25話 早紀の進化
マリは夜の道をひたすら歩いている。
「ねぇマリ!私、大きくなったらマリのお嫁さんになる!」
「ミリ……何言ってるのよ」
マリがため息をつく
「えー!ダメ?私マリの事好きだもん!色々教えてくれるし!私これからもずっと一緒にいたいな!」
「大丈夫!ミリの事は必ず私が守ってあげるからね!だって家族だし!」
「そうだね!あなたもそう思わない?」
「うん!……弟子が2人の家族っていいよねマリ」
「それは師匠じゃないですか!」
マリがため息をついた
「ミリ……師匠……」
マリはその場に立ち止まる
「許さない……家族を苦しめた……堕天使ルシファー……お前は私が殺す!」
マリの周りからは黒色の炎が現れたのだった。
「おい!ミリはまだ帰ってこないのか?」
男が叫ぶ
「はい!やはり相当時間はかかるはずっす。本当にあの国に宣戦布告して大丈夫だったんすか?女神もいるのに」
「たかが女神に遅れは取らんよ」
「大変です!堕天使ルシファー様!」
と扉が開け放たれる
「ちょっと堕天使ルシファーの大事な部屋っすよ!勝手に入ってくるとか……」
「いや……良いんだ。続けろ」
「はい……ミリの洗脳が何者かにより解除された模様です……」
「なんだと!?洗脳の解除はできないはず……」
ルシファーが机をたたく
「はい……この蝶が記録してきた内容だと女神の一人に能力消滅という能力持ちがいるらしいです」
「俺は1000を超えるほど洗脳をかけたんだ……なのになぜだ」
と城全体が揺れる
「何ごとだ!?」
「敵襲です!敵は一人!」
「洗脳済みの兵士たちを解放せよ!」
「はっ!」
と男たちは走っていった。
「さて……作戦会議だよ」
早紀が会議室にみんなを集める
「マリはどこにいるんですの?」
ネイトが周りを見渡す
「マリなら一人でルシファーのもとに向かった」
「そんなのは無茶じゃ!お主なんでマリを止めないんじゃ!」
ミカエルが早紀の顔を見る
「マリが決めたことに私が口を出す必要はないと判断した……」
しばらくの沈黙がある
「だけど……仲間……いや家族を死なせはしない今ここにいる全員でルシファーのもとに乗り込む」
「それは危険ではないですか?」
フレイヤが眉間にしわを寄せている
「今までにないほどの大戦争になる可能性がある」
ウリエルが答える
「怖い……」
ユグがフレイヤのそばで怯えている
「そうだよね……」
早紀が悩む。
(サキエル……力の解放にはまだ時間が?)
(はい……どうやら仮契約により抑えられているようです。仮契約を強制解除し力を開放することも可能ですがその場合広い場所に行った方がいいと思われます)
(分かった)
「皆ちょっといい?」
と早紀が皆を呼び出した。
「どうしたんだ主?こんな何もないところに呼び出して」
朧月が呟く皆も分からない様子だ
「四大天使の皆さん……これからあなたたちの仮契約を解除します」
「分かりました……早紀さん」
とラファエルが膝をつくとほかの天使も膝をついた
「何が始まるの?」
シルフがウンディーネに聞く
「分かりません……こう言うのは初めてです」
早紀は目を閉じる。
(それでどうやって解除するの?)
(……すみません分かりません)
(なんでやー!)
と再び目を開けた
「すいません……解除の仕方が分かりません……」
「なんじゃと?まぁ仕方ないのぅわしらが勝手に仮契約をしたからのぅ……」
「でしたら私がしてあげましょう」
と聞いたことない声が聞こえた
「誰だ!?」
ウリエルが叫ぶと上の空が光る
「あれは……」
ワダツミが呟くと空の光がどんどんと人型になっていった
「初めまして皆さん……そしてやっと会えましたお久しぶり……早紀」
女性は早紀に近づく。
(誰?この人……何処かで会ったっけ?)
「お前早紀の知り合いか?そして何で仮契約の解除の仕方を知っている」
ウリエルが歩いてくる
「うーんどうしてって言われると……」
と女性の目が青くなる
「なっ……」
と全員が膝をつく
「なんですの!?体が重い……」
「これは……熾天使セラフ様の得意能力です……罪悪感と倦怠感を引き起こし体が動かなくなる能力を……どうしてあなたが……」
ラファエルが呟くと解除された
「はぁ…はぁ…」
女神たちと妖精2人も息を上げている
「ふふっ……私はセラエル……天族の1人であり元熾天使です」
皆が目を見開いた
「元熾天使様じゃと……」
「そして……セラフ、早紀、マリ、リミアの実の母親です」
「はあ!?」
「お母さん??」
早紀が首を曲げる
「その話はあとで」
セラエルが早紀の方に両手を向ける。
ドクン!と早紀の心臓が高鳴る
(なにこれ……眠く……)
「仮契約よ我が力をもって解除しなさい」
早紀の体から4つの光が分散するとそのままミカエルたちの体に降り注ぐ
「おお!力が戻ったのじゃ!」
ミカエルが叫んでいる
「ですが……良いのですか?早紀さん私たちの力をなくしてしまって」
ラファエルが呟く
「心配ありません」
とセラエルが両手を広げる
「これから早紀さんの熾天使化を行います」
「なんじゃと!?」
ミカエルが驚いた目をする
「私が熾天使に?」
早紀も首を曲げている
「では始めます。人格は今の早紀さんのままなので安心してください」
とセラエルの下から魔法陣が生まれる
「熾天使サキエルよ今この場にて降臨なさい……」
と早紀の体が白く光る
「なんですの!?」
どうやらネイトも驚いていた
「お待たせしましたセラエル様」
とセラフが現れた
「どんどん増えてる……」
ユグがチラ見する
「熾天使セラフに命ずる熾天使の座をセラフからサキエルに」
「かしこまったのです」
セラフが膝をつくと同時に4大天使の皆も膝をついた
「ではこれより早紀さんの熾天使化を始めます」
といったとき空に文字が現れる
「あれは……天語!」
皆がざわついた。
[これより種族名三河早紀をセラエルの加護により熾天使三河早紀へと進化を行います]
気付いたらみんなが祈っていた。
[アビリティをすべて再取得。並びに新たなスキル、不老、魔法攻撃無効、特殊シールド、を獲得。なお、すべての攻撃に耐性が付いたため全物理攻撃無効・全魔法攻撃無効・全精神攻撃無効に進化、これにより早紀のエキストラスキル、自動超速回復・超速再生をここにいる全員に献上します。称号、善ヲ約束サレタ者の卵を取得しました]
とみんなの体が光り輝いた
[ユニークスキルRA強制解放がインペッシブルスキル獄級強制解放へと進化しました。そして新スキル、森羅万象、全知全能を取得。さらにユニークスキル能力創作をインペッシブルスキルに進化、これで早紀さんの熾天使化を始めます]
「天使の加護があらんことを!」
セラエルが叫ぶと眩しい光の中から超巨大な羽の生えた白色の天使が現れそのまま倒れてしまった。
早紀は何やら光が見える
(あれ……私なんで寝ているんだっけ)
(おはようございます!早紀さん!おめでとうございます無事成功しました)
(サキエル!どういうこと?)
(起きたらわかります)
と早紀が目を覚める
「えっ!?」
そう目の前には多くの女神、妖精、天使たちが座っているのだ
「新たな熾天使様……何なりと」
ラファエルが膝をついた
「そっか……無事成功したんだね」
と早紀が思い出したかのように顔を上げる
「皆さん!私たちはこれから堕天使ルシファーを倒しに行きます!そして現在マリが一人で向かっています」
その言葉に周りがざわつく
「ですが私はここにいる人を皆殺しになんてできません!私はマリを助けに行きます!私と一緒についてくる人は手を上げてください!」
早紀が叫ぶとしばらくの沈黙がある
「主についていきますぞ」
朧月が頭を下げると全員が頭を下げた
「私も天界の皆さんをさらに多く呼び出します」
セラフがそのまま消えてしまった
「私たちは皆早紀さんについていきますよ!」
と歓声が上がった。




