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嫁は二次元だけじゃない。  作者: 灯雷
第一章:春と共に始まる物語
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5話:さよならするなら

盲点とは何か、と気になる中俺たちはカラオケ店に向かった。


お昼ご飯はアキバに夢中で、時間を忘れており、もうカラオケの予約の時間になったので食べないことにしたのであった。


予約した時間まであと5分なのにも関わらず、カラオケ店から遠いところにいたため、切羽詰まっていた。


凛は携帯を出して地図を見る。


「えーっと、ここがこうで、ん?あれ、わからない、、地図読めない…カラオケどこぉぉ」


地図が読めないらしい。カラオケがどこだかわからないらしい。


「ちょっと見せて」


俺は凛から携帯を借りる。


「あー、これ昭和通りで、今中央口だからもうすぐだ!」


俺は凛に携帯を返し、歩き出す。


凛は顔が赤くなっていた。


とうとうカラオケ店にたどり着く。


受付の所に着くが、俺は思った。


この受付の人って、俺らの関係どう思ってるんだろう。


カラオケに男女二人で来る。


うーん、カップルやん。


「予約してた、松戸です」


「松戸さんですね!ではこちらへどうぞ」


部屋番号が渡され、部屋に向かう。


部屋に入ると、当然だが二人きりの空間になった。


「あのさ凛、この前、このカラオケ店300円くらいで済むって言ってたよね」


凛はドキッとした表情をする。


「そ、そうだね、」


「ワンドリンクは絶対つけなきゃいけないの、知ってた?つけたら800円になるよ?」


凛は顔を真っ赤にして下を向く。


「知りませんでした、カラオケ二、三回しか行った事ないもので、私予約したりとか調べたりとかするの初めてで、、」


「もしかしてさ、それが盲点?」


沈黙が続く。


「はぃ、ごめんなさいぃぃぃ!!」


俺はそんなことかというように言う。


「なんだよ、大丈夫だよこれくらい。気にしないよ」


凛は安心したのか、ため息をつく。


「そっか、よかった、ごめんね」


「大丈夫だよ、カラオケあるあるだよ!」


凛は少しドジというか、天然というか、そういうところがあるなと思い、俺は可愛いなと思ってしまう。


「はいどーぞ」


俺は凛にマイクを渡すが


「やだいらない!絶対歌わない!やだ!」


全否定してくる。


「えぇ、じゃあ歌うよ?」


「早く歌え!!」


凛は焦り気味に言う。


「じゃあ最初は何にしよう」


と、迷っている風に言うが、俺はもう最初に歌う曲は決まっているのだ。カラオケの最初の曲はいつも同じである。


「じゃあGod knows…にしよ」


俺は画面にポチポチと打ち込み、歌い始めた。


歌ってる途中、なんだか凛の視線をすごく感じて、恥ずかしかったがなんとか歌い切った。


凛は拍手する。


「んー、90点か。低いな」


俺は自信がある曲で、いつも94はとってる曲なのに少し低かったので落ち込む。


凛は黙り込んでいる。


カラオケに二人きりなので、二人とも恥ずかしいがっていて、凛も俺も、目を合わせることはもちろん、顔すら合わせることができなかった。


何曲か俺一人で歌った(歌わされた)後、あと2時間しかなかったので、パソコンを出し、まどマギを観る。そういえば元々の目的はまどマギだったのを忘れていた。


パソコンはあまり大きな画面ではないので、凛とくっつくかくっつかないかの絶妙な距離感になる。


ドキドキしながら観る。


なんだか途中から眠くなってくる。


まどマギが面白くないわけではない、とても面白いのだが、なんだか落ち着いてしまって眠くなってくるのだ。


好きな人と一緒にいると眠くなると聞いたことがあるが、それが関係しているのだろうか。


眠気と戦いながら、ついにエンドロールが流れた。


「いやぁ、最後衝撃だったね」


俺は凛の言う。


凛を見ると、凛もとても眠そうな顔をしていた。


「だね、でも途中すごく眠くなっちゃった、睡眠不足かな」


どうやら二人とも眠くなったらしい。


「いや俺もめっちゃ眠くなった。世界観かなぁ」


「かもねぇ」


なんだか世界観が原因じゃない気がしたが、そういうことにしておく。


二人はカラオケを出た。


「じゃあもう暗いし帰ろっか」


「私も、家が厳しいから早めに帰らないと怒られちゃうから帰る、!今日はありがとう!!」


「あ、池袋まで送って行くよ」


「へ?」


俺の家は調布市という東京西部の郊外で、新宿から京王線に乗り換えるのである。


凛は川越なので、池袋から東武東上線である。


もう少し長くいる方法は、山手線で池袋まで一緒に行った後そのまま新宿まで帰る方法だ。


「池袋通るから、一緒に帰ろ」


「そっか、ありがとう!一緒に帰る!」


俺たちは山手線に乗った。


座席が空いていたが「俺は座らない人だから」と言って、凛に席を譲る。


俺は凛の前に立つ。


凛は、携帯を出して何かを打っていた。


俺も携帯を出し、友達に「復讐なんてそんなことされなかった、普通にめちゃくちゃ楽しかったわ」っと、捉えようによってはクソうざい文章を送りつける。


池袋に着くと、凛は席を立ち上がり


「ばいばい、今日はありがとう。またね」


と言い放ち電車を出る。


俺も


「ばいばい、俺も楽しかった、またね」


と言って、別れを告げた。


新宿につき、京王線に乗り換えると、インスタで「メンションされました」という通知が来た。凛が俺のことをストーリーでメンションしたようだった。


俺の足だろうか。何かの写真がとても白くされている写真が上がっていた。


よく目を凝らして見てみると、文字が書いてあった。


『めっちゃ楽しかったよ。めっちゃ充実しすぎた一日だった、なんてね。やっぱまどマギ最強!』


可愛い…


楽しんでくれたらしく、安心する。


俺も『めっちゃ楽しかった!』というストーリーを上げた。


なんだかリア充のようである。


ここまで充実していた日が、人生であっただろうか。


俺は松戸凛のことが好きだ。

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