表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

あたしの彼氏は迷探偵

「えーっと、海水浴に行くんだよね?」


小南こなみくんの運転する高級ミニバンは、高速道路を飛騨高山方面に向かって快走している。

幽子ユーコちゃん、もちろんそうだよ! 僕もホラ、ズボンの下はもう海パンだしね」

コナミくんは白い歯をキラキラさせながら笑い、イケメンスマイルを爆発させた。


「でも・・・コナミくん」

「僕のことならコナン君って呼んで!」


飛騨高山は山間部だし、あたしが知る限り岐阜県に海はない。


相変らず自称名探偵は、自分の呼び名にこだわっているし。

だから学校イチの残念イケメンって言われるんだよ。


「でもほら」


あたしが高速の案内表示にでかでかと『高山方面』と表示されているのを指さすと、

「疑っているの? しかたないなあ、ちゃんと海パンを・・」

なぜかコナミくんは、運転しながら嬉しそうにズボンを下ろし始めた。


危険だし、意味不明だし、超やめてほしい。

さすが今世紀最大の残念男・・・そんな異名をほしいままにするだけのことはある。


世界的に有名な自動車メーカーの御曹司一族でもあり、運動神経も良くイケメンで、優しくって、地元最難関の国立大学工学部に現役合格している「超優良物件」だが。


やることなすことアホっぽい。しかもそれが全部、素の行動で、大学入学して半年もしないうちに言い寄る女どもから、片っ端にフラれた逸材だ。


あたしもこんな体質じゃなければ、この阿呆とは付き合いたくないのだけど…。

あらざるものを寄せ付け、見えてしまうあたしにとって・・・。

どんな怪奇現象も勝手に浄化してしまうこの男は、便利以外のなにものでもない。


「ああそっか、高山だから不安なんだね。幽子ユーコちゃんが教えてくれたYouTubeの広告で、僕も初めて知ったんだ! 塩分豊富な温泉をプールっぽい露天風呂にしたアミューズメントで、今年オープンしたんだって」


「なぜに、そんな場所を…」

「おもしろそうでしょ! それにその温泉旅館、以前連続殺人が起きて、ニュースにもなった場所なんだ」


「はあ?」

「まだ犯人は捕まっていないそうだし、名探偵として、そこはなんとかしなきゃって」


「はあああぅ!」


とりあえずスマホで検索すると、そんな怪しい施設がヒットする。

やはりというか、なんというか。レビューには心霊体験がごまんと書き込まれていて、今では客もほとんどいなく、地元のヤンキーさんたちが肝試しに行く程度の場所らしい。


その広告サイトを見ても、怪しい人影のようなものがいくつか映り込んでいて、下手な合成心霊写真にしか見えない。




オープンしたの今年でしょ…閑古鳥が鳴くの早すぎない?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ