1話:メッセージ
冬の街に燦々と太陽の光が降り注いでいたある日のこと。
インスタグラムの学校垢兼オタク垢のDMに新着のメッセージが来ていた。
『一件の新着メッセージ』
ロック画面に着信が来たのでそれを開いてみると、
『突然すみません、ラブライブの投稿をされていたのをみてメッセージを送らせていただきました。ラブライバーの方ですか?』
松戸凛という同じ学年と思われる人物からだった。
プロフィール欄を確認する。
「B組?ってことは、特進クラスか」
うちの学校では、特進、国際、普通科がある。
ちなみに凡人の俺は普通科である。特進は頭が良くないと入れないコースであるため、松戸凛も相当頭がいいのであろう。
俺はそれに返信をする。
『ラブライバーです!津島善子推しです!よろしくお願いします!!』
そう、俺は陰キャなため初めて話す人とは同級生、もしくは後輩であっても敬語を使ってしまう。それもは同性であっても同様だ。
前に、今となっては仲の良い男友達がいるが、最初話したときは敬語で話していた。
慣れてくると、タメ口になり、それに比例してうるさくなるという典型的なコミュ障陰キャだ。
数時間して松戸凛から返信がくる。
『ヨハネ推しなんですね!私はμ’sののんたん推しです!こちらこそよろしくお願いします!!』
オタクじみた女の子は嫌いではない。自分にしては珍しく仲良くなってみたいな、たくさん話してみたいなという感情に襲われた。
続けて通知が来る。
『いきなりなんですが、私のラブライブグッズもらってくれませんか?ラブライバーを降りようと思っていて…』
なんだ、降りちゃうのか、と残念に思った。
まあでも、もらえるものならもらっておこう。
『本当ですか!?くれるのであればぜひ欲しいです!』
俺は文字を打つ。
また数時間経って返信が返ってくる。
『もらってくれるんですか!?ありがとうございます、では明日学校で渡しますね、プロフィールで拝見させていただきましたが、M組ですか?』
うちの学校は13クラスあり、マンモス校である。俺はその13クラスめ、M組だ。
『M組です!来てくれるんですか?ありがとうございます!!』
グッズをくれる、しかもわざわざ渡しに来てくれるなんて、なんて優しいのだろうと思った。
『わかりました、では明日の昼休みにそちらの教室にお邪魔させていただきますね!』
ここで会話が終わる。
楽しみだなぁ。
俺は楽しみにしながら、そしてどんな人なのだろうと気になりながら明日を待つ。
しかし、疑問があった。それは、なぜ俺にグッズを渡そうかと思ったのだろうかという疑問だ。
俺の友達も、インスタでラブライバーなりの投稿をたくさんしている奴もいるし、なぜピンポイントで俺を選んできたのかという疑問である。
もしかしたら、気になっているのであろうか。しかし、会ったこともないのに気になることなんて、そんな話は聞いたことがない。
もう一つ考えられるのが、元カノの代わりの復讐説だ。
どういうことかというと、俺は前に元カノがいた。でもその人は浮気をしたのにもかかわらず、俺が浮気をしたといろんな人に吹き込んでいるという噂を友達から前に聞いたことがある。
しかもその元カノはB組で、今回話しかけてきた松戸凛もB組で、同じクラス…友達同士ということも考えられる、俺は復讐されてしまうのだろうか。
しかし、考えすぎな気もする。とりあえず、黙って明日を迎えるとする。
翌日の昼休みになった。
しかし、昼休み終わりまで5分前くらいになってしまい、もう来ないのかと少し残念に思い、廊下を覗いた。すると、なんということだろう。
松戸凛一人で来るのかと思っていたら、B組の女子だと思われる人が5人ほどでぞろぞろと来ていた。その女子たちは俺に気がついたのか、ぞろぞろとよってくる。
俺はその時思った。やっぱり復讐か!あぁぁ終わった…神様仏様、どうか私をお助けくださいいいい…!!
と祈っていたが、復讐なんてされずに、松戸凛がグッズが入ってると思われる袋を渡してくれた。
「はいこれ、じゃあね」
この8文字を吐き捨てるかのように言って、恥ずかしそうに行ってしまった。
顔、全然見れなかったんだけど…笑
まあでも、何もされなくてよかったと思い安堵のため息をついた。
「わあ、たくさん入ってる!」
俺は推しのグッズとか限定のグッズとかが入っていて大喜びする。
家に帰って『ありがとうございます!!』と松戸凛にメッセージを送る。
そして、松戸凛は
『いえいえ、受け取ってくれてありがとうございます!!』
とだけいって、それ以降話さなくなった。
これだけで終わりかと思っていた。
しかし、終わりではなかった。
二週間後、また松戸凛からDMが来ていた。
『おすすめのアニメはありますか?』
俺は
『一番のおすすめはまどマギですかね!』
と、有名どころ、かつ俺が大好きな作品を勧める。
『ちょうどみたことなかったのでみてみますね!』
みてくれるんだぁと思った。
次の日の夕方、インスタを開くとまた松戸凛からDMが来ていた。
『みました!面白かったです!杏子ちゃん可愛い〜』
『もうみてくれたんですか!?』
俺は早すぎて驚きが隠せなかった。
『はい!昨日の夜全部見ちゃいました。劇場版もあるんですね!もうみられましたか?』
『あはは、まどマギ好きだけどまだ見てないからみたいんですよね…』
やばい、にわかなのバレると思いながらも嘘は吐かずに、正直にいう。
『そうなんですね、じゃあ、よかったら一緒に観ます?笑笑ネカフェかどこかで!』
ん、え、え!?
唐突すぎてびっくりする。
『一緒に観ちゃいます?笑笑』
こう返してしまう俺であった。
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