5話 秘密の検証
「ん…」
早紀はゆっくりと起き上がる。
「いや…まだ夜じゃん…」
と不意に窓の外を見る。
「星綺麗だなぁ…本当に異世界来ちゃったんだ…」
と隣を向くとそこには幸せにそうに寝ているマリの姿があった。
「色々あったなあ…私もゆっくりとスキル確認しないといけないけどこんなスキル…むやみに見せて良い物じゃなさそう…だったら今がチャンスか…」
「うーん…」
マリが寝返りをする。
(まずい…声漏れてた!?とにかく何とかしないと…)
早紀が隣を見るもマリは目を閉じている。
「なんだぁ…寝返りか…びっくりしたぁ…さてとスキル試してこようかな」
と早紀はマリを起こさないように部屋を出ていった。
(早紀、なんか隠してる…なんだろ…)
マリも目を開けゆっくりと早紀の後をついて行った。
「この森ならバレないかな…えっとRA強制解放は…仲間が居ないとあまり分からないね…じゃあ」
早紀は周りを見渡す。
「ウリエル」
早紀が呟くと地面に黄色の魔法陣が現れ早紀の体を包み込んでいく……
「あっ…そこに水溜まりあるじゃん!顔見てみよ…」
早紀は地面に溜まっている水を覗き込む。
「うわっ!髪の色変わってるじゃん!金色に光ってる…そして何故目の色も金色なのだ…?」
早紀が自分に見とれている
「後天使と言えば羽だっけ?」
早紀は手を後ろに回すと何やらふわふわする感触がある
(羽じゃん!何で1回変身したとき気付かなかったんだろう…羽が付いているということはまさか…)
早紀はそのままジャンプをするとものすごい力で上に上がる。
「ちょっと待って!飛びすぎ!」
早紀は背中の力を緩め地面に着地をした。
「後はこの攻撃だけど…ん?こんな武器あったっけ?」
早紀は腰に付いている片手剣を取る。
「うわぁー金色でとても綺麗…」
と目の前にまたあの文字が現れる。
[武器、神光の太刀、神光の双刀を手に入れました。よって太刀スキル【神光瞬神剣】双刀スキル【千神光撃】を獲得しました]
(おぉーなんか色々増えた!というか天使なのに神剣なのね…まぁいいや試しに…)
早紀は前の木を見る。
「神光瞬神剣!」
早紀はものすごい速度で剣を薙ぎ払うとはるか遠くまで斬撃が飛んで行った。
(全然力出してない気がするのにこの威力…ちょっとまずいかも)
(早紀!ちょっとこれはやりすぎでしょ!私が見たことの無いスキルということは…おそらくこれが早紀のユニークスキル…でも本来Dランク以上じゃないと持てないはず…何でAランクの早紀が…どんなスキルなんだろ…見る限り白い羽も生えてるし…髪も目の色も金色に…まるで天使のような…)
マリは止めに行こうと思いつつも見てみたいという気持ちもあり結局ついて行くことにした。
「ウリエルの力もわかったし次は…ミカエル」
今度は赤色の魔法陣が現れる。
「ふんふんなかなか強そう…両腰には銃で背中には弓か…」
早紀は銃を取り出す。
「なかなか立派…」
早紀はついつい赤色の銃に見とれてしまった。
(ええー??今度は赤色ですか!?一体どれだけ容姿変わるの…あっそういえば…)
そうマリが道を歩いているとき……
「そういえば森の中で色んな色に変わる女の子がいるって噂よ」
「えー!なにそれ!?」
マリはたまたま聞いただけだったため気にもしていなかった。
(あの噂は本当だったんだ…)
マリは木のそばで隠れている。
「さて試し打ちしますか…」早紀はつぶやくと目の前の木に銃を構える。
(私も見ないと…仲間なんだから)
マリも早紀のことを見ている。
ドン!と大きな音がしたかと思えば目の前が大爆発を起こす。
「ええ!?こんな威力…てか空気が割れてる…」
早紀は自分でも驚いている。
「やりすぎですよー!」
マリがついつい叫んでしまう。
「マリ!?」
早紀は驚いた顔で後ろを向く
「すいません…急に出て行ったので心配してついてきました」
マリは申し訳なさそうに頭を下げる。
「なるほどぉ…四大天使ねぇ…」
マリは早紀の顔をじっと見る。
「う…うん私的にはかなり強いと思ってるね」
「割とじゃないでしょ!こんな威力…C+ランクもしくはDランク級の人たちに匹敵しますよ…それに四大天使というくらいだからあと2つ残ってるんじゃ…?」
マリが早紀の方をジト目で見る。
「う…うん…ガブリエルとラファエルが残ってるね」「見せてくれませんか?」
早紀は考えるも2人だけだと分かり頷く。
「分かった…ガブリエル」
早紀の足元に緑の魔法陣が現れる。
「やっぱり髪と目の色変わるんだね」
マリが早紀の顔を覗き込む
「みたいだね…私には自分の顔見れないけど…一応ガブリエルのスキルは召喚で召喚した守護天使は攻撃できるしシールドも貼れるみたい」
「良いなあ…私は火力特化なのに…」
マリが小さく俯く。
「まぁ…でも私はこのスキルと仲間が頼りだからね…」
早紀はマリの顔を見る
「最後はラファエルだね」
「ラファエル…」
マリは必死に頷く、
「個人的には1番使いやすいかなって思うね、攻撃はない代わりに超支援型で回復もできるし回復中はほぼ攻撃無効だからね」
早紀が元の姿に戻る
「実はもう1つユニークスキルがあって…」
早紀の言葉にマリはまた驚いた顔をする。
(ユニークスキルがもう一つ?何それ聞いたことない!私でも1つなのに…Aランク冒険者だよね…早紀いったい何者…)
マリはいろいろ考えるも結局分からなかった。
「まぁもう1つは後々教えるね」
早紀はマリの頭を撫でる
「もう!子ども扱いしないでください!」
マリが顔を赤らめながら叫んだ
「うん!マリ可愛い!さぁ帰ろっか」
早紀がマリの顔を見る
「あっいけない!」
「早紀どうしたの?」
「宿屋の場所覚えてない…」
早紀は急に慌てだした。
(はぁ…ギルドマスターがこれってなかなか抜けてるなぁ…)
「じゃあ私の手を」
マリがやれやれといった顔で手を伸ばすと早紀は笑いながらマリの手を握る。
「瞬間移動」
マリが呟くと早紀の目が急に真っ白になる
「まぶし!」
早紀が目を開けるとそこは森の中ではなく知っている部屋の中にいた。
「ええ!?何今の!?瞬間移動!?」
早紀がマリの顔を見る
「えへへ!いいでしょ!」
マリが照れながら笑っている。
「うん!すごいね!じゃあ明日はマリのスキルを見せてもらおうかな」
「え!?私ですか?」
マリが驚いた目をする。
「うん!マリの事たくさん知りたいし!」
マリはしばらく考えると軽く頷いた。
「仕方ないなぁ」
マリは笑いながら早紀の方を向いた。
「ありがと!マリ!それじゃあ今度こそおやすみ!また明日ね」
「うん!また明日ね!お休み早紀!」
2人はベッドに入ったとたんすぐに寝てしまった。