3話:恥じらいと緊張
「えーっと、、」
俺はあまりにも顔がタイプすぎて動揺する。
「あの、勇人君、、だよね、、?」
向こうも動揺しているようだ。緊張している様子である。
「えーっと、、流山勇人です、、よろしくね、、!」
「よろしく、!」
二人とも緊張していて、よそよそしい。
こんな容姿端麗な人が、同じ学校にいるとは思ってもいなかった。
顔を合わせたいが、恥ずかしくてどうしても目線を下に落としてしまう。
とりあえず、二人で話せる話題をふる。
「そういえば、松戸さんはまどマギ誰推しなの?」
松戸凛はあたふたしながら答える。
「私は、今のところはやっぱり杏子推しかな、勇人君は誰推しだっけ、、?」
「俺は、まみさん推しかなぁ、あのお姉さん感があって、包容力のある感じがめっちゃ好きなんだよね、、!」
「あ、そういえば前にインスタのストーリーであげてたよね、まみさんが可愛すぎるって!」
よく覚えているなと感心する。
「そうそう!まあ3話で(ネタバレのため自主規制)…」
「あはは…」
沈黙の時間が続く。
すると松戸凛は恥ずかしそうにしながらも口を開く。
「勇人君って、いつからラブライバーでしたか?私は小学5年生からで、友達におすすめされてみてみたら、すごく面白くて!」
小学5年生から、しかも女子でラブライブ、珍しいタイプの女子らしい。
「そうなんだ!羨ましいなぁ、うちの家は携帯持たせてもらうのが遅い家だし、母親がアニメに偏見持ってる人だから、みられなかったんだよね、、」
「そうなんだ、じゃあ勇人君はラブライブとどうやって出会ったの?」
「俺は、散財するのが好きで、友達とガチャガチャやった時に、ラブライブのキャラで出てきたキャラ推そうぜってなって、ヨハネが出てきてからずっと推してるんだけど、ヨハネのイラストとか可愛かったし、ラブライブ気になってたから、アニメみたんだけど感動しちゃって。しかもアニメ見てもなお、ヨハネが好きだったんだよね、そんな感じでヨハネガチ推しになって、今って感じかな」
松戸凛は目を丸くする。
「独特な出会い方だね、、」
ちょっと引き気味なのだろうか。
「あはは、、」
確かに、とてつもなく独特で何も言い返すことができなかった。
「まあでも、同じアニメ好き同士、よろしくね!ラブライバー降りるって言っても、好きなのには変わりはないから!」
松戸凛ははずかそうにしながら、しかしどこか軽くなった表情である。
「よろしくね!」
「じゃあもう昼休み終わりそうだし、もう帰るね!またね!」
廊下を鉄砲玉のように帰っていった。
「ふぃぃぃ緊張したぁ、、」
俺はM組の教室に入り、安堵のため息をつく。
すると、友人の船橋龍が俺の机にくる。
「てめぇ、今のは女か?女なのか?」
「いや、見て分かるだろ」
龍はため息をつく。
「お前なぁ、もう彼女なんかいらないだとかほざいてただろ」
「いや、彼女とかじゃないわ、ただのアニメ仲間だよ」
向こうは仲間だと思っているか知らないが、勝手に仲間ということにしておく。
「そうだといいんだが、、まあ、俺は大好きな真悠香がいるからいいし!べつに!」
真悠香は、龍の彼女である。調子のんじゃねぇよリア充が!!!
「はいはいそうですねぇ、、」
俺は呆れた口調でいう。
そんなことをしているうちに、昼休みが終わる。
授業中も昼休みのことを思い出す。
あぁ、あんな美少女とアキバとか緊張…、さっきあんなキモオタ出しちゃったけど、ひかれてないかなぁ…
アキバが楽しみな気持ちと、俺のこと嫌いにならないかという気持ちなど、いろいろな気持ちが入り混じる。
数日が経ち、アキバに行く前日になった。
いきなりだが、ラインで友達6人構成の、非リアグループが存在する。
リア充になったら、このグルを退会するというシステムのグルである。
なんでこの話をするかって?
結論からいうと、退会させられたのである。
グループに入ってる一人の友達に「松戸凛って人と、上手くきすぎてて怖いんだけど、復讐なのかな」といったのである。
そのときはその友達も俺に庇ってくれたのか「アキバ気をつけて行けよ」と言ってくれたのである。
しかし、この前松戸凛と話した際に、その友達は俺らのことをずっと観察していたらしい。
松戸凛の態度が復讐とかそういうのではなく『女の子』だったそうだ。
どういうことだかよくわからないが、「気をつけて」というのが一瞬にして「くたばれ」に変わったのであった。
そして俺は非リアのグルで裁判にかかったのであった。
『勇人は、無罪か、それともギルティーか』
みんな発言する前に、誰か俺のことをグルから蹴ったらしい。
こうして無事、退会したのであった。
仲間を失った俺は、明日、美少女とアキバに行く。
明日着る服、お金など準備をして、就寝につく。
つく、はずだった…
が、緊張で眠ることができない。
『とうとう明日だね』
俺は松戸凛にメッセージを打つ。
すると、割とすぐにメッセージが返ってくる。
『そうだね、楽しみ!』
『俺もめっちゃ楽しみ!』
なんだか、リア充みたいな会話である。
『もう寝るね、おやすみ』
俺は明日のために気合を入れて、寝るとする。
『おやすみ』
松戸凛から返信が来る。
目を瞑って、眠りにつこうとするが、やはり心臓がドキドキいって、眠れなかった。二時間くらい葛藤し、2時に眠りにつくが、一時間おきに起きてしまう。
そしてとうとう、アキバ当日の日になったのである。