ざまぁヒロインの幼馴染は時を越え思いを叶えたい!⑤
不思議な事に、今までと違い5歳の頃にコリンは戻ってきていた
正直、次は3歳くらいだと思っていたのだ
同じ時に帰ってのスタートは初めてだった
前回同様、2週間後には妹の誕生祝賀会が行われ、庭園でミハエルと再会した
2回目となると落ち着いたもので前回同様にお泊りの計画を実行し、話し合いの場を設ける
「聞きたいことだらけだ」
待ちきれなくコリンはミハエルに話しかける
ミハエルは前回と違い、今回は非常に落ち着いていた
「まぁ……私の立場でもそう言うだろうな」
「あの日、あの場所で何があった?」
話せば長くなると言いながらも、ミハエルは細かく教えてくれた
あの日、後夜祭を抜け出したミハエルは気分を悪くしていたカルラに出会った
カルラはフラフラしていて酩酊状態に見えた
しかし、本人曰く1滴も飲んでいないらしく
取り敢えず、教会にある薬を取りに行って落ち着こうという話になった
教会へ入ってからカルラは薬を飲み、ミハエルとボンヤリ談笑する
カルラはあの時何の魔法陣かは知らなかったはずだった
しかし、彼女は口に出さなかっただけでとっくにその魔法陣の内容を読み取っていた
「『当たり前じゃん!』っていってたよ」
「そうなの?」
「『頭良いくせに2人共バカね』とも言ってた」
「……言ってそうだな」
カルラにしたら、魔法陣の術式を見れば一発でわかる描き方過ぎて最初はビックリしたらしい
だけど、部分部分それを隠す様に変更してあった所もあったから、誰かが手を加えた事は分かっていたが2人で無い事は確かだと思っていたみたいだ
「……それってカルラ自身がカルラの足跡に気が付いたってこと?」
「そういう事。元々はお前が作った魔法陣だしな」
「そもそも書き換えの注文内容も遠回り過ぎて鬱陶しい気持ちだったらしい」
「……手厳しいな」
巻き込みたくないって気持ちが読み取れたから言わなかったカルラだが
記憶を持ったまま次へ行くという所に妙に引っ掛かった
カルラは思いのまま古い文献を読み漁った
そして、内緒でこっそり術式を変えたのだった
「えっ?完成してたの?」
「そう。だから今回5歳からやり直しだっただろ?」
タイムリープは基本的にコリンに合わせてある。だから、ミハエルも同じ時に戻る
更にコレを完璧にするために今度魔具を渡すとカルラは言っていたらしい
自分は右目を媒体にするとも言っていた様だ
「そんな時だった……あの協会の扉が開いたのは」
「教会の扉?」
「あの協会は私の魔法によって空間遮断がされていたのだが、1つ落とし穴があったのだ」
「何?だって血の契約者しか使えないだろう?」
「そう……血の契約者コレがキーワードだ」
「……どういう事だ?」
「ある者が、私の血をコッソリ持ち出したのだ。そして、それを別者もが使用して教会へ入ってきた」
「血?いったいどうやって???」
ミハエルは悲しそうな顔をして笑った
そして次の瞬間、コリンは自分の耳を疑った
「あの日、私とカルラを襲ったのは【王家の影】だ。所属は王妃。そして、私の血の提供者は1人しかいない……あの日の朝、訓練時に誤って私を切ってしまった男。デニスだ」
コリンには信じられなかった。コリンにとってもデニスは過去の人生で大切な友人だったからだ
そんな事をするなんて考えられなかった
「吃驚したか?」
「うん」
「どうも5歳のお前は幼いな」
「人の事言えた義理かよ」
「まぁな」
しかし、やはり気になった。デニスは傍目から見てもミハエルに王になって欲しいと思っていた
だからこそ、アリアとの婚約が決まった時には大喜びしていた
しかし、この話が本当だとすると前回の変化にも納得がいく
デニスは放浪の旅へ出て行ったきり死ぬまで帰ってこなかったからだ
その時だったコンコンと扉をノックする音が聞こえルスランが話しかけてきた
「ミハエル様。ご友人がいらっしゃってますがいかがなさいますか?」
「コリン。良かったら部屋へ招いても良いだろうか?」
「……構わない。ルスラン通せ」
「畏まりました」
緊張しながら待っているとノックがした
「どうぞ」と声をかけるとソコには
真っ青な顔をしたデニスとニヤニヤしているカルラが居た
誰だろうと驚くつもりは無かったが、まさかのカルラには驚いた
そして隣を見ると、ミハエルは手すりから肘を落としていた
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「なんでカルラが居るのさ?」
「私は記憶保持をしたタイムリープ者よ?今日はたまたま帝国での祝賀会に商品の納品で呼ばれていたからついでに顔を出しに来たの。そしたら道中、ミレーニア王国の騎士団長が護衛で来てるって聞いて、もしかしたら……なんて思ってたの。そしたらさぁ、死にそうな顔の此奴がいたから連れて来たってワケよ」
「……デニスは記憶があるのかい?」
「……ミハエル殿下!コリン殿下!あの時は申し訳ありませんでした!!!」
デニスは床に顔を擦る様に土下座した
「もしもぉ~し!私も死んだんですけどぉ?」
「あっ……ハイネリーク令嬢も申し訳ありませんでした」
「うん。いいよぉ~。今は生きてるからぁ」
「……軽いな」
「……軽いね」
デニスはハラハラと涙を流しながら土下座を続けている
カルラはそんなデニスを立たせて自分の座っていたソファーの隣に座らせる
どうするかミハエルを仰ぎ見れば《仕方がない》って感じでミハエルが話始める
「デニスは……あの時の事どの位覚えている?」
「……前の人生は全て覚えています」
「デニスは……王妃側の人間だったの?」
「違います!ただ、あの時は……確かに王妃の依頼を受けました」
「どんな?」
「王都で謎の感染症が流行っていてミハエル殿下に感染していないか知りたいと。しかし殿下は大の注射嫌いなので血液が採取できなかったと。だから稽古中に上手く摂取してくれと……」
「どうやって頼もうかと思っていたら朝の稽古でミスして私を切ってしまったんだな?」
「はい。でも、これ幸いと思いコッソリ採血しポーションで治したんです」
「その血は誰経由で渡した?」
「………………第2皇子のマキシム様です」
チラリとミハエルを見ると『やっぱりな』という顔をしていた
カルラは呑気にお菓子を漁っては食べてお気に入りは鞄の中に仕舞っていた
「デニスはどうする?今回のタイムリープは巻き込まれたカタチになってしまったが……」
「……もし許されるなら……殿下の剣として最後までご一緒させてください」
「だって!ミハエルどうするの?私はデニスが居ると嬉しいなぁ」
カルラは隣に座るデニスの鼻にティッシュをあててやる
ボンボンになった目を見てニヤニヤしているがスルーしておく
「コリンはどう思う?」
「……俺はミハエルの意志を尊重するよ」
「なら決まりだな。デニス!次は許さぬぞ!精進せよ!!!」
「……ありがとうございます!」
そう言ってデニスは大泣きした
カルラはミハエルの態度に「偉そうすぎる」「何あれ」「ムカつく」「デニス可哀想」とブツブツ言っていた。殺されたのに暢気すぎる気もする
デニスが泣き止んだところでカルラは今回どうしても話したかった事を切り出した
「今回のタイムリープのメンバーは4人。コレはOK?」
「私、コリン、カルラ、デニスだね」
「実は前回の魔法陣に細工しておいて最大3人の人間がタイムリープ出来る様にしていたの」
「……予定ではデニスは入っていなかったという事だな?」
「そう、なのにコリンはタイムリープできた。つまり、あの魔法陣は不完全。世界の理を壊す力が無いってこと。コリンは多分女神の加護が強いんだと思う。しかしこれはチャンスでもある。仲間が増えたからね」
そう言って、デニスの頭をヨシヨシする
デニスは真っ赤になって俯くもんだからカルラは大喜びだ
「女神……テュケーだっけ?どんな神なんだ?」
「創造主らしいよ」
「何でミハエルは知ってるんだ?」
「あの時、私は彼女に会ってるんだ……」
「私は気を失ってて会えなかったの」
「彼女は凄まじいよ。私はちょっと女性不振になりそうだよ」
「ミハエル曰く、コリンを幸せにする為に生きているんだって」
「余計なお世話だな」
そう言って、コリンは遠くを見つめる
愛も一方通行は寂しいモノだとミハエルは思う
「カルラの案は?」
「まず、私は暫く国を離れて魔法陣の資料を集めてくる。帰るのは大体8年後くらいかなぁ?」
「私達はどうしたら良い?」
「前と一緒で権力をちゃんと得る様に努力して」
「朝飯前だな」
「楽勝過ぎる」
「……あの俺は?」
「デニスはねぇ《脳筋キャラ》続行でお願いします!ただし、今が清らかすぎるからヤバい友達を1人紹介します!」
「……フラー?」
「違いますぅ!もっとヤバい奴です!」
「……誰だ?」
「ウチのお兄様です!!!」
その後の行動は早かった
カルラは自分の兄にデニスを紹介し、騎士団長の息子でありながら素直な性格故舐められていて困っている様だと説明し、兄に【腹黒指南】を頼んだ
最初は面倒な顔をしていた兄だったが、デニスのあまりにも清らかな性格に心配のベクトルが高まり、勝手に熱心に手解きを始めた
最初は戸惑っていたデニスだったが、過去の失敗もあり真面目に指南を受け見事【エセ脳筋キャラ】の属性をゲットしたのである
そんなデニスを兄に丸投げしたカルラは他国へ行き、魔法陣の資料を【最果ての森】というこの世の中で一番危ない場所から持って帰ってきた
その後、学園に入るまでは家業そっちのけで魔法陣の研究に没頭して過ごしていた
コリンとミハエル早々に皇太子教育を終え、公務にも精を出していた
途中でリリーベル王国の第3皇子が不自然な婿入りをする騒動があったが
それ以外は大人しいモノだった
ミハエルは今回の婚約者に敢てココネット・タリヤドール辺境伯令嬢を選んだ
しかし、何の因果か内定が決まる直前にココネット令嬢が従兄とできちゃった婚をした
これには流石に度肝を抜かれたが、当人のミハエルはとても楽しそうに祝いの品を送っていた
そして、最終的に規定道理のアリアローズ令嬢に内定した
運命の歯車は確実に廻り始めていた
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何時の間にか季節は巡り学園生活も其れなりに楽しく過ごした各々は相も変わらず仲を深めていた
そんな中、10日後に卒業式を迎えるコリン、ミハエル、デニスの3人は
カルラに教会へ呼び出されたのだった
「いらっしゃ~い!」
呑気に笑っているカルラはチョイチョイと手招きしていた
デニスがお土産のマカロンを渡すと「デニス大好き!」とコロコロ笑っていた
デニスも頬を赤らめ嬉しそうに見える
「今日の呼び出しの目的は?」
「うん?実はねぇ私今更だけど、1つ黙っていた事が有ったので、ご報告します!」
「「「えっ?」」」
男3人は瞠目した
まさか此処にきての告白だったからだ
「はぁ~い!注目!!!私の頼れる相棒のフラー君です!!!!!!」
「こんにちは。この猿のせいで従者を辞めて影になっていたフラーです」
「パチパチィ~~~~~!」
ゴスッ!とフラーに殴られるカルラ
何故フラーがと3人が慌てていると、カルラが理由を説明してくれた
実はフラーは辺境伯令嬢がミハエルの婚約者に成った時に内偵調査をしていた
しかし、蓋を開けてみたら従兄とデキているではないか!?となり
しかも妊娠している子を殿下の子として育てる算段までしている事を掴んだ
直ぐに報告しに王城へ行こうとした瞬間、ヘマをして辺境伯陣営に捕まってしまったらしい
絶体絶命のフラーは、生き埋めにされた所をカルラに発見・救出され、今日に至るそうな
因みにカルラはその日【最果ての森】からの帰りだった
その後、フラーは王城で辺境伯陣営の企みを報告
しかし、敵陣営に生きていると知られるワケにもいかないので
キンドレッド伯爵家には死亡と連絡された
結局の所、フラーの功績もあり、アリアローズ令嬢の婚約者内定が決まったという事だった様だ
「野良犬なんだから一緒に働く様に説得したの」
「もはや、お前の家に脅迫されたと言っても過言ではないがな」
その後のフラーはカルラと一緒に魔法陣の研究に没頭していたらしい
足りない材料を調達するのもフラーの仕事だった様だ
「デニスに会わせない様にするの大変だったんだから!」
「全然気が付かなかったよ」
「アナタ、ボンヤリしてますからね」
容赦なく悪態をつくフラーにデニスはピクリと眉を上げる
カルラは無視して床に何かを広げている
どうするか考えていると、見かねたミハエルが声をかける
「2人共、喧嘩は後にして」
「「…………」」
「カルラ!他にも報告があるでしょう?」
「はい!注目!!!」
そう言ってカルラは床に広げた魔法陣の上に立った
「コレが新しい魔法陣の術式です。死と共にタイムリープしますが、今回は1人増えて4人記憶を持って飛ぶことができます」
「俺は女神の祝福を持ってるから意味がないんだな?」
「う~ん。でもタイムリープ内での記憶を確実にする事と、運命の輪……理を壊すって意味では今回は必ずコリンはメンバーに入って欲しい」
「なら俺は絶対やる」
「私は勿論お願いするよ。もう一人はカルラだね。あと一人は……」
そう言って、デニスとフラーを見るとサッとデニスが手を挙げた
「次があるなら次も私が立候補します」
「……俺は次こそはお嬢様の側に居たいので遠慮します」
ぶれないフラーも凄いなと思いながらもコリンは感心する
「なら、今回の魔法陣は夜にならないと発動できないので夜にまた此処に集合って事で……」
そう言われ、各々時間を潰すことになった
その間、ミハエルは王城へ行ってくると言い、デニスは護衛でついて行った
フラーは商会の仕事が残っていたらしく、仕事をしに行った
残ったカルラとコリンは久しぶりにノンビリ教会内でお茶をすることにした
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「コリンはさぁ……今回でタイムリープが終わったら何がしたい?」
「俺に皇太子教育を終わらせて地位をどうの言ってた癖に何言ってんだよ」
「まぁそうなんだけど……もしさぁ……今回生き残って運命の輪から外れたら遠い昔の私とミハエルと約束したこと守ってくれない?」
「……それってどの約束?」
「私には記憶がないけど、約束したんでしょう?3人で船に乗って旅をするって」
「……そんな昔話したな」
「確か名前もあったよね?」
「お前……覚えてるだろ?」
「うん。だって私達らしい同盟の名前だもん。【コボルト同盟】でしょ?」
「お前のイメージはもはや小さな商会だったけどな」
「なら、3人で商売しよう!」
「皇太子を2人も捕まえて何言ってんだよ」
そう言いながら笑い合っていると、心に何か温かいモノをコリンは感じた
そして、こんな日常がずっと続けばいいのにと思った
カルラはその後も話し続けた
これからしたい商売や商品開発。新薬の研究に3人で乗る船の話
もしも結婚するならこんな男が好ましい
そもそも彼氏にするならこんな人が好い
その前に、友人である皇太子の結婚式の花は自分の商会で頼んで欲しい
妙なテンションの高さで話し続けるカルラにコリンは段々不安になっていった
途中から、未来が来ない事を前提に話しているような感覚になったからだ
「……カルラ?何か言いたい事ある?」
「……私はさぁ……魔法陣には絶対の自信があるの」
「うん」
「でも、今回のタイムリープは今までの事を考えると保険を掛けたいの」
「うん」
「……私実は皆より先に魔法陣を自分にかけたの」
そう言われて、弾ける様にカルラを見ると、右目が青く光っていた
それは以前言っていた、瞳を媒体にするってやつだった
「こんなこと皇太子のコリンに言うのもアレなんだけど……」
「俺は左目が良い」
「……コリン」
「だって、ずっと一緒に居られるだろ?」
言った後、思わず照れてしまうとカルラは嬉しそうに笑った
「なら、今夜はその目に刻むね?」
そう言った後、カルラは「ちょっと空気を吸いに行ってくる」と言って教会を出て行った
扉の前で「直ぐ帰ってくるから後片付けよろしく」と言って手を振ってきたカルラはその後帰ってこなかった
夜になり教会に再びメンバーが集まったのにカルラが来ない事に
コリンとミハエル、デニスは動揺していた
するとノックがする
訝しげに扉を開けるとフラーが立っていた
「フラー?」
扉を開けたデニスが固まる
不審に思ったコリンとミハエルが近寄るとそこにはカルラの遺体を抱いたフラーがいた
「……殿下お伝えします。やはり狙いは殿下の失脚の様です」
フラーがそう呟くと、ミハエルは怒りの形相で何処かへ走って行った
慌ててその後をデニスが追っていく
フラーはカルラを教会の中に入れると静かに一番前の長椅子に寝かせた
「……コリン殿下。私もこの運命とやらが憎くて仕方がありません。なので貴方に怨みはありませんが、此処は1つ、私に委ねてくれませんか?」
「……何をする?」
そう言って、フラーはカルラの作っていた魔法陣の術式を呼び出した
「カルラは右目の秘密を貴方に話しましたか?」
「……ああ」
「アレは実は不完全なのです。恐らく、次の彼女は今までのタイムリープの記憶を無くしています」
「……何でそれが分かるんだ?」
「今回の魔法陣は人柱が必要だったんです。俺はソレを知っていました。カルラは最初から今回死ぬつもりでした。そして、自分の代わりに俺に残りのメンバーにしっかり術式をかけてほしかったんです」
唖然とした
「しかし、カルラは何者かに殺されてしまった。人柱にはなれないし、魔法陣は更に不完全なモノになるでしょう」
「今までの2人の努力が水の泡だな」
沈黙が続く中、フラーは決意した顔をで真っ直ぐにコリンを見つめて驚きの提案をする
「だから俺は俺でもう1つ魔法陣を用意しました。コリン殿下は私の共犯になってくれますか?」
「……それはどんな?」
「この時間を巻き戻します」
「……それは本当に出来るのか!?」
「時間が足りなくて、此処までしかできなかったのが正直な所です。巻き戻れるのも数ヶ月前だと思います。その記憶を保持できるのは私とコリン殿下の2人だけです」
見つめ合った俺達は頷き合う
カルラの遺体の手を握りその時を待つ
「いいですか?今までと違い、今回は近い時間を遡ります。カルラは生きているし、まだタイムリープ1回目だと思い込んでいます。だから人柱の話も無しです」
「わかった」
「女神の干渉が無いこの場所でしかできない事です。戻った時間で女神に気が付かれてもダメです」
「……心しておく」
「ではコリン殿下。一緒に最後まで足掻きましょう」
そう言ってニヤリと笑ったフラーは魔法陣を展開した
彼の左目の現れた魔法陣は向かい合っていたコリンの右目に同じ様に模様を描いた
次の瞬間世界がグルグルまわった
そして、しばらくして落ち着いてきたので目をあけると
そこは学園寮の自室だった
カレンダーを慌てて確認すると5ヶ月前に戻ってきていた
コリンは弾かれた様に部屋を飛び出すと一目散に教会へと走ったのだった