54話 現れる敵
そのころハデスは洞窟の中を歩いている「どうだ?」「あーちょうどいいっすよ、あと半分ってところっすかねぇ……」と目の前に見える巨大なボールのような赤い球体を見る「あの方に届けるんだからな……」「あーそれなら後の半分どこにあるか知ってるんで言いましょか?とはいっても取り込まれてるから連れてこないと取り出せまへんけど」男の言葉にハデスは首を振る「いや良いもうどこにいるかの情報は掴んでいる」「なんやまた忍ばせたのかいな?てか元々か」と男はキーボードをたたいている「マリ・スカーレット……どうつれてくるかやなぁ」ハデスは少し考える「んでボスは何してはりますねん」「あぁ……どうやら地獄に行って悪魔に会っているそうだ」男はハデスの顔を見る「なんや強襲でも狙ってんのか?」「さぁな、あの王女もボスには何も言えんからな。情報がほとんどない」「そっか……まぁええわ気を付けれやハデス」「ふっ……お前に言われなくても成功するさ……魔王スタルム」「その呼び名は辞めいゆーとるやろ、負けたんや俺は災厄者を語る器はもうないんでな。災厄者の座はおまんに譲るわ」「……そうか」ハデスはそのまま歩いて行った。
早紀たちは緑色の古代竜に連れられ城の中に歩いていく「あなたもしかして古代竜?」早紀が前を歩いている女の子を見る「ただ者ではないようですね……隠しているつもりでしたが……見破られたのは初めてです」「てことはもう一人いるんだ」マリが呟く「はい、私は古代竜……いえ……轟風龍レイそしてもう一人が地底龍ミンと言います」2人はお互いの顔を見る「ずいぶんと話しますね?」早紀の言葉にレイが振り返る「見たところ戦闘の意思は感じられませんでしたので」「ふーん」早紀達はそのまま無言で歩いて行った。
「お待たせいたしました、こちらがシューレイ&レキレイ様がいる部屋になります」2人は目の前にある両開きのドアを見る「凄いオーラ……」マリが一歩後ずさる「失礼します」と2人は中に入っていく「ようこそお越しくださいました」と椅子に座っている女の子が話す「初めまして、私、天優国領主の三河早紀です。気軽に早紀と呼んでください」「へぇー!あなたが天優国の!」と隣に座っている女の子が叫ぶ「改めまして私はシューレイ、そしてここにいるのが妹の……」「レキレイだよよろしく」早紀は頷く「そしてここにリミアさんもいますよね?」早紀が後ろの松明を飾っている柱を見る「さすがです」とリミアが出てくる「何で姉さんまでいるの?」マリが疑問を投げかける「まぁそんなことは良くて、今回私たちが来たのは私たちの国と友好条約を結んでほしいと思いまして来ました」早紀は2人の方を見る「私は見張りよ」とリミアがまた消えてしまった。
しばらく2人は悩んでいる「あなたの国と友好条約を結んで何か私たちにメリットがあるのかしら?」シューレイが呟く「私たちにとってはメリットないもんねー」レキレイが頭に手を回す「私たちは神界とも貿易をしています、神界の物資をここに持ってくることも可能になります私たちの最大の理由は敵を増やしたくないだけです。お互いに協力すれば強い敵にも対応できると考えますがどうでしょうか?ちょうど領主が3人いるみたいですし」早紀が2人を見る「確かに意見としてはあっているけど私たちはどの国とも貿易をするつもりはないよ」シューレイが机に手をつく「分かりました。それでは失礼します」と早紀が立ち上がる。
(早紀さん!敵襲です!)
とサキエルからの警告が流れ早紀は慌ててマリの後ろに剣を振る「あぶね!」と男が転がる「何者だ!?」とシューレイ&レキレイが立ち上がる「透明化か」マリは飲み物が入っているグラスをぶちまけたとき扉から逃げる男がいる「ふふっ逃がさないわよ!」リミアも透明化を解除したのか追いかけていった。
「全然気づかなかったなぁ」早紀はマリの顔を見る「恐らく高位転移術かな、私たちがここに集まることを知っていたみたいだよ」レキレイが呟く「ということはまさか!」早紀はマリの顔を見る「マリ!天優国が危ない!」「え?」マリはキョトンとした顔をする「あいつら恐らく堕天使、ここまで来たということは私たちの国に忍び込んでるやつがいる」早紀が真剣な顔をすると城全体が揺れる「全く私たちの国に喧嘩を売るなんてね」シューレイが立ち上がると水が滴り落ちる「人魚?」早紀はシューレイを見る「条件変更、天優国との友好条約を認めます、早紀レキレイを連れて行きなさい。私はリミアと一緒にここを守ります」「ですが……」「え?いいの!?やったぁ私天優国行ってみたかったんだ!」レキレイが笑っている「とりあえずみんな外に向かうよ!」とレキレイの言葉に4人は外に走っていった。
早紀、マリ、レキレイは門の外に走っていく「出てきたぞ!」と目の前には堕天使達が無数に立っていた「どいて!」とシューレイが後ろから水を押し出す「さすが人魚……」早紀が目の前でどんどんなぎ倒すシューレイを見る「なんたって災厄者の一人だからね」マリが呟く「とりあえず行くよ!」マリ達はそのまま転移魔法により消えてしまった。




