暗闇の先に
「さあ、灯りを持って?」
誰だか分からない人は私に灯りを握らせた。
手に持った灯りは、照らした範囲だけが見えた。
それ以外はただの暗闇だった。
「どうすれば。良い、の?」
私はその人に尋ねた。
「どうするかは、あなたが。
自分で考えて、決める事なの。
さぁ、歩んで?」
「ぅん、、」
目の前の暗闇には、他の人の灯りが見えた。
それらは、動いていたり止まったりしていた。
何処に行けば良いんだろう。
何処へ歩めば良いんだろう。
自分が進んだ先に照らし出されたものは沢山あった。
そして、その場所に立ち止まった。
いろいろな景色。
いろいろな音。
水が流れ。風が吹き。
居ても何も変わらない場所もあった。
しかしそれらを目にする度に。
本当にここで良いのか。
本当にここであっているのか。
"ここに居続けて良いのか"
そんな、不安に駆られた。
暗闇に見える僅かな灯りは、長い間。
同じ場所に留まっている事も少なくは無かった。
近くに居た人が自分と同じものを見ているのか。
自分と同じ音を聞いているのかは分からなかった。
「あの、、すいません。」
ある場所で立ち止まっていると、
ある人に話し掛けられた。
ある人「灯りを貸して下さいな。」
「えっ、?」
私は不思議に思った。
どうして自分の灯りがあるのに。
この人は私の灯りを欲しがるのだろうか、。
ある人は考える私に、こう言った。
「私の灯りは見えずらくて。
これでは。先に進む事が出来ないんです、、」
灯りに照らされた顔は、酷く悲しんでいた。
私は何だか可哀想になった。
「、、どうぞ。」
私は自分の持っている灯りを渡した。
ある人「どうも。ありがとう、、」
その瞬間。
私の目の前は真っ暗になった。
さっきまで見えていたものは見えなくなり。
何も聞こえなかった。
私は踞った。
「何も、見えない。
何も、、聞こえない。」
その場所から離れようにも。
私は何処にも行く事が出来なかった。
近くに灯りが見えたが。
灯りの無い私は、見えない様で。
しばらく近くに居ても、何処かへ行ってしまった。
私は何処かへ行きたい気持ちで溢れた。
今まで当たり前の様に普通に出来た事が、
羨ましく思った。
「どうして。
灯りを渡してしまったんだろう、、」
私は後悔し。涙が出てきた。
「誰か、、。
誰か。助けて、、」
涙で身体が濡れ、泣いていると灯りが見えた。
「どうして泣いているの?」
私はその人に応えた。
「灯りを、、渡してしまって。」
その人「そうか、、じゃあ。
一緒に、また灯りを貰いに行こう。」
私は差し伸べられた手を握った。
「ぅん。」
歩きながら私はその人と話をした。
その人「どうして、灯りをあげたんだい?」
「ある人が。困っていたから、、」
その人「そうだったのか。
君は、優しいんだね?」
私はその人のが優しいと思った。
その人「さぁ、着いたよ?」
その人はその灯りで。
最初に居た場所まで、連れて行ってくれた。
目の前には、最初に灯りをくれた人が居て。
また新しい灯りをくれた。
「さぁ、これで。
また。歩み出しなさい?」
私は灯りを受け取ると。
ここまで連れて来てくれた優しい人に、
お礼を言った。
「ありがとう。」
その人は微笑むと。
「どういたしまして。
じゃあ、ね?」
そう言って、暗闇の中に行ってしまった。
私は再び歩き始めた。
いろいろな場所に行けて。
私は嬉しかった。
私はあの人のおかげで、
灯りが無いと何処にも行けない事を知った。
私も灯りを無くしてしまった人が居たら。
助けてあげたい、と思った。
新しい灯りを貰う時に。
どうして灯りをあげてしまったのか聞かれた。
私は連れて行ってくれた人に話した様に、
同じ様に話をした。
すると灯りをくれた人はこう話した。
「自分の灯りを持っていても。
相手の事を考えずに、
灯りを奪おうとする人も居る。
だけどこの人の様に。
灯りを新たに与えようとする人も居る。
あなたも。
そんな人になって下さいね?」
私は頷いた。
灯りをくれた人「奪う人も居れば与える人も居る。
邪魔する人も居れば、協力してくれる人も居る。
だから何か困った事があったら。
必ず、
助けを求めて?
憎んだりするんじゃなくてね?」
私はその言葉を聞いて。
その通りにしようと思った。
生まれるかもしれない憎しみが生まれる前に。
何かを与えられる様に。
そんな人になりたいとすら、思った。
好意に人を傷付けたりする人も居れば。
好意で人を癒そうとする人も居る。
誰かがあなたを傷付けるのであれば。
その場所から離れれば良い。
きっとその人は、あなたから奪いたいだけの人なのだ。
その人と居ると、ただ。あなたが傷付いてしまうだけ。
その人も同じ様に。
"誰かに奪われてしまったのかも知れない"
けれど。失ってしまったら同じ様にして奪うのではなく。
誰かから分けて貰えば良い。
『助けて?』
そう言えば、誰かが必ず助けてくれる。
例え分けて貰ったものが自分の持っていたものだとしても。
きちんと、『ありがとう』とお礼を言う事。
仮にあなたがその人に貰ったものが。
自分が既に持っているものだとしても。
それはきっと誰かにとっては必要なもので、
あなたからその必要な人にあげるものなのかも、
知れないのだから。
その時が来たら。あたなが、貰ったものを。
笑顔で。あげればいい。
そうやって、いろんな人と関わって。
大切なものを築いてゆく。




