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イライラ度が見える安藤さんのバイトの話

作者: 麻婆学生

回転寿司チェーン店に行ったとき適当に思いついたネタです。ちなみに作者は1度もバイトをしたことありません。

俺は安藤あんどう ゆう。どこにでもいる21歳。

現在はとある地元の回転寿司の店でバイトをしている。


ある日のバイトのこと。この日は週末だということもあってかなり混んでいた。

(うわっ、あの人そろそろ怒りが……)

席に座っていた男性が足をトントンしていたので見たら、案の定イライラ度が少し速めのスピードで上がっていた。

急いで注文商品を確認しに行く。

「25番席のマグロが届いてないようですが……」

「あ……!わかりました!」

しばらくすると、レーンから男性の商品が流れてきた。

(良かった……あのまま呼び出しされてたらちょっと面倒くさかっただろうな……)

俺は人のイライラ度が頭の上に数字として見える。

まるで某動画投稿サイトでよくある漫画動画に出てきそうなこの変な能力は子供の時からあった。

頭の上に見える数字がイライラ度だとわかってからは、めちゃくちゃ利用している。

たとえば、小学生の時は母にお小遣いをねだるタイミングを伺うのに使ったり、友達の機嫌を伺うのに使ったりしていた。

そして現在、俺はバイトで能力を使っている。おかげでめんどくさいこと言ってくる客や、商品がなかなか来なくて取り消しする客が減った気がする。

中高生の頃は身近な人の機嫌を伺ってばかりでイライラ度が見えることに嫌気がさしていたが、今はこの能力があって良かったと思う。

――――

別の日のバイト。

今日は平日で休日ほどではないが、混雑している。

「今日も混んでるな〜」

「そうだな」

同い年のバイト佐藤さとう しゅんとテーブルの片付けをしながらそんな会話をする。

俊は俺と違って明るく、いらっしゃいませなどの挨拶の声が大きい。ラーメン屋のバイトでも良かったのでは?と思うほどだ。

その時……

「ねぇーママー!あたしのお寿司とうどん全然来なーい……」

「もうちょっとで来ると思うよ」

(まずいな……)

ふと視線に入った少女のイライラの数値が上昇し始めている。幼い子供はイライラすると何をするかわからない。俺たち店員に被害があるわけではないが、俺は今までにたくさんの不機嫌な子供を見てきた。叫びだす子供、泣き出す子供など……もちろんそんな子たちばかりではないが、不満が外に出ちゃうような子は見たり聞いたりしていて気持ちのいいものではないと思う人は多いだろう。

少女がもっと不機嫌になったら店員をおそらく呼ぶが、それも気持ちのいいものではない。気まずい気持ちにならない山崎というバイトの人はいるが、運の悪いことに今日はいない日だ。

なので、客のためにも店員のためにも早く商品を届けなければ……

「佐藤、ちょっと確認したいことあるからあとやっといて」

「えっ!?待てよ!あと片付けないといけないテーブルもあるんだぜ!?」

「いやでも……」

「他の人今手空いてないから頼む!」

俺は早く確認しに行きたかったが、席が空くのを待っているお客さんもいるし、2つもテーブルを片付けさせるのも申し訳なくなったので、誰かが少女の商品を忘れていることに気づいてくれるよう祈りながら爆速で片付け始めた。

皿を回収し、テーブルを拭き、醤油などの調味料を整理……

時々少女の方を見ながら手際よく片付けと掃除をしていく。

「まだ来ない……!」

数値がさっきより上昇している。

母親も察してもう店員を呼ぼうとしていた。

ああ……呼び出された店員が気まずい思いをしてしまう……

そう思ったその時……

「あっ、来た!」

「良かったわね」

商品が届いた。

(良かった……)

少女の数値が下がるのを見て安心した。

「安藤、皿持っていくぞ!」

「わかった」


人のイライラ度が見えるのは決していいことばかりではない。でも、自分の能力を使って少しでも誰かを楽にしてあげることはやっていて気持ちが良かった。

こんな感じで今日も俺はバイトをしているのである。

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