納袋からテント一式、多少の食料、食材を取り出した、まずは自身を照らすランプを木の枝に縛り、灯りを点ける、テントの周りに動物除けの結界を張り巡らす、そして、テントを手際良く建てていく。
しかし、考えて見たら、わざわざ野宿とかしなくても、ゲート移動でニースの街に飛んだら、フカフカのベットで寝れるのに・・・ルーティアがロディの手際を見ながら呟いた。
ま〜、そう言うなよ、確かに各街の巡視は大事な仕事、任務だけど、ガーディアンたるものどんな環境でも生活出来ねばならない、だから、たまに野宿とかするんだよ、よく師匠とも一緒に野宿をして、色々教えて貰ったよ。
そうですか・・・ルーティアが呆れた感じで話した。
ロディはテキパキと寝る支度と、食事の支度をする。
よし、こんなもんだろう。
ロディは薪を積み上げ、火を付けて暖を取っていた、テントもロディが一人で寝るには広すぎるぐらいのテントである。
相変わらず広いテントですね。
ま〜な、師匠と二人用だった頃のテントだからな、それに君も寝るからね、ロディは宝玉を触りながら答えた。
私なんか、ロディの脇で十分ですよ。
いやいや、君が人間に戻ったら、こうしてテントで生活も悪くはないだろう?ロディは冗談めかしてルーティアに話した。
ま!元王女の私にテントで寝れというの?ロディは・・・酷いですよ、それに・・・
それに?・・・・暫く声が無かった。
私が人間に戻れたとしても、あなたとこうして一緒にいるかどうかは、わかりませんから・・・
・・・ハハハ、確かにそうだな、でも、あの可憐なルーティア王女が今は、剣なんて、誰も信じないよな。
あ、アレは不慮の事故・・・みたいなものです・・・も〜、ロディなんて知りません!!フン。
ルーティアはロディとの会話で、少しヘソを曲げてしまった。
よし、メシはこんなもんか。
ロディの目の前に、肉の炒めもの、野菜のサラダ、ミルクスープ、そしてパンが並べられていた、ロディはパンをミルクスープに浸して、サラダ、肉と順番に食べていった。
ふ〜、食べた食べた。ロディは食器等をゲート内に収納した。
さて・・・ルーティア、大丈夫か?
ロディはテントの前で、魔法陣を管理してるルーティアに話し掛けた。
最初に張った警戒用の結界を一晩耐えられるように、ルーティアに魔力により補強して貰っていたのだった。
もう、終わりますよ、ロディ。
いつもありがとうな、ルーティア、ロディは剣を触りながら、ルーティアに感謝した。
ルーティアに収納袋から取り出した魔法石を吸収させている、大体一回に5つ位吸収していた、ルーティアが魔法や強い呪文を使ったら魔力の消費も激しいため、余計に魔力を補給するために魔石が必要になる、また、剣自身とルーティアを繫げるためにも魔石は無くてはならないのである。
ルーティアに充分に魔石を吸収し、収納袋の中身を確認するロディ。
ん〜、大分魔石残数が減ってきたな、次のニースの街の魔法屋で買っておくか、この星は魔物が居ないから、魔物から魔石を採る事が出来ないからな。
ロディ・・・魔石無いと、私何も出来ませんからね!最悪、私が消えてしまう可能性も在りますから・・・ルーティアが言う。
解ってるよ、もう・・・君を失うような事はしない、させないよ、絶対に!!ロディは宝玉を触りながらルーティアに話した。
時刻は夜11時を過ぎていた、ロディは目の前の燃える焚き火を眺めていた。
早く首都ルクラールに行き、ルーティアの肉体の状態を確認しなきゃな、ロディは考えていた。
・・・・・
翌日、辺りは朝靄が立ち込めていた、焚き火の火が微かに残っていた、ロディは剣をテントの布団の中に入れて、寝かせ?て、ロディ自身は焚き火で火の番をしていた、ウツラウツラとロディは頭を上げた。
あ〜、いつの間にか寝てたか・・・森の中だから、やっぱ朝方は寒いな、薪を足すか・・・
ロディは焚き火に枝木を投げた、火がつき暖かさが戻る。
さ〜てと、うちのお姫様はお目覚めかな?ロディはテントの中に入った。
ルーティア・・・起きてるか?
あ〜、ロディ・・・おはようございます・・・昨晩は結界魔法を張りすぎて、グダグダで寝てしまいました、ロディも布団で寝れば良かったのに・・・
いや、俺はどこでも寝れるし、火の番をしなきゃな、火事になるのは勘弁だから・・・
そうですか・・・今は何時ですか?
あ〜朝の8時位だ、ロディはゲートカマイザーを見ながら答えた、ゲートカマイザーの液晶に時間が映し出される。
8時ですか・・支度して街に向かいましょう。
だな、軽く朝食にして、出発だな。
・・・・・
ロディは森を抜け、ニースの街を目指す。ニースまで残り半日程、夕方にはニースに到着する。
街道に合流したロディは道を歩く人々と、同じくニースを目指す。
港町ニース・・・人口約30億弱、惑星ルドラで二番目に大きい港町である、人種は人間、亜人入り乱れての、多種多様の街である、他の街同様、貴族や、貧富の差はあるが、現在の市長が選挙で選ばれて以來極力貧富の差を無くそうと、躍起になっているらしい、この惑星唯一の勉学を学べる、学校・・というシステムを作ったのが、現在の市長と言う話しだ、財政は貴族からバッグアップさせることにより、貴族一点型の成金制度を廃止し、全ての子供が平等に勉学出来る様に取り計らい、また税収も貧富によってそれぞれ違い、貧しいものに優しい政治を行なう事で有名であった、
なので、市民からの信頼が高い市長なのであった。
そういえば、この街には学校があったな、俺は行ったこと無いけど・・・
ロディは道の先に見えるニースの街の城壁を見ながら話す。
学校・・ですか?勉強する場所・・・私はお城にいた頃専属の先生に勉学を習ったので、学校と言う場所には行ったこと無いですね。
いや、普通の子供は中々学校には行けないよ!なにせ、この星で学校があるのは、ニースだけなんたから。
え?ニースだけとは、では、他の街には無いのですか?
残念ながら無いんだよ、各街には簡単な読み書きを教える協会、修道院はあるけど、何百人も纏めて勉学を習える学校と言うスタイルはこのニースにしかないんだ。
第一、教える先生と呼ばれる立場の人が圧倒的に少ないのも、学校が無い原因の一つだな。
ふ〜ん、そうなんですね。ルーティアは城壁を眺めながら答える。
さて、あと少しでニースだな、ニースで一泊して、翌日船に乗るか。
いよいよ船ですか・・楽しみです。
ロディはニースに入るため、城壁入り口に並んだ、旅人が次々とニースの街に入る・・ロディも腕のゲートカマイザーと紋章を入り口の警備員に見せる、警備員は一瞬ビクッとしたようだが、直ぐに敬礼ポーズをしてロディを通してくれた。
・・・・
うわ〜、さすが二番目に大きな街だな、人も多いし、店も、露店も、ネオン看板色々あるな。
ニースは街の奥に市長の住む住宅がある、その市長の家に向かう道がメインストリートのようである、メインストリートで別れて、貴族街、貧民街、普通の身分の集落、歓楽街、娯楽敷設、病院、学校等など、外の街には見られなかった建物が多数建っていた。
二人は周りの景色、行き交う人々を見つめながら、唖然に取られていた。
ろ、ロディ・・・凄いですね、キラキラしていますよ。
あ、あ〜そうだな、この星で初めてだよ、こんなにキラキラした場所は。
市長の家の後ろの大きな道を進むと海に突き当たる、そこから船に乗ることが出来るターミナルがあった。
ロディはターミナルで明日の船の切符を買って、市民の住宅地や、貴族街、娯楽街、歓楽街・・を回ってルーティアに怒られて、気を取り直して、学校や、病院など、外からだけど、気になる施設を見て、観光をたのしんでいた、ロディは訊ねた村や、街に行った場合、必ず、行ける範囲は自分の足で歩いて回る事にしている、そうすることで、ゲートカマイザーに位置を記憶させて、何かあった時に瞬時に来れるようになるのである。
ん〜、大体街は回ったかな?しかし大きい街だな、市長が余程優秀じゃないとここまで中々発展しないよな。
そうですね、市民の皆さんがイキイキと生活してますもの。
貧富の差を無くすのが、この街の課題か〜、あの市長なら、大丈夫だろう。
??ロディ、ここの市長知り合いですか?
あ〜、昔、ちょっとな。
そうですか・・・
さ〜て、明日は船旅、今日は早めに宿を取って、休むとしよう。
そうですね。
ロディとルーティアはネオンがキラキラと光る中、目的の宿屋、快眠泊亭に入っていくのである。
つづく。