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ざまぁヒロインは時間旅行を楽しみたい!

最初の場面は衝撃的の一言だった


目の前で刺されているのは、先程笑顔で私を送り出した張本人・ミハエルだったからだ

私を庇って心臓を一突きされている

崩れ落ちた彼の体の向こう側に居たのは良く知っている顔だった

「フラー……」


声をかけるとフラーは顔を歪めて言い放った


「貴女に呼び捨てにされる言われは無いですよ。さようなら」


その瞬間、私は切られて死んだ


++++++++++++++++++++++++


目を開けるとまた違う景色だ

今度はミハエルと2人で馬に乗っている

ノンビリではなく誰かから逃げる為に全力疾走だ


「カルラ!大丈夫か!?」

「……ミハエル……大丈夫」


そう言いながらもお腹が痛い。どうやら矢が刺さっている様だ


「もう少しで国境だ。彼が待っている。頑張れ!」

「そう……やっと会えるんだね……早く会いたいな……」


そう言った後、私は馬から転げ落ちた

ミハエルが叫んでいたが私はそのまま意識を失った


++++++++++++++++++++++++


「貴女がミハエル様を誑かしたのよ!彼が廃嫡されるなんてありえない!!!」


目の前のご令嬢は大泣きしながらナイフを私に向ける

頭の中にすごいスピードでこれまでの経緯が流れ込んでくる


「私達は嵌められたのよ。貴女だってその実行犯を分かっているでしょ?」

「うるさい!黙れ女狐!!!」


そう言って彼女は私を滅多刺しにした

遠くで誰かが怒鳴っていたがもう誰の声か分からない

薄れゆく意識の中であと何回殺されるのかカウントしようかなぁとぼんやり思っていた


++++++++++++++++++++++++


その後も私は何度も殺された


刺され、貫かれ、毒を飲まされ、転落させられ、轢かれ……


大体死ぬ前後に数秒の違いでミハエルも死んでいる様だ

どちらが先か、後かの違いだ


回を増す毎に誰か協力者がいる事に気がついた

ミハエルはその人の事を信頼しているらしく、私と3人で【コボルト同盟】というものを作っていた

その心は、いつか安寧の地を……心が安らげる家を持つ事を願っていたから

因みに、鉱山を掘り当てて一攫千金したいという邪な気持ちもあった


いつか3人で商売をしながら旅をしようとも話していた


死ぬ事が約束されたループの中で

必ず私とミハエルは死ぬ

そして、その人は1人取り残されていた様だ


あるループの時、何処からかタイムリープしていたミハエルが提案してきた

『この無限ループを壊せないか』と

その話を聞いた私は直ぐに魔法陣の政策をした

3人の中で魔力はミハエルが高いが

新しい物を作り出す事を得意とするのは私だったのだ


魔法陣に書き込まれる内容は

・ループ前の記憶を保持する事

・3人の運命の糸は必ず何処かでつながる事

・無限ループを脱した時、魔法陣は消滅する事


私は古い文献を漁った、そして件の魔法陣に行きついたのだ

その魔法陣をミハエルにはペンダントに

私には右目の中に

協力者には左目の中に書き込んだ


己の眼を媒体にするのは、かなり危険な行為になるのだが

協力者は喜んで左目に魔法陣を刻んだ

何故喜ぶのかと聞くと

「ずっと一緒に居られるだろ?」

と、喜びを爆発させていた

しかし、そのループでも私とミハエルは死に協力者だけ生き残った


そして、私もタイムリープした前々回の時に行きついた


++++++++++++++++++++++++


「カルラ・ハイネリーク令嬢!貴様を反逆罪で北の地に投獄する!尚、皇太子は共謀罪でその身を共に北の地に置くことにする。廃嫡の後、北の地の塔で余生を過ごすとよい」


言われるや否や、私は引きずられる様にしてパーティー会場を後にする

多分、此処は卒業パーティーなのだろう

何度もこのシーンを体験しているので目新しくもないので大人しく従う

さて、今回は何処でミハエルと逃げるか考えていると今までに無い事が起こった

正確には、過去に起こった事なのだが

何と、フラーが私を担いで逃げ出したのだ


「フラー!?」

「黙って!君とミハエル様が死ぬと、俺も困るんだよ」

「でも、ミハエルが!」

「あっちは大丈夫。もっとヤバい奴が一緒に居るから」

「アリアは!?」

「もうとっくにこの場を後にして、隣国へ避難している。あそこにいるのは君の作った人形だろ?何とぼけてんだ?」


息を飲んだ。こんな展開は今までになかったからだ

タイムリープのお陰なのか……しかし、やはり上手くいかなかった

途中で私を庇ったフラーが瀕死の状態になってしまったのだ


「フラー!」

「逃げろ……早く!」


フラーを置いていけるはずもなく、私は得意の魔法とアイテムで敵に応戦する

なんで自分達ばかり死ぬのか

なんで協力者のみ生き残るのか

なんで今回は流れが変わったのか


「何か……ヒントは……生き残るヒントがあれば……」


そう思っていたら次の瞬間、私は背後から切り殺されていた

あぁ……ミハエルは死んだのだろうか?


そう思っていたら、ミハエルが走ってこっちに向かってきていた


「カルラ!」


ホッとした

やはり、あの魔法陣は何らかの影響を世界に及ぼしていたからだ

なら、最後のカードを切るだけだ


「……みはえる……わたし……いちど……ことわりのそとへいってみるね」

「何を言ってるんだ!?」

「みてて……わたしてんさいなんだ」


そう言って私はありったけの魔力で新しい魔法陣を作った

実は内緒でずっと用意していた物だ


「まって!カルラ!またおいていくのか!?」


ちらりと目があったソコには、ずっと会いたかった人がいた


「いってきます」


そう言って、私はその場で光の塵となった

目の前の事態を見ていたのは


瀕死の状態のフラー

生き残ったミハエル

そして協力者のみだった


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