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6話 ギルド潰し


「う~ん」


早紀はゆっくりと目を開く。


「あっおはよう早紀」

「おふぁよう…早いねマリ」


早紀が起きるともうマリは服を着替え終わり出発準備の支度にとりかかっていた。


「今日はマリのスキルを見せてくれるんだっけ?」


早紀が首を曲げる。


「うん!でもその前に…」


マリが早紀を見た後部屋の周りを見る。


「どうしたの?マリ何か変なところある?」

「ううん…そんなんじゃないんだけど…早紀って武器ないよね?スキルを使えば出てくるけどむやみに使えないから私のスキルを見せる前に早紀の武器を買いに行こうか」


マリが笑っている。


「そうしようか!私も武器欲しいと思ってたんだよね」


早紀はやっと着替えを始める。


「所持金は?」


マリが早紀の顔を見る。


「えっとね金貨5枚の白金硬貨5枚の銀貨2枚の銅貨2枚だね」

「う~ん」


マリは渋い顔で悩んでいる。


「中古の武器なら買えそうだね」


早紀は別に武器なら何でも良かったため了承した。


「そうと決まれば私のとっておき武器屋に案内するね」


早紀はマリに連れられ宿屋を出て行った。


(なんかいっそう視線を感じるような気がする…まぁそうかマリは数少ないDランクだもんね…その子が私みたいな人と歩いていたらそりゃね…)


「おい」


後ろから男の人だろうか…声が聞こえた。


(この声は…確かあの時の…!)


2人は慌てて振り向くと逃げる格好をする。


「まぁ待て…今更勧誘なんてしないよ。それより」


男は早紀とマリを交互に見る。


「この子とギルドを組んだのか?」


男が呟く


「悪いですか?」


マリが首を曲げる


「Aランクの者はギルドを作るのは違反のはずだが?」


今度は早紀の方を見る。


(えっそうなの?全然知らなかった…ということは私たち捕まる?)


そんなことを早紀が思っているとマリがフォローを入れてくれる。


「Aランクの人は『自ら上ランクの人を勧誘してギルドを作ることは出来ませんが上ランクからの申請ならば許可する』というルールがあるはずです」

「そうか…それなら気を付けるんだなお前ら2人がギルドを作ったならば最近現れたギルド潰しの格好の的だ。俺たちも昨日襲われてな…ギルドは壊滅した…そいつらにはDランク級が1人いるらしい」


2人は目を見開いた。


「しかもたちが悪いことにそいつらは出来立てのギルドを狙うらしくてな…特にお前たちは狙われる可能性が高い…そこのところを覚えておけ。国家の騎士達も動いてはいるが手掛かりはつかめていないらしい…昨日は無理矢理誘って悪かった。幸運を祈る」


男はそう言い残すとそのまままっすぐ歩いて行った。


(どうやら悪い人じゃないのかな…)


早紀はマリの顔を見るとマリは大きく頷いた


「ありがとうございました!」


早紀とマリがお互い頭を下げると男は片手を挙げた


「さぁ行こう!あともうちょっとだから」


マリは早紀の手を掴み歩き出した。


しばらく歩いていると目の前に何やら工具の形をした看板が見える


「着いたよー」


マリが前の店を見る


「ここが私おすすめ武器屋だよ」


とマリが扉を開いた。


(なんか本当にファンタジーって感じするなぁ)


早紀は恐る恐る中に入る


「すみませーん」


マリが叫ぶ


「おう!マリか!そして隣が…なんだ見かけない顔だな」


店主らしき人が歩いてきた。


(何この人…体ごつい…)


早紀は慌てて一歩下がってしまう


「あんまり怯えさせないでよ!この人はここの店主でこちらがギルドマスターの早紀」


マリが手を早紀に向ける。


「早紀です…よろしくお願いします!」


店主が首を曲げる


「ランクは?」


店主の言葉に早紀はマリの方を向くとマリは答えてもいいよという風に頷いた。


「はい…Aランクです…」


本当はZランクだが周りがAランクというので早紀自身あまり変わりのないことだと思っていた。


店主は一瞬驚いた顔をするがすぐに元の顔に戻った


「いやーそうか…あのマリがまたギルドに入ったなら相当あなたの事を信頼してるのだろうな」

「どういうことですか?その言い方だとギルドに入っていた言い方になりますが…」


店主はマリがいないことを確認し話し出す。


「マリはな…昔小規模のギルドに入っていたんだ」

「へぇー!そうだったんですね!」


店主が頷く


「あぁ…とても強かった…だがそのギルドはマリを戦闘の道具としか思っていなかった」


早紀が目を見開く。


「なんとか抜け出してギルド脱退申請もすべてこの国の負担でしてくれたのだ。その時のマリは本当に笑うことはなかった。体には切り傷の後やあざがたくさんあってな…そこからはギルド勧誘をすべて断っていたんだ」


店主の言葉に早紀は頷くしかなかった


「にしてもそのマリが自分から勧誘申請するとはな…」


店主は相当驚いているようだった


「まあ…マリもいい人を持ったものだ…ぜひ仲良くしてあげてくれ」

「はい!」


早紀は大きく頷いた。


「ところで何か持ちたい武器はあるか?今日はお前さんの武器を買いに来たんだろう?」


店主が早紀の顔を見る


「はい!えっと…」


早紀はしばらく考える。


(んー私は昔からゲームとかする時も双剣にしたいんだよねえ…ついでに今のスキル練習にもなるし…)


「片手剣2本お願いします」


店主が笑っている


「ほう…それなら高くつくぞ金貨2枚だ」

「どうぞ」


早紀は袋から金貨を取り出す。


「ならば……伝説の2本を渡そう」


店主は奥から剣を2本持ってきた。


「これは昔英雄の少女と呼ばれた女の子が使っていた特別な剣だ…マリから保管を頼まれてな……よいしょっと……」


店主が頭を抱える


「持っていいですか?」


店主が頷くと早紀は剣を握る。


(えっ…軽すぎ)


早紀が軽く剣を振る


「まさかその剣を振れるのか?」

「え?はい」


店主は早紀の答えに驚き声も出なくなった。


「早紀その剣使えるんだ!本当に初心者?」


マリが歩いてくる


「はい一応剣の振り方はわかるので…」


早紀は慌てて話す。


(ゲームでを良く剣を振ってたなんて言っても無理だよねぇ…)


マリと店主はしばらく沈黙するもすぐに頷いた


「それじゃあ私たちはこれで」


マリが店主に挨拶をすると早紀も店主にお礼を言いお店を出て行った。


(いやぁ…ついにファンタジー感が出てきたなぁ~)


早紀は腰に下げている2本の剣を見る


「そういえばマリあの店主さんからたまたま聞いたんだけど…」

「ん?なにー?」


マリが早紀の方を見る。


「この剣の持ち主だっけ…英雄の少女って何者なの?」


マリは驚いたように目を開く


「まさか知らないの!?」


早紀は頷く


「英雄の少女は10年程前かな…に現れた美しくそしてとても強い女の子…私の元師匠なの周りからは最強剣士別名、英雄の少女って呼ばれていたの」

「そうなんだ!会ってみたいなぁ…」


早紀が顔を上げる


「でも…1年したら急に私の前からいなくなっちゃって…」


マリが下を向く


「いつか会えるよ!マリがその人の事を忘れない限りはね!私も会いたいし!」2人はお互いに目が合うとそのまま笑った。


(10年前かぁ…あれ?あっそうか‥私8才のころ駅の階段から落ちちゃって記憶ないんだっけ…1年ほど寝てたって言われたなあ…私が寝ている間にマリは修行かぁ…)


「どうしたの?」


マリが早紀の顔を覗き込む


「え?あっいや…私10年前に階段から落ちちゃって1年ほど眠っちゃってお互い大変だねって思ってね」

「1年も!?よく目が覚めましたね…」


マリがまた前を向く


「そうなんだよ~だからその1年は全然覚えてないや」

「そりゃあね…1年間も寝てたら覚えるも何もないでしょ」

「確かに!さすがマリ!」2人はそんな雑談をしながらしばらく街を散歩した。


「ねぇマリ」

「早紀も気づいた?」


2人はその場で立ち止まる


「つけられてるよね私たち…」

「ギルド潰しの人たちかな?」


早紀の問にマリは首を曲げる


「森に走ろうか」


マリの顔が笑っている。

早紀は大きく頷くとマリは早紀の手を持ち走り出した。


「ここらへんでいいかな?」


2人は振り返る


「だいぶ遠くの森に来たけど本当に追いかけてくるの?」


早紀は自分で聞きながら目を閉じる。すると視界に周りの景色が映りだした。


[スキル、索敵を獲得しました]


(索敵ってことは…敵が分かる!)


「よし…索敵」


すると周りに無数の赤い点が私たちの周りに現れた


「これは面白いくらいにいるね」


早紀はついつい笑ってしまう


「ざっと10人だねやっちゃう?」


早紀はもちろんといった顔で頷いた


「じゃあマリが攻撃ね私は…ラファエル状態でマリのHP永続回復の役するよ」

「そういえば回復中は天使以上の攻撃来ないと無効化だっけ?」

「うん!まあだからマリは戦うだけでいい事になるかな永続回復の回復量どれだけかわからないけど…」


早紀が呟く


「まぁやってみたら?」

「そうだね!ラファエル!」


早紀が水色の光に包まれる。


「じゃあそこに大きな石あるから座ってるねマリよろしく!」


早紀は石の上に座る


「さあ始めようか!灼熱地獄(マリエル)!」

永続回復(バトルヒーリング)!」


マリと早紀の言葉が見事シンクロする。


(マリのスキル何あれ……炎まとってるじゃん……)


(いや…早紀…永続回復0・2秒体力魔力全回復ってどういうこと?)


2人はお互いのスキルに驚愕しながらもマリが動く


「やあ!」


マリが剣を振ると前方の森が一面焼き野原になる


「うわあああ!」


中からたくさんの人が現れる


「あなたたちがギルド潰し集団ね!」


マリが剣を突き出す


「お前ら!やってしまえ!!」


男の合図に全員が2人に突っ込んでいく。


(マリすごい…1人であんなに大人数を…そして暇だなぁ…)


早紀は石に座りながら伸びをすると後ろから男の人たちが現れる。


「いただき!」


と5人から剣が振り下ろされた。ガキーンと音が鳴る


「え?なぜ攻撃が通らない…」


男たちは必死に早紀の頭に攻撃しているも早紀は気にせずあくびをしている


「おかしい!こいつスタミナが減らないぞ!」


マリは奥で息1つ上げず戦っている。


(そりゃぁ…ラファエルの自動回復は自分味方すべてのスタミナとMP、さらには体の傷を0・2秒で全回復するんだから…今のマリは実質スタミナ無限、MP無限、傷入らない状態だもん。まぁ…私もだけど)


早紀は攻撃を受けつつ呟いている


「こいつら倒れないぞ!」


男たちが叫んでいる


「倒した数的に7人か…」


とマリがつぶやきながら早紀に攻撃している男達も薙ぎ払う。


「思ってるほど強くないじゃん」


マリが笑う


「クソが!」


残りの男たちも2人に突っ込むがあっけなくマリに倒された。


「お前らはいったい何者だ?」


リーダーらしき人が歩いてくる。


「私はマリ……そして」

「早紀です」


2人は男をじっと見ながら名前を話した。


「攻撃が通らない支援系女の子と回復速度が速すぎて倒せないアタッカーか…」


男が冷静に分析する


「良く分かったね!まさかあなたがFランクの」


マリが呟く


「あぁお前らの弱点が分かった」


男が笑っている


「へぇ」


マリが剣を構える


「ギルドバランスは最高だ。だが…お前ひとりしか戦えないなら俺とほぼ互角…そして俺はユニークスキルスタミナ耐性により疲れることはない」

「なるほど相打ちもしくは決着がつかないと」


早紀が座りながら手をたたくとマリは早紀の方を向く


「じゃあ一瞬で終わらしてねマリ…RA強制解放(ファーストリリース)


と早紀が呟いた時2人の足元に虹色の魔法陣が現れた。


(なにこれ!?レベルが上がって…1000!?てことは私念願のランクD+じゃ…)


マリがステータスを見て驚いている。


「なんだそのスキルは!?」

「私のユニークスキル2つ目自分を含む仲間のランクを1つ上げるの」


早紀が笑うとマリは剣を構える


「D+と戦えるんだよ光栄じゃない」

「ふざけるな!そんなの見掛け倒しだ!」


と男が剣を持ちマリに突っ込んだ。


決着は本当に一瞬だった。

マリが軽く剣を振ると男を剣ごと断ち切ったのだ。


「致命傷にはしてないけどしばらく気絶しててね」


とマリは剣を収めた。


「マリお疲れー私見てるだけだったよ」


早紀が笑っている


「ほんと早紀のスキルどうなってるのよ…全然疲れないしMPは増えるし…怪我しないし…D+になったし!」

「RA強制解放だよなかなかいいでしょ!そして私は天使以下の攻撃は効かないし」

「E+ランク級の強い仲間集めたギルドができたらやばそうだね…全員Fランクだよ」


2人はまた高らかに笑った。


「まだ何か聞こえる…」


2人は後ろから何か来ていると気付き振り返った


「また増援!?」


早紀はマリの顔を見る


「いや…この音は…」


ヒヒーン!

馬に乗った騎士が現れる


「これはどういうことだ…?」


騎士は早紀とマリの顔を見る。


「お前たちが倒したのか?」


騎士が2人を見ると早紀とマリは頷く


(まぁ私は座ってただけだけど…)


「その紋章…」


マリが呟く


「え?何?」


早紀が振り返る


「ラミ帝国の騎士団ですね」


マリが騎士の顔を見る


「いかにも私はラミ帝国騎士団長だ…そしてこいつらはギルド潰しの連中だそんなことより…まぁ話はあとだついてこい」


騎士が馬を歩かせる。


「ちょっと…どこへ」


2人は騎士の顔を見る


「王宮だ」


2人はキョトンとした顔をするも騎士の後をついて行った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまでの感想じゃ!早紀もマリもとても強いのじゃ!四大天使はかなり便利じゃのう。そしてランクを上げるのもかなり便利なのじゃ。それぞれに応じて戦い方を変えられる所がかなり面白いのじゃ!そして…
[気になる点] 5話目の途中まではテンポよく読んでましたが、5話の途中から急に、キャラのセリフと文章がギュッとまとまる感じになってて、戸惑いました。 作家さんそれぞれの書き方はあると思いますが、さすが…
2022/08/13 21:42 退会済み
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