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30話 本当の力


 「うーん……」マリはゆっくりと目を開ける「マリ!おはよう」「姉さんおはようございます!あのお姉さん!今日から私も一緒に稽古してもいい?」リミアは軽く目を見開くも軽く笑う「一緒にしましょうか!でも3年のブランクなのについてこれるの?」「うっ……まぁ……任せなさい!」とマリが木の棒をもつ「来い!」リミアが構える「はぁ!」と火花を散らし木の棒がぶつかる「へぇ……前よりも速度と強さが上がってる」「ふふん!私はもう恐れないよ!」とマリはどんどんリミアに打ち込んでいく「けど……無駄な動きがまだ多い」とリミアが寸前で避ける「な……」マリはそのまま地面に激突する「どう?消えたように見えたでしょー?」リミアが笑いながら木の棒を片手で振り回している「本当に速すぎて見えませんでしたよリミア姉さん」マリが服の土をはたく「そりゃね見られたら止められますから……ほら!」リミアが構える「やぁ!」と2人の特訓は夜中まで続いた。


「はぁ……はぁ……」マリは息を荒げている「マリ……母さんから聞いたよ3年前のこと」マリは目を見開く「そっか……」「……本当はミリを助けたいんだね……」マリはゆっくりと歩き出す「姉さんついてきて」「え?ちょっ……マリ!」リミアはマリの手に引っ張られる。


「よいしょ!んしょ!」「マリ!そんなところ危ないよ!」リミアが叫ぶ「ここはリンカが良く登ってた場所なんだよ」「こんなところに……」「あの時も楽しくここに登ってたんだよ」マリは石の上に座る「とりあえずマリ帰りましょう?もう遅いですから」「はい……お姉さま」2人はまた家に帰っていった。


「やぁ!」キイン!と今日もマリとミリが木の棒で稽古をしている「何で勝てないの!?」マリは叫びながら嘆いている「それはそうでしょ!3年もブランクあるのだから」リミアが呟く「そうだねってキャッ!」マリが目を細める。急に強風が吹きつけたのだ「そういえば今日風邪強いって言ってたね」リミアが笑う「はいはい終わりー!」マリが木の棒を放り投げるとそのまま風に乗られマリの背後から襲ってくる「はっ……」マリは無意識のうちに後ろの木の棒を掴んだ「えっ?」リミアも目を丸くする「あの強風で飛んでくる木の棒を後ろを見ずに掴むなんて」「たまたまだよ!」マリは笑いながら家の中に入った「もしかしてマリの力って……」リミアはそんなことを呟いた後、家の中に入っていった。


「なにこれ?」目の前には大きな家がある「これは私が作った避ける練習をするための家かな」「避ける?」マリが首を曲げる「ここに跳ねるボールがあるでしょ?これを私が全力で壁にあてて動き回るボールをよけなさい。慣れていけばボールを増やしていく。ボールが二個になるとさらに規則性が複雑になるそれをすべて避けてみなさい」「分かりました……」とマリが何もない家の真ん中に立つ「行くわよ」とリミアの周りからオーラが出る。


(ふう……)


マリは目を閉じリミアの動きを読み取る


(ボールは……約秒速18907キマイター……そして壁三反射をした後私の背中に襲ってくる!)


マリはどんどん目を閉じながら避けていく。


「もう一個!」とさらに増える


(壁を5反射の後二つのボールがぶつかった後一つが襲ってきた後すぐ横から……)


マリはそんなことを呟きながらどんどん避けていった。


「はぁ……はぁ……」「マリお疲れー!」リミアが笑いながら歩いてくる「あのね!何で四つになってるのよ!」「あら?気づいちゃった?」リミアが笑っている「これも修行ですよ!まぁでもマリは一個も被弾してないじゃないですか」「たまたま避けれただけですよ……お姉さまと一緒じゃなかったらここまで頑張ってないです」マリはため息をつく「ふふっ……確かにそうですね。私も久しぶりにマリの本気を見た気がします」リミアが上を見る「そろそろミリちゃんとも仲良くなっていいんじゃないかしら?」「姉さん……分かっていますが仲直りの仕方が分からないんです」リミアは考え込む「うーん……確かにいきなり謝っても混乱するだろうしねぇ……あっそうだ!マリ、温泉に行ってみたらどうかしら?」「温泉ですか?」「そうアスケム村って聞いたことあるでしょう?実は……あそこの温泉村に英雄の少女がいたらしいのよ」「そうなのですか!?」マリは身を乗り出す「ええ、見てみたいでしょう?とはいってももう2か月ほどたっているから今いるかどうか分からないけどね」「私行ってみたいです」マリがリミアの顔を見る「じゃあ準備しなさい、明後日にでも行けるように馬車を準備しておくから」「ありがと!リミア姉さん!」2人は笑いながら部屋に戻っていった。


マリはミリがいる部屋に入っていく「ミリ」「何?マリさん」ミリはぶっきらぼうに答える「その……前は悪かった」と扉を閉めた。


(なんであんな言い方になるのかなあ……)


マリはまた頭を抱えた。


「何々?英雄の少女について?」「はい!リミア姉さんなら何か分かるかなと思いまして」リミアは自分のベッドを2回たたく「私が知っているのは……英雄の少女は災厄者と同じくらいの強さがあるね」「災厄者って最強の人たちのことでしたっけ?」リミアは軽く頷く「ええ……先に災厄者の説明をすると……名前のような災いをもたらすものではなくて……なんといえばいいかなぁ……簡単に言うとマリの言う最強の人たちかな?今は五人いる」マリは目を見開く「五人もですか?」「えぇ……災厄者はそう簡単になれるものじゃない」「そうなの?」「どのような状況で災厄者になれるのかは分からないけど……私が思うには心の解放、もしくは生まれつきだと思うの」マリは首を傾げる「生まれつき災厄車並みの力があることは分かるけど……心の解放って?」リミアが続ける「怒り・悲しみ・孤独・不安・罪悪感などなど……様々な気持ちを乗り越えた者が災厄者になる……と私は予想するね、例外もいると思うけど……。ちなみに災厄者のほとんどがインペッシブルスキルというスキルを持っていて……インペッシブルスキルはすべてのスキルの最高峰であり……インペッシブルスキル以下の攻撃では通用しないわ」「なるほど……そうなんだ」マリはお茶を飲んでいる。


「災厄者っていったい誰なの?」リミアが顔を上げる「最強の人たちと言っても災厄者の中には強さがあって……まず2000年前からいる初代災厄者で神族の破壊神メイビス……」「聞いたことあります!昔は何でもかんでも破壊していたという……」マリが叫ぶ「えぇ……そしてもう一人はその破壊を止めた人族ラミ・ビラン。今ではその2人は共闘関係になっている」「ラミ王女ですか!?」リミアが頷く「えぇ……あとは最近っ出てきたマヤ帝国……リーダー。マヤ・カザン」「聞いたことない名ですね?」「災厄者の中でも特に異質と呼ばれる人たちだね」リミアが人差し指を立てる「異質というのは?」「急に現れたにもかかわらず……災厄者と呼ばれるようになった。災厄者の割には好戦的で……特にラミ帝国と仲が悪い」リミアが呟く「後2人は誰なんです?」「えっとね1人は1000年前に災厄者になった天族のセラエル」「セラエルって熾天使ですか?」リミアが頷く「確かに熾天使ならば……納得です」「そして最後の一人は……」マリが息を飲む「五大災厄者最後の一人は……私リミア・スカーレット」マリは軽く意識が飛んだ……気がした「えええ!!?」マリは思わず大声を上げる「どうしてお姉さまが!?」マリが身を乗り出す「私の場合はラミさんにお願いされたからですね……『この村には私からの援助が遅くなるから災厄者として守ってほしい』って」「なるほど……」「でも実際私が災厄者なのは災厄者しか分かりませんよ」リミアが笑顔になった「分かった!ありがとリミア姉さん!」マリはお辞儀をして部屋を出て行った。


(あの五大災厄者に匹敵するほどの英雄の少女……いったいどれほどの力なんだろう。インペッシブルスキルも持っているということだもんね……いつか話す機会があれば詳しく聞きたいな)


マリはそんなことを考えながら部屋に戻っていった。

豆知識です。


この世界のキマイターは㎞と同じ意味合いを持ちます。つまり時速60キマイターは時速60㎞と同じ意味になります。

ちなみにmはマイター・cmはセマイター・mmはミマイターとなります

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