65話 隔離
「隔離されたね」マリが呟く「大丈夫だと思うよ、この結界は……なるほどもういいのか……」早紀は大きく頷く「ねぇマリ、皆を会議室に集めてくれる?マリにはちょっと嫌な話になるかもしれないけど……」早紀は空を見る「?とりあえず集めてくる」マリはそのまま消えていった。
「すまん、主堕天使共を逃してしまった」朧月が椅子に座りながら早紀の顔を見る「全然いいよ!ところで……この結界の件について話したいの」早紀はサキエルからの報告をみんなに伝える。
「なんじゃと!?ラミが裏切者じゃないじゃと?」ミカエルの言葉に早紀は大きく頷く「実は内緒にしてたけど前にギルド潰しの皆を送っていったときにね」早紀は思い出す。
「ラミ王女!皆を連れてきました」早紀は王宮に入っていく「いらっしゃい!ありがと!それで大事な話があるんだけどいい?」早紀はそのままラミ王女のベットに座る「早紀さんは想像神アルキメデスって知ってる?」早紀は首を振る「想像神アルキメデスというのはこの世界を創造した神様なの」「そうなのですか?」「そう、そして想像神アルキメデスは力を残して消えたの」ラミが早紀の隣に座る「その力は今堕天使のもとにある……私はなんとか潜り込むことに成功して力を少しずつ奪ってはいるけど……」「待って待って待って!その力って?」早紀は両手を振る「簡単に説明するとその力がすべて解き放たれれば……この世界を崩壊させれことも、改変させることも可能……周りの国達もそれを警戒してる……私が少しづつ解放してるから何とかなっているけど時間の問題かな……堕天使の後ろには何者かが支えになっている可能性もあるだから早紀さんがもし国を作れば私とあなたたちは敵対にしておきたいの。いつか結界を張るその時まで国の皆にも内緒にお願いしますね」早紀は大きく頷いた。
「それがこの結界だと?」ゼダが首を曲げる「その可能性が高いね、つまり真犯人が再び戻ってきたということ……」早紀がマリの顔を見る「一から説明する、まずマヤ帝国とラミ帝国の10年前の争い……これは仕組まれたものだと私は思う」早紀の言葉にみんなが唖然とする「どういうことですか?」マリが呟く「ふふふやはりそういうことですか」ゼダが笑う「あとその2国は……時空間転移を使い未来からきている」ここまではサキエルの予想だった「なんじゃと?」ミカエルが目を細める「確かに時空間操作を持つものなら可能だとは思いますが……そもそもエネルギーが足りません!」ラファエルが呟く「じゃあ仮に未来でアルキメデスの力を使った場合はどうなるの?」早紀の言葉にみんなが静まり返る「なるほど……そうすれば二国が戦争したままこっちに来ることは可能だな……」フィルが唸る「そう!あと問題は何故戦争を起こさせたのか……」「そんなもの利益につながるからに決まっていますわ!」「ネイトにしてはまともな意見」ユグが呟く「なるほどそういう意見もある……でもこれ見て」早紀が地図を広げる「これは……全世界の地図?」「そう、ラミ帝国とマヤ帝国はこんなに離れている……なのに戦争を起こす意味がある?しかもわざわざ反対方向のマリのいる村で?」マリは目を広げる「つまりラミ帝国を迂回してきたと?」フレイヤが呟く。
(その可能性もありますが……)
と隣に水色の女の子が現れる「だれ!?」皆が振り返る「初めまして私……サキエルと申します」「サキエル?え?」早紀が目を見開く「マスターを助けるために来ました」「この力……ただ者ではないな?というか……スキルではないのか?」朧月が呟く「はい、私は想像神アルキメデス様の右腕と呼ばれておりました。精神生命体なので宿る場所を探していたのです!」とポーズをとっていた「はぁ……もう何でもいいや……」ミリが頭を抱えていた「そういうことか……早紀さんの本来の契約者はサキエルだったのか……」ウリエルが目を見開いていた「ウリエルご名答!早紀さんは契約熾天使そしてその契約者が私ってわけ!」サキエルがくるくる回っている「とりあえず話を戻すね!マスターいいかな?」早紀は頷く「それで何でマヤ帝国とラミ帝国が争ったのかというとだね、その村にいたある人をおびき出すためだったんだよねー」「ある人ですか?」サミリーが呟いた時マリの顔が変わる「いたでしょ?その時に現れためちゃくちゃ強い人がね」この言葉にミリが目を見開いた「まさか英雄の少女か?」朧月が呟く「さすが!暗黒龍なら話が速いね!」「嘘だ!師匠が敵だなんて!」マリが机をたたく「マリには昔リンカていう子いたでしょ」サキエルが振り返る「リンカは私と同じ守護神だよアルキメデスの左腕って呼ばれててね」マリは目を見開く「そんな人がたかが人間に殺されると?」サキエルが目を細める「それって」「そう暗殺したのは堕天使……セラの仲間」「じゃあどうしてラミは戦わなかったんだ?」朧月が呟く「多分だけどマリが英雄の少女の所に長いほどいたから手出しできなかったんじゃないかな?」早紀がマリの方を見る「そうか!ラミは昔から堕天使達と仲間のふりをしていたといったな!」ミカエルが分かったように叫ぶ「だから師匠……いや……セラさんは私をラミ帝国に?」「少し違います」サキエルが真剣な顔になる「セラさんはラミが敵であるということは気づいていました。だからマリさんをスパイとして送り込んだのです……がマリさんがその手紙……隠された暗号を読み取ることが出来なかったため英雄の少女は消えラミさんの国に住むよう本文そのままの意味でとらえてしまった。セラさんにとってはこれで行けると判断したんでしょうね」マリはうつむいたままだった。
「待て!だとしたらセラは……」ウリエルが慌てて手を伸ばす「はい、隠れて生きています。そしてセラの正体は」サキエルが早紀の顔を見る「私が言います。セラの正体は別の時間軸から来た私です」「「なんだって!?」」早紀の言葉にみんなが驚く「確信したのは今だけど昔マリと手合わせしたときセラに剣技が似てるといわれて……でも昔の私にしては言い方が大人っぽかったからそんなことないなと思ったんだけど……未来の私となるとつじつまが合うんだよね」「なるほどな!つまりその未来の早紀がここに時を超えセラと名前を変え堕天使を共を操りアルキメデスの力を奪おうとしてるってことか?」フィルが話す「その可能性が高いじゃろうなぁ……早紀さんならアルキメデスの力をつかわず時間を飛ぶことはもしかしたらできるじゃろ」ミカエルが頷く「となると今は魔力をためている時期の可能性がありますね……」ラファエルが頷いた「よし!分かったとりあえずここから出て真意を確かめに行こう!」早紀が手を挙げる「かしこまりましたマスター。ここから脱出します」サキエルはまた光となり消えていった。




