38話 新たな生活
とある城で……
「王女様!大変です!奥から黒い煙が襲ってきます!」と兵士が叫ぶ「待って!どういうこと?」「分かりません!ですが……」と城全体が大きく揺れる「これは!?」「結界が破壊されました!」「どこからの攻撃かすぐに調べて!」王女は兵士に告げた「これほどの力を持つなんて……まさかまた災厄者……?」「ラミ王女様!攻撃元が分かりました!マランベース村です!」「なんですって!?」ラミは目を見開く「マランベース村はここから12000キマイター離れているのよ!?」「はい!ですが……」と兵士はモニターで地図を見せるとマランベース村に大きな点が2つ点滅している「見ての通りです……この反応は災厄者レベルの力を持ちます」「災厄者ならリミアさんがいたね」ラミが頷く「いえ……リミア様はこちらにいます……この反応は間違いなくリミア様です」兵士が別の場所に光っている点を見る「どういうこと?じゃあその2人の誰かが私に攻撃をしたと?」兵士は首を横に振る「どうやらマヤ帝国が不可侵条約を破りマランベース村を襲ったそうでリミアはそこで負傷しています。どうやら妖精の森で復活しているみたいです。問題のマランベース村なのですが……村自体……爆発により消えてなくなったそうです。攻め込んだマヤ帝国40000兵は巻き込まれ全滅。さらに爆発の衝撃波によりほかの村10以上壊滅しています」「私たちの町が残ったのが救いだったわね……しかし……一体何があったというの……」ラミはそんなことを呟き外を眺めていた。
マリはセラの後をついていく「ほかの村も壊滅か……」セラは途中に見つけた村を見る「すみません……」マリは軽く頭を下げる。もう黒炎は出ていなかった「ところでマリは何が起きたか覚えてる?」セラが振り返りつつマリの顔を見る「うん……あの時……あれ?なんだったっけ……」「やっぱり覚えてないか……これは大変だなあ……というか……わざわざこんなことしなくてもいいのに……」「え?」「あっこっちの話!」そんな会話をしながら歩き続けた。
「もう着くよ」と道なき道の山に入っていく「こんなところに本当に家なんてあるの?」「うん!ほらそこ」とセラは前を指さす「どこ?」目の前には険しい坂道しかなかった「あっ……そうか」セラが手を1
回叩くと目の前の景色が歪み大きな家が現れた「何この家」マリは見たことないような家の形だった「ねぇなにか書いてあるよ?『点と丸の頭文字だけを読んで?』え?なにこれ」マリは首を曲げる「あ〜私が暇つぶしに書いたやつだね、ほら入って」セラは扉を開ける「お邪魔します……」家の中はほぼ木でできていた「木造住宅は見たことない?」「はい……木は基本的に燃やしたりしか……」マリは周りを見る「一応ここは周りからは見れないようになってる」マリはさっきのカモフラージュに納得する「さて……さっそくだけど私と勝負しましょ」セラはマリを道場らしき場所に連れていく「セラさん勝負って何するの?」「これよ」とセラがマリに木刀を渡す。無論マリは木刀を見るのは初めてだった「なんですか?切れないような剣ですね」マリの言葉にセラは笑っている「確かに切れないかもね?」とまた外に歩き出した。
「うーん……この石でいいかな」とセラはかなり大きな石を片手で持ってくる「その石がどうしたのです?」「これはねマリ私が作った訓練用の石なの、強度はこの世界にはないほどの硬さを誇っているよ」とセラがマリに木刀を渡す「その木刀でこの石を斬ってみて」マリはセラが何を言っているのか全く分からなかった「これで?さすがに無理じゃない?」「これを壊せないと誰も守れないよ」「!」マリはこの言葉にまたあの時の記憶が思い出さされる「……やだ」マリは木刀を握り石に向かって振りぬく……が案の定はじき返される「マリ!さっきのような力はどこに行ったの!?そんな力だと本当に誰も守れないよ!」マリはどんどん石に打ち込んでいく「ミリが死んでもいいの!?」マリはそのセラの言葉に何かがはじけた気がした。
マリの周りからはまた黒い炎が現れマリはそのまま石に打ち込む。激しい轟音とともに打ち抜いた木刀は石に当たり大爆発を起こした。そしてマリはそのまま倒れ気絶してしまった「ふーん……まだまだか……」セラが石を見るも石はびくともせず木刀だけが折れていた。
「……マリ……マリ」と何やら声が聞こえマリは目を開ける「ここは……」そこはいつも遊んでいたあの石の上だった「あっ起きた?」目の前にはまた‥…「リンカ……またどうして」そうリンカが石の上に座っていたのだ「ねぇ……マリはなんのために戦う?」リンカから想定外の質問が飛んできた「私は……みんなを守るため……でもあなたを守れなかった……助けられなかった……お姉さんもミリも……」「でもねマリ」リンカがマリのそばまで降りてくる「前も言ったと思うけど……マリはもっと強く生きて」マリは首を横に振る「わたしにそんな力はないよ……」「今はまだ分からないだけだよ……」とリンカの体が薄くなる「私は……この世界が平和になってくれることを願ってる」マリは手を握る「私が絶対平和にして見せるから!待ってて!」マリがリンカに向かって叫ぶ「ふふっ……来なくていいよ、私はあなたのすぐそばで見守っているから……いつか見つけてね……」とそのまま消えてしまった。
「はっ!」マリは飛び起きる「あれ……」とマリは頭を抑える「はぁ……『強く生きて』か……私にできるかな……でも頑張るよ……リンカ!」マリは上を向き拳を突き上げた後、部屋を出て行った。




