58話 敵の思想
「あー!失敗したんかぁ……」スタルムが叫ぶ「すみません……ですがあの国の強さは異次元でした……水が飛んできたと思ったら一瞬で仲間がまとめて斬られました」「それは残念な国に手を出したな」ハデスが椅子に座りながら呟いている「その国は恐らくシューレイ&レキレイの国だろう、異例の姉妹災厄者だ」「災厄者?マジかい……てことは天優国がそこにいたってことは……はぁ……あの方になんて報告すればいいんだか」「それであっちの動きはどうなってる?」「あー情報は漏れてないから大丈夫でっせ、ただ……天優団が動けば動くほど向こうも動く可能性は高いやろうなぁ、もう少しでアルキメデスの力を開放できるっちゅうのに……」「マリを連れてくるのはこれで不可能になった、ほかの手段を探せ」ハデスが呟く「はいよーできる限り頑張るわ」スタルムはまたモニターを叩き始めた。
そのころ天優国では早紀が天優国護衛隊を集め会議を行っていた。
「さて、今回で分かったのは敵は堕天使だけではなくスタルム国という別に国がかかわってきたこと、誰かスタルム国に聞き覚えは?」早紀が周りを見る「そういえば……」ミリが手を挙げる「私見たんだけど大きな結晶があってそこにいた人がスタルムって聞いたかも」「大きな結晶?なんですのそれは」ミリは首を横に振る「……でも妙だな」朧月が呟く「何が妙なんじゃ?」ミカエルが首を曲げる「いやスタルムって言うのは元災厄者の名前だったんだが……」朧月はさらに険しい顔をする「別の災厄者に殺されているはずだ、名前は確か……ノーリンだったか」「詳しいんだね」マリが朧月の顔を見る「あぁ……知り合いの竜から時々報告が入るからな」「じゃあそこにいたスタルムは偽物ということですの?」ネイトが首を曲げる。
(ねぇサキエル、そこにいるスタルムって本物?)
(はい恐らく本物かと)
ということはやっぱりラミ王女が復活させたと……
(いえ、恐らく違うと思われます。ラミ王女の場合復活させてもメリットがありません)
(というと?)
(復活させたのは別の人物であると考えます。そしてその人は恐らくラミ王女を利用しているものと考えます)
早紀は唸る「どうした?」ウリエルが早紀の顔を見る「もしかしたら復活させた人がいるかもしれない」早紀が前を向く「まぁ……妥当な考えでしょうね」フレイヤが頷く「となると……誰が復活させたかですね……」ユグも小さくも強い声で話す「うーん……でもこれはいい機会かもしれないですよ?」ツクヨミが笑う「シューレイ&レキレイの国と交易を結んだということは向こう側にも知れ渡っている……だからこの国を迂闊に攻めれないはずですから」アンドロメダも続けた「なるほど!」早紀は手を叩く「でも一国だけだときついかもね……」ワダツミが呟く「じゃあ私とマリとミリで下を散歩する?この国は朧月リーダーで護衛隊を指揮してくれれば。一応私の歩くペースにこの国を動かすからすぐ転移できるけど」「良いけど大丈夫か?」朧月が首を曲げる「私の事は堕天使とスタルム国シューレイ&レキレイの国しか知らないからね……ほかにも異世界人いないか見たいしマリ、ミリ、良いかな?」2人は文句が無いように頷いた。
広場にて
「じゃあ行ってきます」早紀は頭を下げる「早紀さんどうか気を付けてください」ラファエルが頭を下げる「うん!じゃあサキエル、船の守護はよろしくね!」
(任されました!)
と声が聞こえた。
「「行ってきます」」と3人の合図に転移魔法が発動し消えてしまった。
「一応私たちの存在がバレるのはまずいからオーラは抑えようか」早紀の言葉にマリとミリは大きく頷いた「さてとそろそろ行きますかね」3人はまた歩き出した。早紀はたまに上空を見て天優国が付いてきているのを確認する。
(この先大きめの街があるぞ)
朧月からの念話が入る
(分かった!気を付けて入ってみるよ)
3人は入口に向かった。
「ここは……警戒も何もしてないんだね」マリが周りを見る「ここら辺何もないからねぇ見た限り……ちょっと情報収集がてらバラバラに探索しようか」「「はい」」マリとミリはそのまま別方向に歩いて行った。
「へぇ……なるほど召喚儀式ね……」早紀は一冊の本を見つけた「すみません!この召喚儀式って何ですか?」早紀はおもむろに店主に聞く「おや、見かけない顔だね?冒険者かい?」「あぁ……えっとそういうところです」「ふむ召喚儀式というのは暗黒族を呼び出すための儀式だ、その暗黒族には階級があってな……10人の上位暗黒族を獄暗族と呼ばれている。みんなこの極暗族を召喚させることに必死なんだ。まぁいないけどなうまくいっても二階級下の暗黒族王までだな」男は笑っている「なるほど……ありがとうございます」早紀はそのまま歩いて行った。
(サキエル、私にも召喚できる?)
(はい!召喚の為の魂は今までの戦により既に獲得してます!よって1日待つと召喚できるようになります!)
(うん!ありがとう!明日よろしくね!)
早紀はそのまま宿を取るとそのまま眠ってしまった。




